正平 Story

伊豆長岡「正平荘」には人を感動させる「Story」がある。今宵、あなたと語り合いたい。

磨き込む

2015年03月22日 | 日記

掃除は旅館業とは切っても切れない重要な業務だ。
近年の掃除は専門業者による合理的な方法も多用されるが、社長中嶋は「最も原始的」な掃除を係に命じている。
中嶋の掃除についての原始体験は学生の頃に遡る。アルバイト先で掃除を命じられ、嫌々作業をした。
先輩から怒鳴りつけられた。「お前の掃除は円運動だ!! 見えるところを綺麗にするのは掃除とは言わない。」「掃除は縦・横の方向でやれ!!」
ふて腐れた態度に先輩アルバイトは腰を屈め、中嶋がモップで撫でた床を雑巾で拭き始めた。1時間後、汗を流す先輩の顔に笑顔が浮かんだ。
「これでお客さんに喜んでもらえる」
その言葉と笑顔を中嶋は今でも鮮烈に記憶している。
その体験は、神事か仏事の如く毎日行われ、お客様をお送り、お迎えする儀式として今も「正平荘」に息づいている。
通常の玄関にあたる客室の入り口は、係の女性が息を切らせながら全身で磨き込む。まるで鏡を磨く様に自分の顔が綺麗に映るまで磨くのだ。


お客様が最初に足を踏み込み、そして発っていくプライベート・スペースを大切にしている。
そのような作業をお客様は知る由もない。いや、知る必要もないのだ。


「普段着」と「よそ行き」

2015年03月01日 | 日記

何故、正平荘のサービスは和服では無いのか?

いつも社長中嶋の耳に入ってくる質問だ。

都会の料亭やレストラン・・和洋を問わずしてサービスを受け持つ女性は、和服に身を包み、凜々しく立ち居振る舞う。まるで、それが店の格付けを決定するかのように・・

しかし、社長中嶋の考えは違っていた。

 

街中の料亭と異なり、ここ正平荘は最高の料理を召し上がって頂くだけではない。風呂に浸かり、そして畳の部屋で手足を伸ばして頂く・・これらの組み合わせこそが正平荘が、お客様に提供できる非日常なのだ。

当然、お客様は街へ繰り出す時とは異なり、お風呂上がりで食事を召し上がって頂く事になる。男性も女性も浴衣姿での食事となるのだ。

「サービスは決してお客様の内側へ立ち入らず・・主役のお客様の黒子に徹しなければいけない・・」この思想を決して忘れず、常に主役のお客様を引き立てる為にサービスを受け持つ女性は今日もダークな衣装を身に付ける。