千の天使がバスケットボールする

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ディープ・インパクトの衝撃

2005-08-09 23:15:03 | Nonsense
宇宙飛行士の野口さんが搭乗していたスペース・シャトル「ディスカバリー」が、今夜無事にエドワーズ空軍基地に帰還した。おめでとう、そしてクルーのみまさま、お疲れさま。
こんな夏の夜は、星空を眺めながらリムスキー・コルサコフの「シェヘラザード」を聴くのが、最も似つかわしい。
と、いうわけで先日7月4日に成功したもうひとつの宇宙ショー「ディープ・インパクト」の偉業を調べてみた。

今年の1月12日にNASAが打ち上げた直径3.2mの彗星探索機ディープ・インパクトは、秒速28.6kmでらせん状の軌道を描いて、4億3000万km先のテンペル第一彗星に接近、一方テンペル第一彗星は長楕円軌道上を毎秒27.3kmの速度で4億5000万km移動して遭遇する。まるで彦星と乙姫のように接近した後、インパクター(衝撃弾)と呼ばれる直径1mほど重量370kの子機が、長径14k、短径4.5kのじゃがいも形の彗星の中心に、秒速10.2kの高速で激突した。

これによって主に氷や炭水化物物からなるこの彗星核が、46億年前の太陽系誕生時の情報や生命誕生の謎をとく鍵となる有機物性形成についての情報をもっているという予測から、この宇宙ショーには世界中の宇宙科学者の期待が集まっていた。
その瞬間巨大な閃光が漆黒の宇宙に広がり、核表面の埃や氷塊などの物質が散らばるのを映し出していた。予想以上に閃光と広がりが大きかったことからもパウダー状の微粒子の覆われているようだと、それらの解析が期待されている。

ここまでは、宇宙のロマンティックな話だが、なんでもこれは、放った矢に銃で弾丸をあてるくらいの離れ業らしい。しかも7月4日は、米国の独立記念日。
欧州宇宙機構「ロゼッタ・ミッション」の統括者マンフレート・バールハウス氏に「これほど完璧な成功を収めたとは尊敬に値する」と絶賛させたほどの、NASAの高い技術力なのである。しかも高いのは技術力だけでない。この計画に費やしたお金は、370億円。年間1兆7000億円ものNASAの予算からすると、少ないかもしれないが、このプロジェクトの成功が諸外国にもたらした”インパクト”は”ディープ”といえよう。

東西冷戦後、米国はひとり勝ちで敵なしというところだ。そのおかげで映画「インディペンデンス・デイ」で観るように、科学、宇宙開発分野においても圧倒的な強さで、ぶっちぎりの独走への使命感に燃えている。”未来への夢の架け橋”というわかりやすい目的をかかげることのできる宇宙開発には、優秀な人材も集まりやすい。国民に対しての大金を投じることへの説明にも、良心は満足する。たとえ、こうした精緻な無人探索機の構築、画像の撮影や解析技術、コンピューターソフト開発、高速通信処理システムなどなど・・・・これらがすなわち高度な軍事技術に直結するとしても。

言わぬが花、、、というものか。
地球から1億km以上も離れた宇宙空間での華やかな光りの束を、シェヘラザードは千の夜伽話をしながら、どのような想いで眺めたのだろうか。

NASAへ飛んでみよう