コマメディア ー史上最弱の仏弟子 コマメー

仏教ファン、瞑想バカのフリーライター森竹ひろこ(コマメ)の仏系ブログ。最弱なので、おてやわらかに!

20周年を迎えたブッタとシッタカブッタを再評価。「なやんでもいいよとブッタは、いった」

2014-02-21 | 仏系読書メモ





小泉吉宏氏の4コマンガ「ブッタとシッタカブッタ」シリーズが発売から20周年を迎え、全8タイトルを加筆、再編集して1冊にまとめたダイジェスト版「なやんでもいいよとブッダは、いった」が発売されました。
私がシリーズと出会ったのは仏法を学ぶ前でしたが、かわいい絵柄だけどピリッとスパイスの効いたマンガはおもしろく、「幸も不幸も自分の心次第」というベースに流れる思想にも共感でき、「心を読み解く」本として楽しく読んでいました。

その後、瞑想の修練をし、ブッダの教えを学ぶようになりましたが、仏教をテーマにした累計200万部の大ベストセラーなのに仏教仲間の間で話題になることは皆無。私もいつしか本棚の奥にしまい込んでいましたが、久しぶりに新刊を入手して読んでみると、この作品がしっかりとブッダの教えをベースに書かれていることに、今更ながら驚きました。
ブッダの思想や上座部仏教に関する一般向け書籍が次々に刊行されて資料が豊富になった現在でも難しいのに、20年前からブッダの言葉を的確にとらえ、それをウイットの効いた4コママンガで表現する作者の力量は、素直にスゴイと思います。

本書では「私たちは心のクセで物事を見ている」「私たちは物事をちゃんと見ていないから、苦しみを生み出す」「悩みの種を育てているのは自分自身」、そんなブッダの教えのエッセンスが、目覚めた(であろう)ブタのブッタと、子ブタのシッタカブッタの禅問答のような対話や、個性豊かなブタさんたちの悩み多き日常を通して語られます。
例えば怒りと欲については、心(ハート)を手に入れたブタ型ロボットのロブッタが、ハートを地面に置き去りにして怒り狂っているイラストに添えてこんな言葉で表しています。

欲が悪じゃない
怒りが悪じゃない
問題は欲に我を失うこと
問題は怒りに我を失うこと



作者は「読書とは著者との対話ではなく、本を通しての自分の心との対話である」と作品を通して提唱しています。
シリーズは心や癒やしに感心のある女性を中心に読まれているようですが、そういった意味では仏教や瞑想を学んでいる人にこそお勧めしたいです。
欲を無くそうと修行するが、修行に対する欲で苦しむブタさん、理想の自分像に今の自分のダメさを攻撃され、自己嫌悪に落ちるブタさん、自分の問題だらけの内面を見たくないためゲームに興じるブタさん……そんなブタさんたちを笑いながらも、実は自分の姿でもあるとドキリとさせられます。(ゲームは仏教書や瞑想でも置き換え可能ですしね)
クスリと笑いながら自分を見つめ直し、仏法の学びに多角的な視点を与えてくれる、そんな一冊でした。




(おまけ)
アマゾンでシリーズ2冊目の「そのまんまでいいよ」に、以下のようなレビューを書いて星2つをつけている方がいました。

初めっから
「私にはあなたを救えない/誰もあなたを救えない/あなた以外はね
 あなたは気付いていない/あなたを真に救えるのは/あなただけ」
と書いてあります。初めっから読む気を無くします。

本書は多くの人に勧められますが、自分ではなにもせず他人に問題を解決してもらいたい人には、あまりお勧めできないのかもしれません。
「そのまんまでいいよ」という言葉は、誤解されやすい言葉だなぁ……





現在も20年前も、そしてブッダいた2500年前も、
悩み苦しみの本質は変わらないのですね。

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