京都の闇に魅せられて(新館)

高島の白髭神社 @ 京都妖怪探訪(344)





 どうも、こんにちは。
 このところ桜の話ばかりでしたので、今回は違う話を。
 前回に琵琶湖北岸の海津大崎を訪れた途中で立ち寄った、滋賀県高島市の琵琶湖岸に立つ「白髭(しらひげ)神社」を紹介します。

 「白髭」と言えば、国民的人気マンガ・アニメ『ONE PIECE』に登場する最強の海賊‘白髭’ことエドワード・ニューゲートを思い出しますが、もちろん彼をまつった神社ではありません。
 ……っと、いきなりしょうもないことを言ってしまいましたが、ここからは真面目に解説します。

 この神社、湖岸道路が通っている他は交通の便もそれほど多くはない場所に静かに佇んでいるような印象があって、普段はあまり目立つこともなく、また京都の有名寺社のように多くの観光客が訪れるわけでもないのですが。
 それでも歴史は古く、また由緒のある神社です。
 「近江最古の社」とも言われ、全国にある「城髭社」の
総本山でもあります。
 謡曲「白髭」の舞台ともなった他、いくつもの不思議な伝説・伝承なども遺されている場所でもあります。




 湖岸道路(161号線)沿い、琵琶湖の湖面の上に立つ「湖中鳥居」。





 鳥居の向こうに見える陸地は、琵琶湖の中に浮かぶ沖の島だそうです。
 この鳥居にも不思議な言い伝えが遺されています。
 舟など湖上交通の盛んだった古来から、参拝のための目印だったとされていますが。
 また社伝・社記によれば、「天下変災の前兆として社前の湖中に石橋や鳥居が突然姿を現した」ともされています。
 この鳥居は近年になって再建されたそうですが。
 ……ん?
 「天下変災の凶兆」だったものをわざわざ建てて大丈夫なのだろうか、とも一瞬思いましたが、あまり野暮なことを言うのはやめておきましょう。



 湖中鳥居から161号線道路を挟んで向かい側に、赤い大きな入り口の鳥居が立っています。






 本殿から境内へ。
 本殿前の狛犬と唐獅子。どちらもいい面構えです。









 そして本殿へ参拝します。





 白髭神社の主祭神は、「猿田彦命(さるたひこのみこと)」です。
 日本神話の天孫降臨の際、天照大神の孫・ニニギ率いる天津神一行を道案内した神様です。
 この猿田彦、非常に面白い神様で、日本書紀などの記述によれば「その鼻の長さ七咫、背の長さ七尺余、また口尻明りて耀れり、眼は八咫鏡の如くにして耀輝けること、赤酸醤(ホウズキ)に似たり」と、かなり特異というか、異様ともいえる容貌です。
 白髭神社HPには、「大にしては国の行く手を示す神であり、小にしては道の守り神として悪いものを防ぎ、よき方への導きの神」と説明されています。また「この神が岐れ路道におられて睨みを聴かせているのだから、悪いものは近寄ることさえできない」と、強力な眼力によって邪悪なものを退ける力を持った神様だともされています。
 神話や古代史などを調べてみても、実はこの猿田彦という神様、かなり重要な役割を果たしていたり、様々な謎があったりなど、いろいろと面白い神様ですが……ここで詳しく突き詰めていきますと本題からそれてしまうので、その話はまた別の機会にでもしましょう。



 本殿の横に、謡曲「白鬚」の説明書きがありました。





 勅使(天皇の使者)が白鬚神社に参詣した時、老漁夫の姿で現れた明神(猿田彦)がこの神社の縁起を、比叡山が仏法修行の聖地であるために外道魔物を入れない地となった縁起を語ります。そして明神は真の姿を表して楽を奏で、天女と竜神も現れて御代(天皇の治める代)を祝福する。
 これが謡曲「白鬚」の内容ですが、これは皇室礼賛、政治的プロパガンダの側面もあるような気が……。
 それはともかくとして。
 比叡山が平安京の「鬼門(北東の方角)」を霊的に守護するために創建されたという話は、一部の歴史研究者やオカルトマニアなどの間で有名な説ですが、比叡山よりさらに北東にある白鬚神社も、そうした霊的守護の役割を担っていたことが、この話から考えられます。
 ただ社殿によれば、白鬚神社の歴史は比叡山と平安京よりはるかに古く、第11代・垂仁天皇の時代に創建され、天武天皇の時代に「比良明神」の号を賜ったとされています。
 そして平安時代以後も、平安京を守る霊的守護の役割を担っているとされたということは、この神社及び主祭神・猿田彦は重要な存在と考えられ続けてきた。
 それほど由緒のある存在だったのではないか、と考えられます。

 

 境内の末社もめぐります。
 手前に見えるのが「若宮神社」です。





 祭神は「太田命」。主祭神・猿田彦の別名・幼名とも、裔孫とも云われますが、諸説あるようで今ひとつはっきりしません。



 本殿裏の階段を上って、「上の宮」とも呼ばれる末社に。








 八幡、天照大神、豊受姫、天満社(=菅原道真)、稲荷社、七福神の寿老人と弁財天。
 多種多様な神様が祀られています。
 同じ場所に多種多様な神様が、しかも元は異教の神様だった存在まで祀られているというのも、多神教・神仏習合の国・日本ならではの光景でしょうか。
 そう考えると面白いですね。



 さらに境内林の奥に、「岩戸社」が建っています。








 境内奥にあった石室(古墳)を、日本神話の「天の岩戸」に見立てて奉納しているようです。
 ここが境内の一番奥だったようです。



 「上の宮」付近から見た、境内とびわ湖の光景です。






 境内には他には、紫式部、松尾芭蕉、与謝野晶子など有名人の歌碑がいくつも建っていました。(その詳細についてはこちらをご覧ください)。
 各時代の歌人・有名人も歌に詠んできたということは、古来より有名な場所だったと思われます。



 失礼ながら、現在では交通の便が限られていることもあり、またあまり大きな社ではないため、京都の有名寺社などと比べてもあまり目立たないような印象を受けるのですが。
 しかしそういう寺社でも、実は凄い歴史や由緒があったりして、面白いものだと思いました。









 それでは今回はここまで。
 また次回。




*白髭神社へのアクセス・周辺地図は、こちらをご覧ください。



*白髭神社のHP
http://shirahigejinja.com/index.html




*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm





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