千の天使がバスケットボールする

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日々の雑感

2007-02-06 23:34:53 | Nonsense
毎日毎日いじめによる悲しい事件が後がたたない。どこの国でも多少なりともこどもの世界でいじめはあるというが、日本のような状況は特出している。おかげで「イジメ」という言葉が、韓国にまで輸出されている。けれども、正直いって「イジメ」が完全になくなることは難しいのではないかとも感じている。勿論だからといって、イジメをなくすことをあきらめると言っているわけではない。
人は大かれ少なかれ精神的ストレスが生じると、暴力的行為や破壊、支配などという嗜虐行為に走りがちである。どこかにはけ口を求めるのは、人間が自分の精神を含めた生命を守るための自衛手段かもしれない。それが家庭でなく、学校という閉じた集団で発散されるのがイジメだ。
今月号の「選択」で興味のある記事が掲載されたいたのが、そのいじめ問題である。

動物生態学者コントーラ・ローレンツによると、自らの牙の危険性をわかっているオオカミは、闘争で相手のオオカミが降伏の意思を示すと強いオオカミはそれ以上攻撃しないという。同一群内で序列を決めると、争うことなくそれぞれの役割を果たしながら助け合って生きていく。ところが鳩やバンビなどは、争いがはじまると相手の内臓を破滅させ絶滅させてもなお執拗に攻撃を続ける。これらの動物の行動を残虐か優しいかと論じることに意味はないが、ローレンツによると人間は本来鳩やバンビ型の生態学的特質をもっているということになれば、あきらかに人間は残忍な生きものであることを認識しなければいけないだろう。それは米国の心理学者ソロモン・アッシュによる、残虐な行為でも罪の意識を忘れてその場のいきおいで加担してしまう集団心理を実験で証明済みである。これらの現象は、スタンフォード大学で実際行われて今では禁止されている心理実験を映画化した『エス』のなかでもみられる。

また脳科学分野からもイジメ問題の研究をはじめている。大脳辺縁系からは性的欲求や愛情、認知と評価獲得、自己実現の欲求などが発せられるが、そのような欲求が満たされないストレスをコントロールして理性的に判断するのが大脳新皮質の前頭連合野。この前頭連合野の機能は生まれつきというよりも、後天的な学習作用による脳神経細胞のネットワーク形成を通じて発達する。当然ながら、幼い頃から愛情を十分に受けて育ち、自然や社会体験を積むことが発達を促進させる。そもそも今のこどもたちをとりまく環境を考えると、自然体験も社会体験、場合によっては愛情も乏しいままにストレスだけは増加傾向にあるのではないだろうか。

それに女子に見られがちな傾向として、どこかのグループに所属することが求められる。鳩やバンビは攻撃されて身の危険を感じたら、一時的に集団から逃走して危険を回避する。自己防衛手段が整っているのだが、現代のこどもたちはどうであろうか。集団を離れてひとりで行動すること、ひとりの時間をつくること。こういった孤独な時間を過ごすには、それに耐えうる行動能力やひとり遊びへの智恵が求められる。ひとりになることへの不安や恐怖が、なおかつ集団心理に拍車をかけている部分もある。いじめることはいけないことだとは、わかってはいても。
人は本来残酷な生きものである。学校の中で集団で同一行動をとらされ、なにかといえば昔の軍隊のように連帯責任。個性を重んじることによって、自由をはきちがえるような規律を乱す行為はともかく、一人の生徒の忘れ物ひとつでグループ全員が叱られるような理不屈なルール、情緒が不安定な時期で人間関係を築くのが難しい思春期のこどもたち。どこか学校も教師も問題の起点が違っているのではないだろうか。

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2 コメント

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re: (waremokou)
2007-02-09 09:40:44
>学校の中で集団で同一行動をとらされ、なにかといえば昔の軍隊のように連帯責任。個性を重んじることによって、自由をはきちがえるような規律を乱す行為はともかく、一人の生徒の忘れ物ひとつでグループ全員が叱られるような理不屈なルール


これは仕方ない面もあるのです。
40名前後の子供を一人の教師が受け持ち、なにかあれば担任の責任とされる理不尽があるのですから。
集団意識を利用せざる負えないのです。
欧米では通常一クラス12~15名前後、とアメリカ人の知人から聞いております。
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集団意識 (樹衣子)
2007-02-10 13:01:06
>欧米では通常一クラス12~15名前後

きめの細かい指導ができますよね。そもそも40名のこどもを束ねるなど至難の業ですよ。
集団意識をモチベーションにつなげることもありかと思いますが、その集団意識がひとりの時間をつくれない危うさを指摘したいのです。お子様天国ニッポンには、少々うんざりです。
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