どうも、こんにちは。
京都・夏の風物詩といえば「祇園祭」。
先日、前祭の宵宮(よいみや)に行ってきました。
京都市のほぼ中心部、四条烏丸の付近。
京都市営地下鉄・バス、阪急電車など交通の便がいいこともあって、既に大勢の人で賑わっています。
四条烏丸の交差点から少し西へ進みますと、「函谷鉾’(かんこぼこ)」が見えてきます。
この鉾は、「古代中国・斉の国の孟嘗君が敵に囚われるものの、鶏の鳴き真似をする男の芸によって、函谷関から敵地を脱出する」という古代中国の有名な故事にちなんで作られたものだそうです。
「函谷鉾」の前を過ぎ、室町通りとの交差点から、室町通りを北へ。
「菊水鉾(きくすいほこ)」が立っています。
この町内に古くからある名水の井戸「菊水井」と。
また菊の露を飲み続けて不老長寿を得た‘永遠の美少年’「菊慈童」の伝説に由来して創られた山鉾です。
シリーズ第409回記事でとりあげたことがあります。
室町通りから、錦小路通り。
「霰天神山(あられてんじんやま)」です。
永正年間(1504~1520年)、京都に大火のあった時、霰(あられ)が降ってきて猛火はたちまちに消えたそうです。同時に一寸二分(約3.6センチ)の天神像が降ってきたので、これを祀ったのがこの山の起こりであると伝えられています。
シリーズ第363回でとりあげたことがあります。
ところで、「霰天神山」会所そばにある「膳處漢(ぜぜかん)ぽっちり」では、「しみだれ豚まん」が売られています。
一年のうち、祇園祭・前祭の宵宮・宵山の数日間だけ売っているという特別メニューです。
毎年、買うために行列が出来る人気メニューです。
室町通りをさらに北上したら、「山伏山」があります。
このご神体である「浄蔵(じょうぞう)」という人物の蔵です。
山伏の格好をしていますが、天台宗の僧だそうです。
シリーズ第122回でとりあげたことがあります。
「怨霊を払った」とか、「盗賊を金縛りにした」とか、「皇族の病気を加持祈祷で治した」とか、「法力で鉢を飛ばしてそれで食物を得ていた」とか、さらには「一条戻り橋で、死んだ父を復活させた」など、不思議な話がいくつも遺されています。
“八坂の塔”法観寺が傾いた時に、法力によってたった一晩で元に戻したという伝説もあります(シリーズ第109回を参照)。
なお、真偽の程は定かではありませんが。
この浄蔵人形、汗をかくという噂もあるとか……。
室町通りをさらに北上。
「鯉山」……の会所です。
今年の「鯉山」は、24日後祭の巡行に参加しますので、まだご神体の鯉は出ていません。
が、豪華な装飾品の数々が。
これらのタペストリーは、古代ギリシャの叙事詩「イリアス」の一場面を表現したものだそうです。
16世紀頃にベルギーで製作された当時世界最高級の作品だそうです。元々徳川将軍家に献上されたものだそうですが、それが人知れず大商人の手を経て、京都の町一番の晴れ舞台である祇園祭の山鉾で使われるようになったという話です。
これは歴史的・文化的価値も非常に高い貴重なものだそうです。
こういう凄い宝物が、何百年もの間、京都の町衆の間で守り続けられてきたという事実には、良い意味で驚かされるばかりです。
ところで祇園祭について、17日の「山鉾巡行が祇園祭のクライマックス」とかいう人が、テレビのニュースキャスターにも居るようですが。
本シリーズ祇園祭関連記事でも何回か申し上げましたが、毎年7月1日の「吉符入り(きっぷいり)」から、7月31日の「疫神社祭(夏越祭)」までを、「祇園祭」と言うのです。
また、「祇園祭」で一番重要なのは神事は「山鉾巡行」ではありません。17日・24日の山鉾巡行の後に行われる「神幸祭」と「還幸祭」という神輿の巡行なのですが。
もっとも、一般にはご存知ない方も多いですし、京都在住の人にもあまりよく知らない方も多い。かく言う私でさえ実は、本シリーズで祇園祭について取り上げるまでは、よくわからなかったのですがね。
だから一般の方がご存知ないのに、批判がましいことを言うつもりはないのですが。ただ、テレビのニュースキャスターや番組スタッフ等の情報のプロともいうべき方々が、勉強不足で知らないのは少々まずいんじゃないですか、と(苦笑)。
(以下の写真は「疫神社祭(夏越祭)」が行われる「疫神社(蘇民将来社)」です)
それと。
何故 、この『京都妖怪探訪』シリーズでとりあげるようになったかと言いますと。
元々は、天災や疫病などの原因と考えられていた怨霊や疫神などを鎮めるという、宗教的というか呪術的な意味合いを持つ神事だったのですね。
もっと極端に言えば、怨霊や疫神などのご機嫌をとって、人間の世界に災いを為すことの無い様、大人しくしてもらおうという祭事なのですが。
人間に災いを為す邪悪な、危険な存在だからといって、いたずらに排除しようとしない日本人古来の発想や。それがエンターテイメント性も高い京都有数、日本有数のお祭りとして存続してきた事実とか。
いろんな意味でなかなかに面白いお祭りですね。
今年の祇園祭は、都合がなかなか合わずに参加できませんでしたが。
今後もこの祇園祭についてとりあげていきたいですね。
本記事の終わりに、祇園祭宵宮・宵山期間中の八坂神社の様子です。
それでは今回はここまで。
また次回。
*八坂神社へのアクセス・周辺地図はこちら。
*八坂神社のHP
http://www.yasaka-jinja.or.jp/
*祇園祭のHP
http://www.gionmatsuri.jp/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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