カタツムリ日和

　朝は和定食を注文していた。宿泊料金は朝食つきであると深夜に確認はしていたけれど、朝食抜きでも宿泊料金はかわらないという意味であったらしい。まあ、それはいいだろう。おかずは目玉焼きにサラダ。僕に遅れてはいってきた老夫婦は洋定食だったらしく、目玉焼にサラダとパンを食べていた。つまり御飯かパンかの選択をすればよかったのではないか。まあ、それはいいだろう。御飯が炊き立てらしく、ひどく熱かった。
　外は土砂降りだった。あいにく傘を車の中に忘れていた。ホテルから車まで僅か三十メートルあまりの距離で、すっかり濡れ鼠になってしまった。
　車のエアコンをつけると、ひどく寒く感じた。しかし窓を開けられないので、エアコンを止めると蒸し暑いのである。窓やミラーも曇っている。これだけどんよりすると、カタツムリは喜ぶだろうか。

　午後はケーブルテレビの取材で、少し緊張して話をする。しかし一発撮りなのですぐに終了。やり直す気持ちは無いけれど、心残りもある。どうせやり直しても、さらにうまくなるわけでもない、と諦める。映りがどうかということも、考えてみると、どうにもなることでもなさそうだ。しかしながら、どういう具合にオンエアされるのだろうか。二十代の時に初めて取材を受けたものをビデオに録画してもらって見た時、その恥ずかしさにたまらない気持ちになって二度とテレビには出ないものと心に誓ったものだけれど、いつの間にか忘れてしまったらしい。いつ放映されるのかも知らないので、うまくまとめてくれることだけを期待しよう。
　雨はやんだがひどく暑く感じる。上着を脱いでネクタイも取った。しかし次第に気温は下がってきて、夕方は少し寒くなった。