画寫庵Progressive

松平惟光の写真日言己巾占。

アナタ好みの女になるわ

2005年01月15日 | 西洋鏡・紙魚手帖
「シモーヌ」は,落ち目の映画監督アル・パチーノが、どんな演技スタイルもプログラミングによって可能にするバーチャル女優”シモーヌ”により得た成功と彼女の存在を隠さなければならないと言うドタバタとしっぺ返しの内に自分を取り戻す映画だ。
この後半の展開が上手くて思わず拍手だけど、ラストシーンはちょっと…。

さてこのシモーヌ、どんな名演技もどんなアピールも思いのまま、たとえばメリル・ストリープの演技力とオードリー・ヘップバーンの可憐さを同時に持つコトが出来る、というコトなのだけれど、このモニターにしかその姿を現すことが出来ない女優さんを演じているのはモデル出身のレイチェル・ロバーツというひと。(映画のクレジットではシモーヌ=シモーヌになっているけど)
外見はともかく、演技は出来そうにない。出来たとしても、観る者を納得させる芝居はできそうにない。この点が観る前に気になっていたのだが、なんとこの監督、素晴らしい反則ワザで見せてきた。

シモーヌの演技が始まる、始まった途端に、なんと画面はそれをみつめるアル・パチーノのアップに!
アル・パチーノの表情、シモーヌの素晴らしい演技に驚嘆感動している!
そう、なんとシモーヌの素晴らしい演技は、アル・パチーノの素晴らしい演技によって表現されるのである。
思わず喝采しましたね。やるな、アンドリュー・ニコル。そう来たか!


まあ、考えようによってはSF映画の、巨大なUFOや怪物を見て驚愕している人の表情をはさんで効果を上げるのと似てるかも知れない。それの、UFOや怪物を写さない奴だと考えたらいかに反則かおわかりいただけると思う。
つか、すげー低予算の映画っぽい…

※そういう意味でシモーヌ=アル・パチーノとするべきかも知れない。「ポーラー・エクスプレス」方式をとれば現実に可能?

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