原題:MARTHA MARCY MAY MARLENE(PG12)
2011年・アメリカ(102分)
製作:ジョシュ・モンド、アントニオ・カンポス
監督&脚本:ショーン・ダーキン
出演:エリザベス・オルセン、ジョン・ホークス、サラ・ポールソン ほか
鑑賞日:2013年3月9日 (新宿)
『世界にひとつのプレイブック』に出演していたロバート・デ・ニーロつながりで、
『レッド・ライト』を鑑賞。
さらに『レッド・ライト』に出演していたエリザベス・オルセンつながりで、
本作『マーサ、あるいはマーシー・メイ』を鑑賞してみることに。
カルト集団による洗脳後の怖さをリアルに描いた作品だが、
果たして・・・。
<ストーリー>
夏のある朝、20歳のマーサは山の上の農場から脱走した。
2年前、母親が亡くなり孤独感にさいなまれていた彼女は、
親しくなった女の子に誘われ農場での共同生活に身を投じた。
カルト集団だとは気付かずに・・・。
マーシー・メイという新しい名前を付けられ、
家族のように暮らす生活に、最初のうちは心の安らぎも感じていた。
だが・・・、2年が経ち、
突如彼女は脱走し、連絡を絶っていた姉に助けを求めた。
姉夫婦が暮らす湖畔の別荘に身を寄せ、マーサとしての人生を取り戻そうとするが、
頭の中では、カルト集団での生活の記憶が幻影のようによみがえる。
自給自足の日々、リーダーから捧げられた歌、
そして“浄め”の儀式・・・
洗脳されたマーシー・メイとしての記憶が、
マーサの現実世界を再び侵しはじめる……。
心に傷を負った人間を見定め、言葉巧みに近寄り、
心を通わせながら次第に誘導していく。
自分を理解してくれているという信頼感、
精神的な居心地良さや、充足感を得ていたなら、
逃げ出せないというよりも、自ら脱け出そうとは思わないのだろう。
さらに集団生活の中で役割を与えられると、
その使命感や達成感にも満たされるのだろう。
だが、本作では、
マーシー・メイとなっても、
マーサの心は最後の一線で踏みとどまり、犯罪に手を染めることに抵抗を覚えた。
だからこそ、カルトの集団生活から逃げ出すことを決心した。
けれど、
2年間の生活で染み付いた記憶は、麻薬の様にマーサを蝕む。
逃げ出せたけれど、集団生活の記憶がフラッシュバックのように甦り、
現実と記憶の境界が次第にあいまいになる。
洗脳の恐ろしさは、
強制されるからではなく、
自からそれを受け入れ、無意識のうちに刷り込まれてしまっている点にある気がした。
だからこそ、解けるまで時間がかかるのだろう。
いや、解けるということではなく、
そこから抜け出し向かうべき場所が分からないのだろう。
どちらも自分自身なのだから。
主役を演じたエリザベス・オルセンは、
懐かしいTVドラマ『フルハウス』の末娘ミシェルを演じていた双子アシュレイとメアリーの妹だということを、
今回知った。
しかも、本作で映画デビュー。
若手女優の中でも、なかなかの演技力。
『レッド・ライト』に続いて本作を鑑賞してみたが、
今後の出演作も期待がもてそうだ。
カルト集団のリーダー役は、
『ウィンターズ・ボーン』で助演男優賞にノミネートされていたジョン・ホークス。
今回も捕えどころのない怖さをもったキャラクターをうまく演じていた。
エリザベス・オルセンに期待度:★★★★★★★★★★
ジョン・ホークスの演技度:★★★★★★★★★
洗脳の怖さ度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
鑑賞後の総合評価:★★★☆
作品自体は地味だが、いろ~んな意味で鑑賞の価値あり。
なかなか更新してないので恐縮ですが、良かったら、これからも見に来てくださいね。