千の天使がバスケットボールする

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『恋するベーカリー』

2010-03-23 22:31:42 | Movie
元高校時代の同級生、女3人で六本木ヒルズ内の映画館で鑑賞。当初観る予定だった映画が残念なことに終了していたためのリリーフの『恋するベーカリー』。
なんだか大昔にあった細腕繁盛記を連想させるタイトルにちょっとがっかりめの私だったが、映画の幕開けのタイトルロールのはしっこに18禁指定のマークを見つけて、思い直す。メリル・ストリープが主演する映画で成人映画とは◎◎!おそらくそんな事情がなければDVDでも観なかったと思われる本作は、予想外にヒット!いやいや、こんなエッティなコメディは大好きである。

ジェーン(メリル・ストリープ)はサンタバーバラで人気ベーカリー・ショップを経営する独身女性、と言っても10年前にやり手の弁護士のジェイク(アレック・ボールドウィン)と離婚して3人のこどもを育て上げた。長女は婚約、長男は大学卒業式を控え、末娘は意気揚々と進学先の大学へと飛び立とうとする。仕事も私生活も順調で充実感に満たされつつありながらも、どこか満たされないものを抱えている。もしかして、あなたも空の巣症候群?そこへ自宅の増築を依頼している建築家のアダム(スティーヴ・マーティン)といい雰囲気になる。誠実そうだが、今イチださめのこの男と恋の予感だろうか。
ところが、長男のニューヨーク大学の卒業式のために宿泊するホテルのバーで元ダンナのジェイクと遭遇するや、ふたりはおおいに呑みかつ盛り上がりとうとう10年ぶりのベットイン。元夫婦ながらもすでに再婚しているジェイクにとっては、不倫の関係。こどもたちにも内緒で密会を繰り返すふたりだったが。。。

この映画の主人公は、大女優のメリル・ストリープではなく、体重の増加とともに華のある主役級から准主役クラスの俳優にすべりつつあるアレック・ボールドウィンだと宣言したい。気の強い若い後妻としつけの悪い子どもにふりまわされながらも、落ち着いた魅力の前妻にもみれんたっぷり、人はよいが調子がよくて口のうまい弁護士役がまさにはまり役。派手なスポーツカーをロックの音をガンガン鳴らして走る軽い男にぴったりだが、関取並みの肉体をギャグに使う太っ腹ぶりもお見事!かっての美男子俳優の捨て身の艶技に爆笑だった。私は、けっこうこういうキャラの男は好きである。少なくとも真面目で誠実だが、おもしろみに欠けるアダムよりもはるかに好きな人物像である。しかし、しかしながら、ジェーンの最後の選択は、やはり賢明な彼女にふさわしく円満な解決。映画の中で何度も何度も深いため息をついていたジェーン。息子の卒業式のパーティのお手伝いを申し出る母に、カードだけあればよいと伝える息子たち。自分もそうだったが、こどもはそんなもんだ。こどもたちの成長に胸をなでおろしながらも一抹の寂しさにゆれる。この辺は日本のおかんたちと変わらないと思いながらも、50代になってもちゃんと恋をするのが米国流。いくつになっても恋に現役の女は、またいくつになっても女性としての魅力は衰えないと再確認した映画だった。

ところで、映画の中でジェイクがポップコーン片手に前家族たちと自宅で映画を鑑賞する場面があるが、流れていたDVDは『卒業』である。場面は主人公のベンジャミンが婚約者の母ミセス・ロビンソンとホテルで密会しているシーン。思わずにやりとしてしまった。

監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ