千の天使がバスケットボールする

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年収650万円が一番ハッピーか?

2010-09-25 19:19:38 | Nonsense
先日、ヒルトンホテル創業者一族のご令嬢、パリス・ヒルトンさんが日本にやってきた、、、と思ったら、米国でコカイン所持により禁固1年、執行猶予1年の判決を受けたことために、出入国管理及び難民認定法の触れることから、早々に入国希望をとりさげてにこやかにチャーター機で去っていった。お騒がせセレブの面目躍如のご活躍ぶりだが、彼女を見ていると若くして有名であることの不幸と、とてつもないお金持ちの不運を感じる。かわいそうな人、それがこの女性を見るといつも感じる私の感想。

閑話休題。
先ごろ、02年ノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のダニエル・カールマンによる年収と幸福感の調査結果が発表された。カールマン教授は、経済や市場は人の感情で動くというプロスペクト理論で評価された。(この理論については、友野典男氏の「行動経済学」がわかりやすくおもしろい。)以前から、ある一定の所得水準を超えると、人はお金よりも健康、人間関係や仕事へのおもしろさの方が大切になるという説があったが、今般の調査によって、人の満足感は世帯年収に比例して高まるが、その「幸福感」も年収75000ドル(約650万円)で頭打ちになるという。このラインってアメリカではどの程度かというと、世帯平均年収が約610万円なので、まさにほどほどの中流。高収入の人はそれなりに仕事へのストレスを抱え、長時間の拘束と仕事に捧げた人生と引き換えにお金をえているのだから、割りに合わないかもというのが理由。日本では、仕事に時間をとられ、ハードワークだけれどワーキングプアーって労働者も多いのだけれど。。。

某日刊誌によると、同じような調査を阪大の筒井義郎教授らがすでに6年前に行っており、年収1500万円までは幸福感が比例するが、1700万円では逆に低下するという結果がでたそうだ。この日刊誌では、カールマン教授の調査結果から、大多数の読者層向けに年収650万円だったら、何とかなると励ましている。08年、総務省家計調査の標準世帯(妻専業主婦、こどもふたり)の年収平均が638万円。だから、何とかなるさ、、、?で、幸福か?

この調査で判明したのが、収入が増えても満足感は頭打ちになる。戦争もない、飢えもないと思えるこの時代に、年収のラインに幸福感と満足感がず~~~っと比例するとは誰も考えてはいないだろう。「幸せはお金では買えない」のは当たり前だ。中堅サラリーマンは自信をもとうと励ますのはよいが、「年収650万円が一番幸せ」と決め付けていいのかっ、というのが私の素朴な疑問。先日、二度目のドイツに駆け足旅行をして、ドイツ関連の本を読み、しみじみ考えたのは、この国での幸福感と日本の満足感では微妙に色合いが違う。静かで落ち着いて文化や暮らしに充実を求める国と、デパートのトイレに入るとロックの音楽が鳴り、テレビをつけると見たことのない醜い人がタレントとして跋扈している消費社会の日本。どちらの国がよいという比較ではなく、年収300~500万円で精神的に豊かな生活を送れるのは、やはりドイツであろう。300万円で自分の心はリッチだという反論もあるだろうが、私にとってはちょっと難しいと思える。ドイツでは、そんなに高収入ではなくても、家族で長期間の旅行を楽しめ、良質な音楽を聴き、文化に接して、ハイキングやスポーツに興じることもできる。かかる学費が日本とは違うというのが大きいが。

それでは、年収1500万円だったら?それだけ年収があったら、もしかしたら日本の方が暮らしやすいかもしれない。日本は世界に冠たる美食の国。フレンチ、イタリアン、チャイナ、インド、韓国と世界各国の美味しい食事を高額と言っても常識の範囲内で味わうことができる。軽井沢に別荘は無理でも、たとえ7日間程度だって、日本を脱出して毎年家族で外国旅行に行くのも決して珍しくない。サービスは一流。医学も進歩しているし、最近のマンション生活は実に便利で快適らしい。ウィーンフィルだって、毎回聴きに行けちゃう。ここまでの年収があったら、日本の方がよい。逆に考えれば、米国では年収650万円がラインだが、やはり日本では別の意味での国としての貧困さと相殺して筒井教授が提示したもっと高額の1500万円程度が満足感のピークにくるのではないだろうか。
つらつらだらだら、初秋の昼下がりにこんなくだらないことを考えたのだが、同じ年収だっら有閑マダムさまが住んでらっしゃるカルフォルニアの方がもっとよいかもーーーっ。