
やがて科学技術が発達し、彼らは宇宙船に乗って冒険の旅にでたところ、あまりにも争いごとが多い惑星を発見し、それらを征服して平和に統治することを目的とするようになる。ところが困ったことに、自由な進化を遂げた惑星では、生態系が多様で病気で亡くなることが多かった。りすりす星では病気があまりなかったので、「疫学」や「医療統計学」が発達していない。
そんなわけで、紛争の多い地球征服と医療統計学の修得のために、大学院で惑星征服学の研究をしているしまりす君が、4月の桜の季節のある日、京都大学の佐藤俊哉先生の研究室に窓からやってきた。その後、しまりす君は毎月研究室を訪問し、これから一杯やろうかな~♪と考えている先生をつかまえて、地球征服のためにお勉強をしている。
「医療統計」ってなんだろう?
きみも宇宙怪人しまりすと一緒に勉強してみよう!しようったらするの。
そんな佐藤先生としまりすくんの誘いに励まされ、本書にわけ踏み入る。
何故、宇宙怪人しまりすくんがここで登場するかというと、佐藤先生の妻・恵子さん(症状:統計アレルギー)の、「医療統計が大事なことはわかるけれど、話を聞いてもちっともわからないし、ろくな教科書もない。だから<宇宙怪人いまりす>がやってきて、いちから医療統計を勉強する、という本を書きなさい」という、至上命令から誕生した壮大な?物語である。

①医療統計学の重要性
②高校生から理解できる教科書
になる。
なにしろ相手の、しまりす君は忘れっぽいから復習もし、あきっぽくてすぐしっぽの毛づくろいをするゆえ興味を持続させ、尚かつ短絡的な愛すべき性格を考慮して、佐藤先生の丁寧な講義が続いていく。大学の一般教養レベルの統計学の基礎がある方にはものたりないかもしれないが、医療統計学の今後益々の必要性を考えると、一読する価値大である。それに、佐藤先生としまりす君のかけあい漫才のような会話形式で語られる”お勉強”は、恵子さんのような統計アレルギーの症状も全治することを断言できるのだ。楽しく学べる、こんな発想が必要だ。ま、愛煙家の方には、少々煙たい統計のお話しもあるけれどね。
岩波科学ライブラリーは、科学への扉として考えると読みやすい。ただ学生対象に、1200円は高いかも。
佐藤先生の講義を引き続き、しまりす君と一緒に学びたい方は、次の扉へ

しまりす君と一緒に、続編の刊行を待ちたい。もしも
←佐藤先生(この方、イラストは恵子さん)がしぶるなら、しまりす君に頼んで、「イエッサー」を先生につけてもらおうか。
■用語解説