千の天使がバスケットボールする

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「ノーベル賞経済学者の大罪」

2005-01-27 22:46:29 | Book
経済学におけるレトリック専門家、ディアドラ・N・マクロスキーが”ありったけの愛で”クライン、サムエルソン、ティンバーゲンらノーベル経済学賞受賞者をしかっているのがこの著書である。あかたも、そう、まさに著者曰くお砂場遊びに興じる甥っこらを見守る叔母の気持ちで。

計量経済学における統計的有為性の間違った使用、理論の繰り返しによって世界の諸事情を見失っている現実(世間でエコノミストの予測はアカデミックで正論だが、あたらないといわれているのと同じことかな)、そして近年隆盛を誇る社会工学の思い上がりを、ディアドラ叔母さんは厳しく、しかし包容力たっぷりに経済学者たち男どもをおおいにしかっているのである。その語り口は饒舌なおばさまそのものである。但し、その装飾にまどわされていたら、著者の主張の本質をつかめない。果たして「市場主義」万能時代は人々に幸福をもたらすのであろうか。

  

訳者の赤羽さんの、語り口をおねえ言葉で統一した決断には感服するが、本屋で平積みされていたくらいであるから、その作戦も成功したのだろう。現場のビジネスマンの感想を聞きたいものである。

最後に、最も特筆すべきは妙齢の金髪ディアドラ叔母さんの経歴である。女性エコノミストは世界中見渡しても殆どいない。だから本のカバーのディアドラ叔母さんの色っぽい写真には思わず興味をひかれた。次に、経歴を読んでたまげてしまったのは私だけだろうか。
Deirdre N.McCloskey:1942年生まれ。53歳で男性から女性に性転換する以前の名はドナルド。アイオワ大学教授を経て、現在、イリノイ州立大学シカゴ校(University of Illinois at Chicago)文理学部教授。専門は経済学・哲学・歴史学
なんと叔母さんは髭をはやしたドナルドおじさんだったのですかっ。
もしかしたら、この本よりも「性転換―53歳で女性になった大学教授」文春文庫
こちらの方を読むべきだったのかも。