貴船編第6話です。
前回の結社(ゆいのやしろ)から奥宮に向かいますが、奥宮に行く前にとりあえげたいスポットがありましたので、今回記事にします。
ひとつは、「相生(あいおい)の大杉」。
もうひとつは「思ひ川」です。
どちらも、恋愛や縁結びに関係のあるスポットです。
結社のところからさらに山奥、貴船川の上流へと向かいます。
貴船神社・奥宮へ続く参道の入り口が見えてきました。
奥宮に入る前に少し気になるスポットを見つけたので、そこにも寄ります。
まずは、奥宮参道入り口の手前にある「相生の大杉」という大木です。
その奥に、何やらお社もあります。
奥にある社は、貴船神社の2つの末社です。
ひとつは、大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀る「私市社(さきいちしゃ)」。
もうひとつは、少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀る「林田社(はやしだしゃ)」です。
日本神話に詳しい方ならすぐにおわかりでしょうが、この2人の神様は、国造りを行った名コンビとして知られています。
少彦名命は、医薬や酒造の神として知られていますが、大国主命の方はシリーズ第24回の清水寺・地主神社で祀られているように、縁結びの神様としても有名です。
ここでご神木にもなっている「相生の大杉」は、樹齢千年を越え、しかもひとつの根から二本の杉が生えているという非常に珍しい杉です。
以下の3枚続きの写真右側の大杉が「相生の大杉」です。
「相生(あいおい)」は「相老(あいおい)」にも通じ、「夫婦共に末長く生きる」という意味にもなります。
次回でとりあげる奥宮や、京都市内にある下鴨神社境内にもこうした不思議な樹が生えていて、縁結びの神様として崇められ、親しまれています。
相生の大杉を越えると、貴船神社・奥宮(おくのみや)の参道入り口です。
その鳥居のところに小川が流れ、小さな橋がかかっています。
この小さな川は「思ひ川」と呼ばれているそうです。
天喜3(1055)年に水害により現在の本宮へ移転するまで、現在の奥宮が貴船神社の本社だったそうです。
この川は、本社へ参詣する前に手を洗い、口をすすいで身を清める、禊ぎ・物忌みの川だったのです。
それが、縁結びや恋愛祈願などで訪れる人が昔から多かったこともあったのでしょうか。
元は物忌みの川だった「おものいみ川」が、いつの頃からか「思ひ川」と呼ばれるようになったという話です。
今回、貴船神社・奥宮の手前にある2つの恋愛・縁結び関連スポットをとりあげました。
しかし……。
光あれば影あり。
何事も表があれば、必ず裏があるものです。
そして、「縁結び」があれば、「縁切り」もあるのです。
本シリーズでも、しばしばそういうスポットを紹介してきました。
縁結びの聖地・パワースポットが、同時に縁切りの魔所であったりとか。
第4回の「鉄輪の井」と「命婦稲荷」。
第5回と第23回の「安井金比羅」。
第24回の「清水寺・地主神社」と「おかげ明神」。そして、第26回の「夜叉神堂」(妖怪研究で有名な小松和彦氏によれば、これがかつての「縁切夜叉」だそうです)。
……などなど。
そして「縁切り」祈願の究極形といえば、相手を自分からだけではなく、この世から絶縁させてしまうこと……つまり、相手を死に至らしめる祈願……「呪殺」です。
縁結びの神様としても名高い貴船神社もその例外ではなく、古くからこうした「闇」の部分を抱えてきたのです。
あの有名な「丑の刻参り」。
一般には、「丑の刻(夜中の2~3時頃)、神社の木に呪いの藁人形を釘で打ち付けて特定の相手を呪うまじない」として知られていますが、その発祥地がここ貴船の奥宮だったのです。
そして今でも、わずかですがその痕跡が残されていました。
次回から2回に渡って、「貴船神社・奥宮」をとりあげますが、こうした貴船の闇の部分というのもとりあげる記事にしたいと思います。
それでは、今回はここまで。
続きはまた次回に。
貴船神社のホームページ
http://kibune.jp/jinja/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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