以前この話題について書いた記事はこちら1、2、3、4、5
サル顔なのに自殺した男の謎
(上の電波塔の写真はイメージで実際の場所ではありません)
賢者も愚者も、永遠に記憶されることはない。 やがて来る日には、
すべて忘れられてしまう。 賢者も愚者も等しく死ぬとは何ということか。
人間に臨むことは動物にも臨み、これも死に、あれも死ぬ。同じ霊をもっているにすぎず、
人間は動物に何らまさるところはない。すべては空しく、すべてはひとつのところに行く。
すべては塵から成った。
Facebookで猿田の自殺の情報を集めた所、自殺した場所と方法が特定できた。
猿田の実家から徒歩で15分ほどの距離の住宅地にある、携帯の基地局だと思われる電波塔に登って飛び降り自殺した事が分かった。
方法と場所は分かったが、一番の謎である”何故”は全く分からなかった。
情報を提供してくれた女性も自分が教えて欲しい位だと言っていた。
しかし、いくら死にたかったからと言って、良くあの場所の、あの電波塔を登ったなあと言うのが
感想だ。どういう状況で登ったのか?昼なのか、夜なのか、口論して飛び出して登ったのか?
最初からそこを目指したのか?死に場を探して偶然見つけたのか?
登った所を通報されなかったのか?飛び降りてすぐに救急車を呼ばれたのか?
即死か?事故後に意識はあったか?遺書は?
正直言って、彼のバカでお調子者な性格と理由が良く分からない事を考えると自殺でなく、
何かの悪戯というか冗談で登って誤って転落した可能性も捨てきれないと思うのだが、
彼の一番近い所にいた親友ごっこ仲間からは自殺である事を疑う者はいなかった。
もし事故だとしても、いくら何でも冗談で登って滑って死んだなら恥ずかしすぎるから
自殺という事にするだろう。
結局のところ、理由は不明なまま、それでも確かな事は一つある。
猿田は猿顔であり強力なモンキーバイブレーションを持っていた、しかし彼は猿そのものではなかった。
ある人は言った「サルちゃんは行き詰ってたかもしれない、繊細だったから。未遂があったわけじゃないから。
真相は誰も分からない~」
猿田が電波塔に登ったのは敵に追われた猿が木に登る姿、そのものだ。
しかし、そこに留まることはできない木の上に人に住むことは出来ない。
先延ばしにできても、じきに追い出される。
猿田は猿でもあるが故に登り、猿ではないが故に落ちて、そして死んだ、そういう事だ。
猿顔の猿田は何か問題を抱えていた、猿並みの頭と品性だったから
問題から逃げ出し木に登り、人間であったから逃げきれない事が理解でき飛び降りた、しかし
猿田が抱えていた問題は他人から見たら恐らくは大した問題ではない、でも猿田は上り落ちた。
この奇妙な事件を一言で説明できる言葉を私たちは良く知ってる、そして
私はある事実に気が付きと慄然する。
”猿も木から落ちる”そう”猿も木から落ちる”そしてそれは誰にでも起こりうる。
彼が死ぬために昇った鉄塔からは、彼が育った町が見下ろせたはず。
この町の中でかなり笑った事もあったはずだし、生きてればまた笑えたと思うのだが。
これから死のうとする彼の眼に、彼が生きてきた町はどう映ったのだろう?