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村上春樹氏 ノーベル文学賞受賞ならず

2012-10-11 22:17:25 | Nonsense
スウェーデン・アカデミーは(日本時間の夜8時)、今年のノーベル文学賞を発表した。受賞者は本命の中国の作家、莫言氏。世界最大規模のブックメーカー、英ラドブロークスの文学賞受賞者を予想するオッズでは、村上氏は1位で、莫言氏は4位となり、今年こそはと期待されていた村上春樹氏は受賞をしなかった。しかし、スウェーデンのブックメーカー、ユニベットでは莫言氏が村上さんを抑えて1位となっており、見事に予想を的中させた。
私が賭けようとしたのは、残念ながらやはり村上さんではなかった。過去の日本人受賞者の川端康成、大江健三郎と肩を並べるには無理がある。

ちなみに莫氏の略歴は、次のようである。
1955年2月、中国山東省高密県生まれ。農村家庭に育ち、60年代半ばの文化大革命で小学校中退を余儀なくされた。人民解放軍在籍中に著作活動を開始。中国当局の検閲を避けるため、暗示や比喩、間接表現を駆使して、中国国内でタブーとされる政治的に敏感な内容を含んだ作品を発表してきた。
スウェーデン・アカデミー好みの越境はないが、「抑圧」「反権力」オーラがたっぷりの人と作品である。(近著の「蛙鳴」は、手に取ったものの、めったにないことだが、私にはあわなかったので読破できなかったのだが。)村上春樹さんのように大衆に人気があり、ポップカルチャーのような作品はノーベル文学賞にはむかないのかもしれない。

↓2009年11月2日のブログより再掲載↓
ノーベル文学賞の選考委員は社会派がお好み、というのは定説。情報誌「選択」によると、スウェーデン・アカデミーの構成要員は、作家や裁判官などの18名。今年度受賞したヘルター・ミュラー氏の「狙われたキツネ」を読むと、受賞ポイントの「抑圧」「越境」「反権力」の三点セットを見事にフル装備している。(ミュラー氏は、87年にドイツへ亡命している。また、彼女自身も主人公の女性教師の友人や生徒と同じように弾圧を受けてきた少数民族出身)

それでは、5月29日に新作「1Q84」が刊行されるや爆発的に売れまくっている我らが候補者の村上春樹氏、ここ数年、今年こそは!と期待が高まっているのだが、いったいノーベル文学賞を受賞するのはいつか。ノーベル賞の候補者は春までに20名リストアップされ、さらに秋に5名程度に絞られる。どうもこの「20名」に村上氏が入っていることには間違いないそうだ。ミュラー氏の場合は、かねてから資質を認められながら「もう一作読みたい」とまるで日本の芥川賞受賞の見送りと同じ理由でみあわせていたのが、今年、強制収容所体験を書いた「アーテムシャウケル」を発表して、一気に受賞へと実を結んだ。村上氏も同様に「もう一作」という声が選考委員の中で多かったそうだ。今回の「1Q84」の英語版が出版されるのは11年秋。事情通によると12年の受賞が、最もノーベル賞に再接近する年だそうだ。

「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 」「ノルウエイの森」。みんな大好きな小説ですすめてくれた男子とよく「ムラカミハルキ」のことを話題にして熱く語り合ったもんだった。今のノーベル賞候補作家とは路線が違っている初期の作品が好きなので、「アンダーグランド」などのノーベル賞を意識した作品を発表する頃から、なんとなく手にとることがなくなったいった。

今年も10月8日の夜、大磯町の高級住宅地にある村上氏のご自宅には黒塗りのハイヤーが8台も待機していたそうだ。こうした喧騒を嫌う村上氏は数日前には国外脱出をしているが、とりあえず「自宅」に記者たちははりつく。ご苦労なことである。「落選」の情報が入るとまた静かに去っていったとのことだが、スウェーデン紙は文学賞発表前に朝刊で”受賞するであろう”作家のインタビューを掲載するのが恒例で、今年もミュラー氏のインタビューを掲載した。わざわざスウェーデンまで飛んだ日本の某新聞紙の文化部長など、予想した作家がすべてはずれてまことにお気の毒。むしろそんなに騒がなくてもよいのでは、と村上氏のために言いたい。必ずしも作家の作品の価値=ノーベル賞受賞でもない。ノーベル賞を受賞していなくても三島由紀夫のように優れた作家は他にもいる。むしろ作品の価値よりも”権威がつく”ことと”名前が後世まで残る”方に価値があるのではないだろうか。
ちなみに、スウェーデン・アカデミーは売れる作家はお嫌いだそうで、3年後に村上氏が受賞を逃すと「もうない」という、これまた何度も芥川賞候補に挙がりながら受賞する好機を逃すと「もうない」のと同じようだ。ちょっと笑えたのが、「村上氏が消えたら、お次はよしもとばななさんが浮上」というスエェーデン人ジャーナリストの情報に対して「選択」誌の記者のコメントが、「今のノーベル文学賞とはこの程度のもの」だったことだ。

■こんなよい本もありました
「小澤征爾さんと、音楽について話をする」

■こんな厳しい批評も
「わがユダヤ・ドイツ・ポーランド」


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