図書館の駐車場で人を待っていた。
隣の車の窓が開いていた。
だから、運転席と助手席に座る二人の
姿と話し声がすべて見て取れた。
運転席にはなにかのマヒで少しゆがんだ
表情の中年女性。
ジャージを着用。
助手席にはやせぎすのやはり何かを
かかえているような初老の男性。
カッターシャツ着用。
どこかの養護施設の職員同士が
もしかしたら恋に落ちて、
夏の一日を楽しんでるのかもしれないと、
おせっかいにも、思った。
しばらくの沈黙の後、
男性が突然雄弁に語りだした。
雄弁と言っても、
それはおだやかで知的な
さわやかな話し声だった。
生きる意味って、
宗教って、
最近思うこと、
そんな内容だった。
そして、
男性だけ車を降り、図書館へ向かった。
杖をついていた。
しばらくして、
二人の女の子がきゃあきゃあ言いながら
その車に乗り込んだ。
おかあさーん、飴ないのー?
おかあさーん、窓開けてー。
なんて、甘えながら。
そのすぐあとに、今度は少年と青年の間くらいの
男の子がやってきて、
やっぱり同じ車に乗り込んだ。
初老の男性が座っていた助手席に。
そして、しばらく後男性が杖をつきながら
車へ近づき、
助手席のドアを開け、
座ろうと、
男の子のひざの上へ、
もう少しで座ってしまうところだった!
なんだ、おまえたち、帰ってたのか。
誰かが、帰ろうって、言ったんだな。
えらいね。
わざわざ言いに行かなくてもよかったね。
と言うのと、みんなの明るい笑い声とが
一緒になった。
結局おとーさんのほうが遅かったねえ、
なんていいながら、
もう、絵に描いたような、
ほほえましい、明るい家族。
お父さんの杖は、よく見たら、
白いだった。
隣の車の窓が開いていた。
だから、運転席と助手席に座る二人の
姿と話し声がすべて見て取れた。
運転席にはなにかのマヒで少しゆがんだ
表情の中年女性。
ジャージを着用。
助手席にはやせぎすのやはり何かを
かかえているような初老の男性。
カッターシャツ着用。
どこかの養護施設の職員同士が
もしかしたら恋に落ちて、
夏の一日を楽しんでるのかもしれないと、
おせっかいにも、思った。
しばらくの沈黙の後、
男性が突然雄弁に語りだした。
雄弁と言っても、
それはおだやかで知的な
さわやかな話し声だった。
生きる意味って、
宗教って、
最近思うこと、
そんな内容だった。
そして、
男性だけ車を降り、図書館へ向かった。
杖をついていた。
しばらくして、
二人の女の子がきゃあきゃあ言いながら
その車に乗り込んだ。
おかあさーん、飴ないのー?
おかあさーん、窓開けてー。
なんて、甘えながら。
そのすぐあとに、今度は少年と青年の間くらいの
男の子がやってきて、
やっぱり同じ車に乗り込んだ。
初老の男性が座っていた助手席に。
そして、しばらく後男性が杖をつきながら
車へ近づき、
助手席のドアを開け、
座ろうと、
男の子のひざの上へ、
もう少しで座ってしまうところだった!
なんだ、おまえたち、帰ってたのか。
誰かが、帰ろうって、言ったんだな。
えらいね。
わざわざ言いに行かなくてもよかったね。
と言うのと、みんなの明るい笑い声とが
一緒になった。
結局おとーさんのほうが遅かったねえ、
なんていいながら、
もう、絵に描いたような、
ほほえましい、明るい家族。
お父さんの杖は、よく見たら、
白いだった。