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『裏切りのサーカス』(R15+) 2度目の方がスリル満点だった!

2012年06月01日 | ヒリヒリした映画

原題:TINKER TAILOR SOLDIER SPY
2011年・イギリス/フランス/ドイツ(128分)
               
原作&総指揮:ジョン・ル・カレ
監督:トーマス・アルフレッドソン
脚本:ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン 
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、マーク・ストロング、
    ジョン・ハート ほか


鑑賞日:2012年5月12日&5月21日 (新宿)

かつて人気を博した米TVドラマシリーズに
『刑事コロンボ』という作品があった。
いわゆる倒叙もので、
冒頭に犯行シーンを見せ、視聴者に犯人を明かした上で、
コロンボ刑事がいかにして犯人を追いつめていくかが見どころのドラマ。

(日本では、三谷幸喜脚本、フジテレビ系列で放送された『古畑任三郎』が、
 同じ手法のドラマ形式で制作され、やはり人気を博してましたね。)

つまり、事件の推理もさることながら、
刑事がいかにして犯人を追いこんでいくかという
心理戦こそが、醍醐味だった。


『裏切りのサーカス』は、
英国情報機関<MI6>と、
ソ連国家保安委員会<KGB>の情報戦を描いた
元スパイ、ジョン・ル・カレ原作小説の映画化。


今回、この作品をまず真っ白な状態で観た。
最低限、“サーカス”と呼ばれる幹部メンバーの
ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン、
そして、コントロールスマイリー
暗号名で呼ばれるこの顔ぶれだけは把握して観た。

ポイントとしては、ソ連の2重スパイ<もぐら>=裏切者は誰なのか?
その一点だけを注意して鑑賞。

とはいえ、、ストーリーは、
スマイリーが極秘裏に裏切者を暴く現在の作戦と、
コントロールが指揮して失敗したハンガリーの将軍亡命作戦、
つまり現在と過去を行ったり来たりしながら、
さらには唐突に回想シーンを挟みながら進行していくものだから、

かなり集中して観続けなければ、
すぐにワケが分からなくなってしまう。
ただでさえ、
スパイがスパイをスパイする複雑な神経戦なのだから、
も~う大変!!


それでも、裏切者は誰だったのか、観終われば当然判明。
キャスティングで半ば予想がついていたにせよ、
やはり最後に明かされてみて、「なるほど、そうだったのか!」と感心しつつ、
ラストのしびれるような余韻に包まれた。

下から上へと流れながら映し出されるエンドクレジットが、
なぜか右端から左端へ移動し、左端から右端へと戻ってくるスクリーンを見つめながら、
結局、裏切者は誰だったのかだけでは、
とてもこの作品がもっている醍醐味を味わい切れていないのではないか?
という気になり、
この作品は、もう一度観よう。と決心。


9日後、再び映画館へ。

『刑事コロンボ』同様、
犯人ならぬ<もぐら>が誰かを分かった上で、
いかに炙り出されていくのか観てみると・・・

これが1回目より格段にハラハラドキドキ!!
どこが始まりだったのか?
何が仕組まれていたのか?
複雑なストーリーだけでなく、細かい仕掛け、伏線までよく見えてきた。
登場人物たちの運命も分かっているので、感情移入もしやすい。

あのゲイリー・オールドマンが、
一切の感情を静かに押し殺した演技はやはり凄い。

秀逸だったのは、
じっと前方を見つめたまま一度たりとも瞬きをせず、
カーラとの対面シーンを語る場面。
映画には登場しないカーラを見つめるスマイリーの瞳には、
たしかにカーラが存在していた。


もちろん他の俳優たちの演技もじっくり堪能できて、
おまけに原作者のル・カレもちゃっかり出演していているのを発見したりして・・・、
2回目のほうが見応えがあり、たまらなく興奮した。

監督は、『ぼくのエリ200歳の少女』('08)のトーマス・アルフレッドソン。

あの雪に埋もれたスウェーデンの地方都市で静かに進む物語には、
不思議なほど引き込まれ、やはり目が離せなかった。
本作『裏切りのサーカス』の監督には、アルフレッドソン自ら名乗りを上げたようで、
原作者のル・カレも『ぼくのエリ~』を観て、オッケーを出したようだ。

過剰な演出は排し、見せることで緊張感を生み出していく手法は、
かつてないほど静かに進行するスパイ映画に、見事にマッチしていた。


この作品は、2度目のほうがもっと面白い!!

いぶし銀の名優たちの競演度:★★★★★★★★★★★★★★★★
70年代スパイのリアル度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
監督の手腕度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
脳が酸欠になる度:★★★★★★★★★★★★★★★★
スマイリーの微笑にしびれる度:★★★★★★★★★★★★★★

鑑賞後の総合評価:★★★★☆




ちょっとだけネタバレ


2度見ても、やはりイリーナの唐突な処刑があまりにあっけなくて、
かえってショックが大きい。
その分、彼女の無事を信じ待ち続けるリッキー・ターの切なさが引き立つ。

余談:
原作のスマイリー・シリーズは3部作だけど、この映画に続編はあるのだろうか?


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