京都の闇に魅せられて(新館)

*「他者感覚」のない人々

 どうも最近の日本人には、「他者感覚」というものがない人が増えているのではないか?
 私もあまり気が利く男ではないし、よく失敗もするので、偉そうなことは言えないかもしれない。
しかし、そのように思わざるをえないような事例をよく耳にするし、また警備員として各地の現場や施設に立っていると、そのような事例を実際よく目にする。

 先日、サークルの大先輩であるファン=ヒューリック氏からお便りをいただいたが、その中に以下のよう内容があった。


前述の通り、今私は資格試験の為に勉強しているんだけど、昼間は近くのスターバックスに言って勉強してるんですが、その時の事です。

基本的に本を広げたりするので、大きいテーブルを利用するんだけど、その途中で前に女子高生らしい2人が、私のテーブルの向かいに座って、会話を始めた。その内容が呆れる、彼氏とラブホテルに行って、お泊りしたそうだ、そしてあそこのホテルは綺麗だったとか、会員になればお得だとか、そんな事を言っている。思わず呆れてしまった。会話の内容もだが、昼間のカフェでしかも直ぐ前に他人の居る所でだ、恥かしくは無いのだろうかと呆れる。特別大きな声では無いが、私の耳が聞こえないと言うのでも無ければ、間違いなく聞こえる距離だ、恥かしく無いのだろうか。

平和ボケと言えばそれまでだが、もう少し回りが見えないのだろうかっと聞いてるこっちが疲れてしまった。



 これも他者感覚のない人たちの一例だろう。
 私は、伝聞だけでなく実際に目にすることも多い。他者感覚が欠落したとしか考えようがない人たちの行状を。
 つい先週も、こんなことがあった。

 それは夕方近くのことだった。
 いつものように警備員の仕事で立っていると、現場前の交差点にバイクに乗った10代後半から20代後半くらいの女の子がやってきた。ヘルメットの下からは、やや色白の肌、ぱっちりと開いた瞳、きれいな赤い色をした愛くるしい唇。
『うわあ、かなり可愛い女の子だなー』
などと内心思った。
 しかし、彼女の様子がちょっと変だ。どういうわけか、バイクのエンジンを作動させたまま、降りようともせず、信号待ちの歩行者と一緒に横断歩道の前に停まっている。
 そして信号が変わった瞬間、私がバイクの美少女に抱いていた幻想(というか妄想?)を、一瞬にして粉微塵に打ち砕くことが起こった。
 なんとその彼女、バイクに乗ったまま横断歩道を渡りだしたのだ! それだけではない。
反対側の車線に着いたら、そこを逆走しだしたのだ。しかも、歩道部分をおよそ20~30メートルに渡って! そして、反対側車線を少し下がったところにあるガソリンスタンドに入った。どうやら彼女は、そこへ行きたかったようだが、バイクを手で押したり、反対側の車線へと方向転換したりするのが、面倒だったのだろう。
 しかしそれは、明らかな道路交通法違反である。私は民間の警備員だから、取り締まる権限はない。だが、もし警察官や交通巡視員がいたら確実に捕まっていただろう。いや、単に道路交通法がどうのこうのという問題ではない。「反対車線を逆走する」とか「歩道をバイクで走る」というのが、どれだけ危険で、他人にも迷惑をかける行為であるかというのが、彼女には考えられなかったのだろうか? 歩道と横断歩道には、何人か歩行者がいたというのに。この近くに学校や病院があるためか、小さい子供やお年寄り、体の不自由な人たちも多いというのに。
 失礼な言い方になるが、どんなに美人であっても、ああいう女の子とはお近づきにはなりたくないものだ。
 私はあまりのことに唖然呆然として何も言えなかったが、せめて「そんなことをしたら、危ないですよ!」とぐらいは言うべきだったかもしれない。まあ、そこは私自身の未熟さ故だ。

 その他、もう何年も警備員として各地の現場や施設に立っていて、他者感覚が欠落したとしか思えない人たちの行状を、いやというほど目にしてきた。
 例えば、やたらと車のクラクションを鳴らす人。本当に危ない時には鳴らすことも必要なのだろうが、中には自分の都合だけで鳴らしているとしか思えない運転者もいる。自分がスピードの出しすぎで走っているのに、普通に走っている前の車をどかせるために、けたたましくクラクションを鳴らせる人。横断歩道前で停止している前の車をどかせるために、やたらとクラクションを鳴らす運転者もいる。横断歩道には、まだ横断中の歩行者もいるというのに。

 本当に、「他者感覚」というか、他人の、周りのことがまるで見えないし、考えられないのだろう。考えられ、見えるのは「自分」だけ。
 いつから、何故そんな風になってしまったのだろうか?
 なお、本文では若い女性の例ばかり取り上げたが、他者感覚の欠落は老若男女関係なく見られる特徴である。

 私が懸念するのは、そのような人たちが逆境に陥った時、どうなるかだ。
 おそらく「かわいそうなのは自分だけ」と被害者意識だけを膨らませるのだろう。
 「苦労したり、辛い目にあった人ほど、他人の気持ちが分かる」と言われるが、必ずしもそうではないようだ。

 私がさらに懸念するのは、そのような人たちが、中途半端なナショナリズムやおかしな宗教に影響された時である。
 おそらくは、そうやって極端な国家主義や排外主義とか、いわゆる原理主義に走る人が出てくるんだろうな。
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