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『ドン・ジョヴァンニ』オペラを知らない男の感想。

2010年04月30日 | ???だった映画

『ドン・ジョヴァンニ~天才劇作家とモーツァルトの出会い~』 
                        
(G) 
                            原題:IO,DON GIOVANNI
                     2009年・イタリア=スペイン (127分)
               

監督:カルロス・サウラ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:V・M・モーツァルト、A・ヴィヴァルディ
出演:ロレンツォ・バルドゥッチ、リノ・グアンチャーレ、エミリア・ヴェルジネッリ ほか


                                 鑑賞日:2010年4月27日(渋谷)

 


“ダ・ポンテ X モーツァルト、ここに至高のオペラ
 《ドン・ジョヴァンニ》誕生の秘密が解き明かされる!”

オペラに造詣があるわけでもなく、
モーツァルトのファンというわけでもない身としては、
若干、敷居が高く感じられますが、
「たまには、こういう映画でも観て教養を高めておかないとね。」
という気分で映画館へ。


訪れたのは、渋谷Bunkamura ル・シネマ。
火曜日は誰でも千円で観られるということもあり、
上映中の『オーケストラ』、『ドン・ジョヴァンニ』ともに満席という大盛況ぶり。
しかも驚いたことに、観客の9割が平均年齢60歳のレディーたち。
「みなさん、こういう映画がお好きなんですね~。」と感心しつつも、
あきらかに、ぼくだけ浮いてしまっている状態での鑑賞となりました。


さて、映画はといえば・・・。

*以下、ネタバレありの感想です。ご注意ください。





  主人公は、数多の女性遍歴をもつ劇作家ダ・ポンテ。
  彼が、一目見て恋に落ちた美しい乙女がアンネッタ。

  女には事欠かないにもかかわらず、
  彼女の愛を手に入れたいと心底願ったポンテ。
  だが、彼の女性遍歴を知ったアンネッタは、ポンテを拒絶。

  諦めきれないポンテは、考えた。
 「そうだ。伝説の色男ドン・ジョバンニに己を投影し、
  いかに悔い改め、どれほど愛しているか、オペラ作品にして伝えよう!」と。

  そこで、
  前作[フィガロの結婚]でタッグを組み成功を収めたモーツァルトを巻き込み、
  創作開始。
  だが、モーツァルトは作曲過程で肉体的にも精神的にも疲れ果てていく。

  それでも、急き立てるポンテ。
  そして、モーツァルトが命を削るようにして創り上げたオペラこそが、
  不朽の名作[ドン・ジョヴァンニ]だった~!

  みごとアンネッタの愛を勝ちとったダ・ポンテは89歳まで長生きし、
  モーツァルトは無理が祟って、35歳で亡くなりましたとさ。

  おしまい。

と、あえて下世話な書き方で紹介すると、そんな内容のストーリーでした。

「え~、そんな馬鹿な~」という声が聞こえてきそうですが、
なにせ劇中で、

♪イタリアでは640人 ドイツでは231人 
 スペインでは1003人~   
      

と、関係した女性の数を朗々と繰り返し歌っていたものですから。
(ど素人の感想で、スミマセン。)


もちろん、このままでは、身も蓋もない話。
そこで、カルロス・サウラとヴィットリオ・ストラーロのコンビ技が光る。

登場人物たちには煌びやかな衣装を着させ、
18世紀ヨーロッパの風景や背景は絵画的に表現。
場面転換には演劇的手法が用いられ、
映画というよりは、まるで舞台を見ているかのような錯覚に。

放蕩男の身勝手な話が、
美しい映像と美しい音楽に彩られた芸術作品へと変身。

喩えるなら、単なるブドウ果汁が、ワインへと生まれ変わったようなもの。
色、香り、そして味わい。すべてが楽しめる逸品へと。
(テーブル・ワインかもしれませんが・・・)

かつて観た『アマデウス』のような
重厚で歯ごたえのある作品かと身構えていたら、
はるかに軽いテイストで、肩の力を抜いて楽しむことができました。

門外漢にとっては、オペラ入門編として、うってつけの作品かもしれません。

もちろん、オペラやクラシックに造詣のある人は、
より深く読み取ることの出来る秀麗な作品なんだろうと思います。


ただ、個人的には、冒頭のシーンの必要性を感じなかったし、
ラストの注釈は必要ないような気がしました。

 

男のロマン度:★★★★★★
エミリア・ヴェルジネッリの瞳の美しさ度:★★★★★★★
モーツァルトはやはり天才だと思う度:★★★★★★★★★★★★★
オペラ[ドン・ジョヴァンニ]を鑑賞してみたくなる度:★★★★★★★★★

総合評価:★★★★


余談ですが、
こういうアートフルな作品は、秋の夜長に鑑賞するのが合うような気も・・・。



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