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VWAPとバスケットについて

2005-08-24 07:11:38 | 正しい金融知識
仕事が偉く忙しく、BLOGの更新をどうしようかと思ったのだけれど、せっかくヒット数が堅調に推移しているので、ここで止めては申し訳ないので、今日は相場に関する正しき知識をご披露することにする。

まずはご質問をコメント欄で頂いたその返事に関してである。まずは、
VWAPと言うのをご存知だろうか。
注文の発注の仕方には、成り行きやら指値やらが一般的であるが、海外や国内機関投資家から良くあるのは、「ディスクレッション(Discretion)」と言う方法である。通常我々はディスクレ、と呼んでいるが、ある銘柄に大量の注文を出す際に使われる。つまり一日を通して上手に買ってね(売ってね)と言う注文方法である。
では、
寄り付き 1000円
高値   1050円
安値    990円
引け値  1000円
なんて言う銘柄に100万株の買い注文をディスクレでもらった場合、果たして平均値いくらで約定すれば顧客が喜ぶのか。
昔はディスクレって言う概念が余り浸透していなかったので、常に引け値対比であった。つまり平均値が引け値の1000円より少しでも安ければOKだったのである。
しかしこれは逆手に取る方法がある、つまり引け値での関与だ。引け値を上手く操作すれば格好が付くようなケースがあった訳だ。
ただ昨今この引け値の関与には当局が非常にうるさいので、少なくとも自己勘定ではそれは出来ない。いわんやそれが顧客からの注文であったとしても、最後の30分で出来高の1/3以上を占めるような注文に対しては当局から一言ある。
このVWAP(Volume Weighted Average Price)とは出来高加重平均値、の事であり、各約定、9時5分に1010円で6000株、9時6分に1005円で8000株、みたいなものを全部掛け算してその平均値を出す値段のことを言う。
つまり例え当該銘柄の引け値が1000円であっても、VWAPが990円だったら、平均値1000円の約定は相場に10円負けていることになる。
たかだが10円と侮るなかれ、これが100万株の注文であれば、それだけで約定金額が100万x10円で1000万の差になる。
これだけ負けたらその業者は間違いなく取引停止だろうね。

セールスマンがディスクレ注文を顧客からもらうのは容易ではないのと同時に、実際にそれを執行するエクゼキューショントレーダーたちも大変だ。その注文一つだけであれば一日それに張り付いていれば良いわけだが、大手証券になるとそうはいかない。
アメリカ、ロンドン、スイス、ドイツ、フランス等からその手の注文がいくつも来た場合に彼らがトイレに行く暇も無いのは容易に想像出来よう。
さらに勝てば良いけれど負ければ各店から非難ゴーゴーな訳だし。
「お前らこの注文取るのに俺がどれだけ苦労したのか分かってんのか、このボケ!」くらいで済めば良いほうだ(笑)。

外資系はこのVWAPをもっと機械的にやるために、VWAPシステムのようなものを持っているとか。これは一日に何度も何度も売り買いをオートで繰り返させるような仕組みだそうで、私は外が長いので見たことは無いのだが、何度も繰り返すことによってVWAP値をならしていくような考え方がそのシステムの根底にあるようだ。

それにしてもそうやって居る機関投資家連中よりもデイトレーダー諸氏のパフォーマンスの方が良く見えるのは何故だろうか。
ちなみにVWAPのことをAQR(Average Quoted Recap)と呼ぶこともある。

~~~
バスケットと言うのも近頃は非常に一般的になって来た。
昼のバスケット状況は、買い450億、売り380億で買いが優勢です、みたいな記事をお読みになったことがある方も多いだろう。
機関投資家や海外の大手投資家の中には、一つ一つ注文を出すのが面倒なので、まとめて多岐にわたる銘柄を一発で買いたい(売りたい)と言うニーズがある。
これを一般にはバスケット取引と言う。
一個の大きなかご(バスケット)の中にりんごやみかんやバナナをまとめて入れちゃいましょう、って感じから来た言葉だと思われる。
これは圧倒的に大和SMBCが強い。他社や外資系も頑張って参戦しているが、大和に一日の長がある。
このバスケット注文は各証券会社の自己勘定で一旦受ける。100銘柄のバスケット注文が来て、それを一つ一つ場に流すのが嫌な投資家がそれを使うわけであり、受けた業者はとりあえず自己のポジション状況を鑑みながら、それに対応すべく値段を出す。
つまりバスケットの流れは、
顧客→証券会社の自己売買部門→場(東証だの大証だのJASDAQだの)
となる。一旦証券会社がリスクを取るわけで、ここに各社の強弱が如実に現れる。
ちなみに値段は「ベーシス」で提示する。
顧客も一応コンペスタイルで各証券会社のベーシスを提示させ、一番良い所とDONEをする。

ある顧客が100銘柄のバスケットを買いたい、と言ってきた。
A証券~15BP(ベーシス)
B証券~8BP
C証券~9BP
と言うことになった場合、当然顧客は一番安いB証券にそれを出す。
ここで言うベーシスとはいわゆる手数料の事で、100BPが1%だから、8BPは、0.08%となり、つまり総約定代金が1億円の場合、8BPだと8万円を手数料としてもらえる。(安いっ!)
これを受けた証券会社のバッファー部分は1億円に対してたったの8万円しかないわけで、それを場に執行に行って8万円以上やられたら自己勘定が傷つく。ゆえにこの差は、各社の自己ポジションに余裕があって、しかもバスケットの中味の銘柄にある程度その自己ポジションで対応出来、かつ相場が思惑通り行かないとなかなか儲からない。
買いバスケットの場合は顧客は相場が上がると思っているから買うわけで、それに対して自己は一旦それらを顧客に売ってあげて、改めて買い戻しに行く、と言う流れになる訳だから、(顧客のみならず自分たちも)相場が上に行くと思っているときにそのようなショートポジションを例え一時的にでも振るのは結構な勇気が必要なのである。だから各社で強弱がはっきりしてしまうのだね。

ちなみに上記のようなスタイルは極めて基本形である。
私がロンドン時代の顧客からのバスケットは例えば以下のようであった。
「Mr.Kooni、バスケットのコンペだ。銘柄数は100銘柄、全部東証一部だ。基本的な各銘柄のデータを見せるので、我々が売りのケースと買いのケースとでそれぞれベーシスを出して欲しい。」
と電話があって、その後FAXが流れてくる・・・
これはブラインドバスケットと言って、各銘柄の基本的データ、例えば日経平均に対するベータ値だとかが出ているだけで、銘柄名が無い!しかも相手は自分が売りか買いかも示さない・・・
すぐにそれらのデータを我らがデータ解析班の連中がインプットして、各銘柄名を割り出して(大体9割程度の正解率だったと記憶している)、今度はその銘柄名を元に我らがディーラーが明日の相場やら自己ポジションの様子やらを加味して、
「じゃあ売りなら15ベーシス、買いなら10ベーシスで行こう」
みたいな結果になって、それを顧客に提示して・・・と言う流れになる。
これがDONEになるとロンドン時間の例えばSEAQ市場でカバー出来る物はカバーし、その次に開くニューヨークではADRでカバー出来る物はカバーし、そして使えるポジションを使って、最終的に東京で残ったリスクの処理に行くわけである。
これも結構奥が深いけれど、小型銘柄でのバスケットと言うのは余り無いと思われるので、デイトレーダー諸氏がバスケットによって撹乱される、と言う心配は余り無さそうだ。

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
VWAPとバスケット取引 (LD株主)
2005-08-24 23:29:41
とても勉強になりました!
こんばんは (ピト)
2005-08-25 00:36:22
VWAPよく分りました。

バスケット取引はブラインドバスケットなんて

???ですね。ビックリです^^
Unknown (小鬼)
2005-08-25 06:11:09
LD株主さま、ピトさま

多少はお役に立ったようで私も嬉しい限りです。またこの手の話題を逐次取り上げて現況は一体どうなっているのか、なんてお話が出来たらと思っておりますので、何かリクエスト等ございましたら、いつでもどうぞご遠慮なくおっしゃって下さいね!
いつもありがとうございます (mariomari)
2005-08-25 11:51:20
小鬼さん、最近このすばらしいブログを知りました。地球の裏からご苦労様です。丁寧でプロフェッショナルなコメント、大変参考になります。MPTが何故上がらないかもよく理解できました。



ところで、VWAPのことに絡んでのことですが、株の上げシグナルの1つは、いわゆる売り枯れの予兆をいち早く見つけることではないかと思っておりますが、出来高とVWAP、そして終値など四本足の傾向などで、何とかテクニカルな処理をして、その予兆を探ることができないかと思っております。ところがVWAPそのものをヒストリカルにダウンロードするサイトもないのでデータの取得自身にネックがあります。



このあたりの「売り枯れ」に対する小鬼さんのお考えが何かありましたら、お教え頂ければ幸いです。
URLがおかしいようです (mariomari)
2005-08-25 11:54:54
先ほどの投稿の私のURLがおかしいようです。もう一度試してみますので、気になさらぬよう。
Unknown (Unknown)
2005-08-25 17:04:28
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インデックス買い (夕凪)
2005-08-26 21:57:17
こんにちは小鬼さん。



本業一番でしょうから、私の質問に対する回答は、気長に待って

いますので、無理なさらないでくださいね!



今回の記事で少々気になった点がありまして:



ただ昨今この引け値の関与には当局が非常にうるさいので、少な

くとも自己勘定ではそれは出来ない。いわんやそれが顧客からの

注文であったとしても、最後の30分で出来高の1/3以上を占め

るような注文に対しては当局から一言ある。



とあるのですが、今回の日経平均採用銘柄のファーストリテイリ

ング、除外銘柄のイトーヨーカ堂なども、最後の3分間の怒涛の売

買があり、その日の過半数を占める勢いでした(ちゃんと売買ログ

を保存していなかったのが残念)。



この売買は、インデックスファンドからの依頼で証券会社が行っ

ていると思うのですが、当局からの注意覚悟で売買していると思っ

てよろしいのでしょうか?



いつもややこしい質問ばかりで申し訳ないのですが、よろしくお

願いします。

Unknown (小鬼)
2005-08-27 06:56:17
お返事遅くなりまして申し訳ございません!



Mariomariさま

HP拝見いたしました。素晴らしいですね!!

そんじょそこらのファンドマネージャー連中よりよっぽど深く研究されているのでは無いでしょうか!これからも随時拝見させて頂きたいと思います。

さて、売り枯れ、ですか。。。非常に難しいご質問です。

株が上がる要素としては個人的には2つの相反する意見があると思います。

一つはおっしゃるような、売り枯れにより高値を追っ掛けて行く、と言うものと、もう一つは、ある程度の売り物が無いと株は上がらないのです、と言うものです。

後者は知り合いのECMの奴が常々言っています。

おっしゃるようなデータの解析によってその予兆が探れるとしたらそれはすばらしいと思います!ただ私のようなボンクラ証券マンがお客さんに説明するなら、やはり、それが信用銘柄であれば期日到来の節目、あるいは直近高値をつけてからの日柄調整が完了し、その高値を抜いた瞬間、あるいは売り枯れの一つのスタイルである、EQファイナンス(CB等)の転換終了ゆえに売り物はもう出そうも無いですぜ、って感じで、さらにご自身の投資スタイル、あるいは戦略を考えられてみると、私ならここらで売るな、いやもうちょい待つな、的なことと絡ませるくらいの事しか考え付きません。。。

ちょいと私の知り合いのブレーンに聞いてみますね。





夕凪所長さま

すみません、お待たせしております!

この所長さまの答えはすぐに出ます。

引け値関与に関して問題になるのは証券会社の自己売買部門が基本です。証券会社も当然株式部等で自己資金の運用をしてます。その彼らが引け値等に深く関与するとこれは相場操縦の嫌疑を当局から掛けられます。

(それゆえ、CB等で上限下限までそれぞれ主幹事が持って行くだろう的なご意見がいまだに某掲示板とかで散見されますが、これが如何にナンセンスな意見か、といつも思うわけです・・)

但し日経平均の入れ替えに伴う売り買い、それも引けぎりぎりに執行されるものはほとんどがおっしゃるようにインデックス運用系ファンドです。これは証券会社にとっては『お客様からの注文』なのですね。つまり証券会社としては裏に紐がきちんと付いている商いなので、これによって証券会社自体が指摘を受けることは基本ありません。但し同一顧客が執拗にそのようなことを繰り返しますと、この顧客名は当局もガッチリ抑えていますので、その注文を受けた証券会社経由でチェックが入ります。しかしながらそれ自体は証券側には非はありませんので、ある意味堂々としていられるわけですね。

こういった入れ替えに伴う要因で様々な顧客が引けぎりぎりに売り買いする理由は当局も分かっていますから、個人的にはよほどおかしなケースが無い限りは大丈夫なはず、と考えてます。



いつだったか、我々海外現法が顧客から引けぎりぎりに注文を受けてそれを東京に発注していたら、当局から東京に指摘が入りました。東京はこれも自身には非はありませんので、「これは海外現法からの顧客注文です」と答えたら、「その現法の裏の顧客名を開示せよ」と要請が来ました。しかしスイスには法律により顧客名の開示は一切出来ません。我々がスイスにてスイスの顧客から注文を受けた場合は、そこまではスイス法に関わるわけです。ですから例え日本の当局と言えども我々は開示は出来ない、と突っぱねましたら、その後は何も言って来ませんでした(笑)
売り枯れ (mariomari)
2005-08-29 08:53:06
小鬼さん、



お忙しいところご回答ありがとうございました。またHPをお褒め頂きありがとうございます。ファンドマネージャーより深く研究とは恐れ入ります。単に銘柄のHPを訪れてみて、売買にまつわるネタを探して言葉遊びをしている程度です。



それより小鬼さんの前向きのペーソスの効いた文章、大変気に入っております。



私の苦手な金融取引のことで、また時折質問をさせて下さい。よろしくお願いします。
Unknown (小鬼)
2005-09-07 04:44:17
mariomariさま



大変レスが遅くなりまして申し訳ございませんでした!

今後とも是非素晴らしいBLOGをお続けになられてくださいね、私も参考にさせていただきます!!

ご質問は常時ウエルカムですので、どうぞお気軽にお願いしますね!!

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