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どうも、こんにちは。
またしばらく記事更新が滞ってしまいましたが、今回もシリーズ前々回と前回に続いて、京都の紅葉名所のひとつである‘真如堂’真正極楽寺を巡ります。
今回は、歴史・伝説に名高い大陰陽師・安倍晴明が地獄から蘇生したという伝説を、本堂周辺や庭の紅葉風景と共に紹介していきます。
シリーズ前回の続きで本堂へ。
まずここで、「真如堂」こと「真正極楽寺」の説明から。
拝観した時に頂いたパンフレットの記述に寄れば、だいたい以下の通り。
この古刹は、正式名称を「鈴聲山真正極楽寺(れいしょうざん・しんしょうごくらくじ)」といい、比叡山延暦寺を本山とする天台宗の寺院です。
永観2年(984年)に、比叡山の戒算(かいさん)上人が、現在の本尊である阿弥陀如来像を、現在の地の近くにあった東三條院(藤原栓子、円融天皇の女御、一条天皇の母)の寝殿に堂を建てて祀ったのが始まりだとされています。
その後、応仁の乱や豊臣秀吉の聚楽第建設など歴史の激動によって移転・遷座を繰り返し、元禄3年(1693年)にようやく現在の地に落ち着いたそうです。
ここの本尊・阿弥陀如来は、最澄の弟子で比叡山第3代目座主・‘慈覚大師’円仁によって作られたそうですが、次のような話が遺されています。
如来像の完成直前に大師が「比叡山の修行僧の為の本尊となってください」と言うと、如来像は首を横に振って拒否しました。大師が「それでは都に下って、全ての人々をお救いください。特に女の人をお救いください」という、如来像はうなずき、比叡山から都で祀られるようになった、と伝えられています。
京都などの古刹の縁起や由緒には、こういう不思議な話が多くみられますが、これも「いかに霊験があるか、いかに神仏の加護に恵まれているか」をアピールしていたのでしょうか。
なお本堂内の撮影許可は得られていませんでしたので、残念ながら本尊の姿や本堂の光景をここへお届けすることはできませんが。
本堂から書院へと続く道も紅葉で染まっています。
それにしても、この古刹と本尊・阿弥陀如来の縁起にはどういった意味があったのでしょうか。
推測ですが、一般庶民、特に女性など、通常ならば天台宗の教義や修行などにあまり縁の深く無さそうな人々にも、天台宗の信仰を広める為に創られたのではないか、と。
それで当時の女性の代表的存在(?)として選ばれた天皇の女御の元へ祀られた、というところでしょうか。
書院へと続く道の脇にはこういう面白いものも。
仏教寺院といえば「お堅い場所」というイメージがありますが、庭などを観ると、こういうちょっとした遊び心が見えるポイントも結構あったりしていいですね。
書院から「涅槃の庭」へ。
「随縁の庭」。
えらく斬新な日本庭園だなと思ったら、2010年に創られたという話です。
さて、この辺で。
この古刹と、不動明王像にまつわる、陰陽師・安倍晴明の蘇生伝説を紹介しましょう。
安倍晴明が突然死し、地獄の閻魔王の前に引き出された時、晴明の念持仏であった不動明王が閻魔王に懇願して、晴明は復活を許された、という話です。
その際閻魔王は次のように言って、安倍晴明に印を授けました。
「これはわが秘印にして、現世では横死(不慮の死、非業の死など)の難を救い、来世では印を持つ者の往生を決定させるものである。この印はおぬし一人の為だけのものではない。娑婆へ持ち帰ったら、諸人に施し、導くべし」
現世に期間した晴明はこの印(おそらく印影)を諸人に施し、
晴明の死後、印と不動明王像は共に真如堂に納められ、印影は現在も参拝者に授与されています。
これが現在も授与されている印影です。
シリーズ第591回記事の清浄華院の泣不動伝説でもありましたが、不動明王は閻魔王(閻魔天)よりも上位の存在ですから、その頼みや言動を無視は出来ません。
泣不動伝説も、こちらの晴明蘇生伝説も、物語としては面白いのですが・・・これらの伝説で描かれる不動明王は、閻魔王にとって「自分が目をかけた特定の人物のみを特別扱いしろ」と、極端に言えば「依怙贔屓しろ」と命令する、或いは忖度させる上司の様な存在ではないか、という気がしなくもないですが。
特に閻魔王の職務と言えば、公平性が強く求められる裁判官のようなものですから、「閻魔王さんも大変だな」と思わずにいられませんでした。
いえ、また口の悪いことを言ってしまいましたが、私も(裁判官ではありませんが)サラリーマンをやっているから、ついついそう思ってしまったのです。
紅葉に彩られた復路を楽しみながら、書院と本堂を出ます。
出入り口の付近で見かけた、安倍晴明の印・五芒星の描かれた絵馬。
本堂を出てからも紅葉風景が続きます。
今回はここまで。
また次回。
*‘真如堂’真正極楽寺へのアクセスはこちら。
*‘真如堂’真正極楽寺のHP
https://shin-nyo-do.jp/
*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/
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