MISHIMAプロジェクトの同窓会以来、立て続けに
芝居をみている。
みたのは次の4作品。
移動 桃唄309
いくつもの時間 文学座アトリエ公演
お岩幽霊~ぶえのすあいれす 流山児★事務所
太夫さん MAロッキーズ(明治座アカデミー6期生)
それぞれに味があり、驚きもし、いい作品だった。
個人的な好みでいえば
別役実の「移動」が一番フィットした。というか身につまされた。
昭和46年の書下ろしというが、ぜんぜん古くない。むしろ斬新ですらある。
舞台には一本の白い道と、脇を挟む電柱。
今にして思えばこの白い道は、ベルトコンベアーに見える。
日常という反復される時間の象徴だろうか。
あるいは、現代を生きることの無意味性の象徴か。
登場するのは、荷車に家財道具の一切を積んで、
日常から逃れて旅に出た一家。赤ん坊以外は、みな黒い服。
そして電柱の発する熱の轟音に、いつも急かされるように進むのは、妻。
この妻こそ、日常を背負い込んでいる。
おとといのビスケットとお茶、洗濯物、赤ちゃんのミルクとオムツ、
話題にのぼるのは、隣の鈴木さんや中村さんや、病院の先生ばかり……
いくら逃れても、繰り返されるのは、かつての日常の再演でしかない。
日常(生活)から逃れ得ない悲哀がそこにある。
しかも、この家族には、仕事がない。移動そのものが、仕事なのである。
生きることそのもが剥き出しにされ、ここに、問われている。
つまり、生きるとは、生き続けること。
日常を生きること。
ベルトコンベアーの上をとどまらず、死ぬまで、移動し続けること。
そこに、花は咲くのだろうか。咲かせることはできるのか。
喜怒哀楽の心の花を。
仕事をやめた中年プーターローにとっての正念場、なのだ。
芝居をみている。
みたのは次の4作品。
移動 桃唄309
いくつもの時間 文学座アトリエ公演
お岩幽霊~ぶえのすあいれす 流山児★事務所
太夫さん MAロッキーズ(明治座アカデミー6期生)
それぞれに味があり、驚きもし、いい作品だった。
個人的な好みでいえば
別役実の「移動」が一番フィットした。というか身につまされた。
昭和46年の書下ろしというが、ぜんぜん古くない。むしろ斬新ですらある。
舞台には一本の白い道と、脇を挟む電柱。
今にして思えばこの白い道は、ベルトコンベアーに見える。
日常という反復される時間の象徴だろうか。
あるいは、現代を生きることの無意味性の象徴か。
登場するのは、荷車に家財道具の一切を積んで、
日常から逃れて旅に出た一家。赤ん坊以外は、みな黒い服。
そして電柱の発する熱の轟音に、いつも急かされるように進むのは、妻。
この妻こそ、日常を背負い込んでいる。
おとといのビスケットとお茶、洗濯物、赤ちゃんのミルクとオムツ、
話題にのぼるのは、隣の鈴木さんや中村さんや、病院の先生ばかり……
いくら逃れても、繰り返されるのは、かつての日常の再演でしかない。
日常(生活)から逃れ得ない悲哀がそこにある。
しかも、この家族には、仕事がない。移動そのものが、仕事なのである。
生きることそのもが剥き出しにされ、ここに、問われている。
つまり、生きるとは、生き続けること。
日常を生きること。
ベルトコンベアーの上をとどまらず、死ぬまで、移動し続けること。
そこに、花は咲くのだろうか。咲かせることはできるのか。
喜怒哀楽の心の花を。
仕事をやめた中年プーターローにとっての正念場、なのだ。