千の天使がバスケットボールする

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女性の理系研究者は稀少

2005-05-18 22:48:09 | Nonsense
理系研究者、女性は11% 政府の男女共同参画白書 (共同通信) - goo ニュース

女性として初めて日本物理学会会長職を務めた、米沢富美子慶応大名誉教授の著書に「二人で紡いだ物語 」という痛快な半生記がある。
証券会社に勤務する夫を追いかけ英国に留学。京大の助手時代は子育てをしながらの妊娠中に、仕事には充分理解してくれるが家事も子育てもしない夫から「君は最近勉強していない、怠けているのではないか」という声に、殆どの女性はキレルところだが米沢さんは発奮して出世作をモノにしてしまう。その後、3人の娘を育てながら生死をさまようような大病に何度か襲われ、にもかかわらず持ち前の天真爛漫さとエネルギッシュな行動力、発想の豊かさで優れた業績を残していく過程が、ユーモラスに、そして愛情深く綴られている。

その半生記のエピソードだが、米沢さんが研究室に就職するときに、ひとりだけ入室を反対された学者がいたそうだ。彼の説によると女の研究者には、その研究活動が鈍くなるときがある。一度は恋に落ちたとき、あと出産するときだ。ところが既に長女を出産していた米沢さんは、この2回の非生産活動はもうすませているという周囲の説得で、無事就職できたそうだ。その後は、反対した学者も応援してくれるような恵まれた環境とご本人の優れた頭脳と行動力でよい研究をし、次のこども出産してさらにステップアップした。

後には笑えるエピソードなのだが、この偉い学者の学説には説得力があると思った。
米沢さんのアモルフェス研究は、所謂理論物理学の範疇に入り実験は行わずに、極端にいえば紙と鉛筆があればすすめる研究である。しかし科学研究には、長時間、長期間に及ぶ実験の必要がある研究が多く、朝から夜遅くまで女性とはいえ研究所にこもるのはめずらしくない。特に生物系は相手が生き物だから土・日もなく、夏休みもなくせっせと実験・観察するりっぱなひきこもりの生活が待っている。また米沢さんの出世作も30歳近くでひらめきすすめた論文で、この年代で大きな発見をするケースも多く、女性にとってはちょうど出産、育児と研究活動が重なるというハンディもある。そんな厳しい状況にもかかわらず研究者として生き残るには、運もあるが知的好奇心に支えられた探究心と無邪気な情熱。つまりカラダをはった本人のひたすらな努力、それを解析してくれた本書でもある。

そんな現状と問題点を指摘した研究↓

女性物理学者の研究環境

けれども女性だって科学したい、日本もそんな切実な声を応援する世の中になってもよいではないか。

「アモルファス半導体および液体金属の先駆的理論とコンピューター・シミュレーションによる解明」によって、ロレアル-ユネスコ女性科学賞受賞をしたときに、米沢さんはこう語っている。

「女性は生物学的にも研究者に向いている。直感力があり、忍耐力に優れているから。女性の能力が劣るということはない。ところが、学問と研究を続ける中で女性には、学問を続けるのが難しいという刷り込みがまだ行われている。日本だけでなく、欧米といえどもまだまだこうした見えない壁がある。女性の科学者の地位向上が必要なことを知って欲しい。」