京都の闇に魅せられて(新館)

神地の髪結び猫伝承 @ 京都妖怪探訪(652)





(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)


 どうも、こんにちは。
 シリーズ前々回前回に引き続いて今回も、京都の妖怪伝承地を巡ります。
 今回は「髪結び猫」という妖怪の伝承が遺る神地(こうじ)です。


 いつもならば交通アクセスからいきますが、その前に。
 そもそも「髪結び猫」とはどんな妖怪か少し説明しましょう。
 の「亀岡市西別院町の歴史」というページには以下のような記述が(以下、引用)。


>≪西別院町神池の伝説≫

西別院町神池のそばに一つのお墓があり、このお墓に長く髪を垂らした女に化けた「髪結び猫」が出ると言う伝説があります。

近年の春にもお墓の松の木の二股に分かれた幹に、髪結び猫を見かけたという人がいたそうです。その時はお墓の上に一つの火の玉が見えたと思ったら、すぐその下に17、18歳くらいの若い女がしきりと長い髪をたらして結っていたそうな・・・。

(引用ここまで)


 「髪結び猫」。
 同じ京都の妖怪でも、酒呑童子土蜘蛛鵺(ぬえ)などという有名な妖怪などと比べても、知名度低そうですし、元々の伝承を見ても、髪を垂らした女性の姿で現れるだけで、派手で強力な妖術を使うわけでもないし、人を襲ったりするわけでもないし、随分と地味な印象の妖怪だと印象です。
 しかも「髪結び猫」という名前なのに、ただの女性の幽霊みたいなキャラで、全然猫と違うやんけ、という突っ込み所も(笑)。
 あのWikipedia「京都の妖怪」にも名前が載っていない(注:本記事を書いている2019年10月7日現在)し、随分と知名度の低いマイナーな妖怪のようです。
 そうかと思ったら、現在のスマホゲームのキャラにもなってもいるようです。
 例えば、スマホゲーム『あやかし百鬼夜行・魂』には、以下の様に






 うーん。
 この「髪結び猫」というのは、どんなキャラ、どんな妖怪なのか。
 妙に気にもなったので、その伝承地である「西別院町神池」(現在は京都府亀岡市)を訪れることに。


 まずは、いつののようにアクセスから。
 公共交通機関を使うなら、シリーズ前々回前回の「そろばん坊主」伝承地・笑路(わろうじ)と同じく、まずは京阪京都交通バスで、JR亀岡駅から「京都学園大学・京都亀岡キャンパス」停留所から。






 そこから「亀岡市ふるさとバス」の「F21」「F22」「F24」に乗り換え、「神地(こうじ)」停留所を目指します。





 ここの一日辺りの便数があまり無いので、バスで訪れる時には少し注意が必要でしょう。
 少し歩けば、大阪府豊能町との境目です。





 ここは京都府の西の端ということです。
 辺りには田畑が広がる山間の風景が。











 嗚呼、これぞ日本の田園風景・・・。
 などと、ゆっくり感傷に浸っている場合ではありません。
 伝承にある、「髪結び猫」(と呼ばれた若い女性の幽霊)が現れたというお墓はどこかを探してみましたが・・・見つかりません。
 いや、墓地もありましたが・・・。
 その墓地を示すものも、またその場所をはっきりと特定する資料や文献も見つかりませんし・・・探しようがありません。
 でも、唯一。
 大分前に見て、どこのブログだったかど忘れしたのですが・・・(現在は削除・閉鎖されたか?)。
 とあるブログの記事で、その付近にある白鬚神社(しらひげじんじゃ)と、市杵島姫神社(いちきしまひめじんじゃ)に手がかりがあるという記述がありました。
 そのわずかな手がかりを頼りに、ますはその付近に建つ白鬚神社を訪れます。
 林の木々で隠れていましたが、少し探すとすぐ見つかりました。














 全国に幾つもあるという「白鬚神社」のひとつでしょう。
 総本社は滋賀・高島の白鬚神社。ご祭神は、日本神話で天孫降臨を導いたとされる「猿田彦大神(サルタヒコ)」です。
 本シリーズ第344回でも、紹介したことがあります。
 天孫降臨の先導役を果たしたことから、「導きの神様」として知られ、「交通安全」「厄除け開運」から「縁結び・恋愛成就」などのご利益があるとされています。


 白鬚神社での礼拝を終えた後は、やはり付近に建つ「市杵島姫神社」を探します。
 地元の消防団の倉庫・集会所らしき場所から少し奥へと進むと・・・。






 市杵島姫神社(いちきしまひめじんじゃ)が見つかりました。












 ここには豊富に湧き出している水があるようです。






 おや?
 女性の乳房のようなところから、水が湧き出しています。





 これは、「乳の泉」というものだそうです。
 辺りに由緒書きか案内看板のようなものが。







 市杵島姫神社は、宗像三女神のうち「市杵島姫(イチキシマヒメ)」を祀る神社ですが、日本では密教などの弁財天とも習合され、信仰されているようです。
 この弁財天社は、あの‘弘法大師’空海が勧請したと伝えられています。
ここから湧き出る「乳の泉」には、乳の出ない女性が飲むと乳が出るようになるとも言われ、現在でもこの水を飲んだり、汲みに来たりする人が居るようです。
 私が訪れた時でも、夫婦らしき方が車に乗ってポリ容器に水を汲みに来ていました。
 「乳の泉」には、こんな話も伝わっています。
 昔、嵯峨御所に心優しい皇女が居て、男子を出産しましたが、乳の出が悪く、乳母も見つからず困っていました。その時、かつて牛車に轢き殺されそうになったところを助けた白蛇が庭に現れ、「丹波の弁天さん」と助言をします。
 皇女はその助言に従い、ここを見つけ、湧き出ている水を飲んだところ、乳があふれ出るようになり、男の子は健やかに成長した、ということです。
 以後、ここは「乳の泉」と信仰されているそうです。
 しかもこの水、干魃の時でも枯れたことが無く、常に水が溢れているとも言われています。


 ところで京都市内にも、同じ祭神を祀った「市比賣神社(いちひめじんじゃ)」という神社がありますが、そちらは「女人守護」として、つまり女性の守り神として有名です。


 さて。
 「白鬚神社」に「市杵島姫神社」。
 「髪結び猫」伝承の神地に建つふたつの古社。
 どちらも商売の神様であり、また「安産」「縁結び」など女性にご利益のある神様でもあります。
 となると、ここ神地の地も、かつては多くの女性が訪れた、あるいは多くの女性が住んで居た土地だったかもしれませんね。
 その中にはこの地で人生を終え、この地に葬られた女性も居たかもしれません。
 しかも、死後も幽霊となって現れるくらいですから、普通ならざる死を、何か哀しい最期を遂げた女性だったと考えられます。
 また、「この、泥棒猫!」だとか、「ボクの可愛い子猫ちゃん」などと言う言い方もあるように、今でも時々女性は猫に喩えられることもあります。
 しかし、女性が猫に喩えられるのは、どんな場合か?
 「可愛らしい」とか、「小生意気」だとか、「我が道を行く、マイペースな」などというイメージかな。
 死後も猫に喩えられるとは、「髪結び猫」となったのは、どんな女性だったのか?
 何かの記録によれば、大正十三年頃、火の玉を伴って現れたそうですが。
 もし彼女に出会えることがあったなら、是非とも尋ねてみたいものです。

 「あなたは誰なのか? あなたは何者なのか?」
 「あなたは一体、この地でどんな死を遂げたのか? どんな人生を送ってきたのか?」

 嗚呼、女性にこんな質問をするのは失礼ですかね。
 でも、この地を去った後も。
 是非とも聴いてみたいものだ、という想いというか、妄想にかられながらこの記事を書いていました。






 今回はここまで。
 また次回。





*亀岡・神地の市杵島姫神社の周辺地図はこちら




*『京都妖怪探訪』まとめページ
https://kyotoyokai.jp/




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