九重自然史研究所便り

昆虫採集と観察のすすめ

アメリカが発行した第二次大戦50周年切手

2015-08-17 16:32:25 | 日記

終戦記念日に思うことを書いた際、紹介した切手は1944年から始まる連合軍の反撃の様子を示していた。この切手はそれに続きアメリカ軍の反撃を示している。上の左端は硫黄島の戦闘に勝利し星条旗を立てた場面が描かれている。ついでマニラの解放、沖縄戦、さらに米ソ両軍がエルベ川畔で出会う場面、最後は生き残って解放されたユダヤ人が描かれている。また世界地図の下にも5枚の切手がある。アメリカ人が第二次大戦戦の記憶を忘れないための記念切手だ。もしかすると1942年と1943年との切手も、つまり真珠湾攻撃の切手もあるのかもしれない。なおこの切手は息子がアメリカに留学していたとき持ち帰ったものだ。私も渡米した時、合衆国の50州の州鳥を描いた切手を入手したことがある。
なお下の5枚の切手の説明が写っていないので原文を左から右へ1~5の番号をつけてタイプしておく。
1. Germany surrenders at Reims, May 7. 1945
2. By 1945, World War II has uprooted millions
3. Truman, anounces Japan's surrender, Aug. 14. 1945
4. News of victory hits home, Aug. 14-15, 1945
5. Hometowns honor their returning veterans, 1945
なお原爆を広島と長崎に投下したことについてはこの切手の地図の中に淡々と書かれている。日本を降伏させるために原爆を使用したなどと言い訳がましいことは書いていない。太平洋戦争の勝敗はレイテ沖の海戦と沖縄の戦いでもう決着がついていた。その時点で降伏をするべきだったと思う。歴史を見れば、残念ながら政治の一手段として戦争も選択肢の一つとしてあるだろう。政治学を学んだ人はそういうことも学んだと思う。成熟した近代国家は損害が少ないうちに引くをこと知っている。ドイツにいた時、ライン川のどこかだったと思うが、その昔フランスに勝利した大きな記念碑を見て私は驚いた。なぜなら戦争に負けたとたん彦根では護国神社をさざなみ神社と名前を変えた。私は子供ながらも偽装するのはさもしい根性の大人たちだと思ったことを覚えている。ドイツ人は敗戦後もその碑を撤去せず、観光客に堂々と碑の由来を説明していた。フランス人だってそんなものに腹を立てる人はいないだろう。その時、アメリカ人が多かったが彼らも昔の戦争の英雄に敬意を評して静かに聞いていた。

67.イスパニョーラ島の生物

2015-08-17 07:57:57 | 日記

イスパニョーラ島の鳥を最初に見たのはコロンブスだ!
 ラス・カサスが紹介しているコロンブスの第一回の航海の記録に有名な鳥の話がある。それは1492年9月29日土曜日のことであった。彼は近くに陸地が存在すると確信できる印として、3羽のアルカトラ鳥と1羽のラビオカード鳥(尾がY字状になった鳥)が飛ぶのを目撃した。コロンブスが長い航海の末に陸地に近づきつつある確かな証拠を何か見つけようとして目を皿のようにして回りを見張っていた時だった。新大陸に到着する直前の緊迫した瞬間である。
 ラビオカード鳥は「アルカトラ鳥が糞をするまで追いかけて、その糞を取る」とある。私の読んだ翻訳ではこの鳥が何であるか示されていないが、おそらくグンカンチョウ(軍艦鳥)らしい。スペイン語辞書にはアルカトラスはシロカツオドリとある。
 アメリカグンカンチョウFregata magnificens(グンカンドリ科)はドミニカの海岸の海水浴場で、人があまりいない海の上空をゆっくりと旋回している翼の先が尖り、尾にY字状切れ込みがある大きな黒い鳥である。われわれがそろそろ宿へ引き上げようとする時間帯に決まって数羽のこの鳥が気流に身を任せるようにゆうゆうと飛んでいる。翼を広げれば2m近くある大きな鳥である。
 この鳥の餌の捕り方は、トビウオやイカなどがマグロやイルカに下から追われると、逃げようとする魚たちは沸き立つように海面から跳ね上がる。グンカンチョウはその瞬間に急降下して海面すれすれで体を濡らすことなく餌をくわえて反転し舞い上がる。まるで地上の標的を急降下して攻撃し、そのまま地上すれすれに舞い上がっていく戦闘機のようだ。
 しかしグンカンチョウの成鳥の一部や若鳥はそのような技術がないのか、他のカツオドリなど海鳥が十分に餌を取って戻ってくるのを上空で旋回しながら待ちかまえ、その鳥を追い回して餌を吐き出させ横取りする。軍艦鳥という名はその鳥の黒い影とそのような海賊行為がもとでついた名前らしい。

なお図版の3枚のチョウ切手はドミニカ共和国が発行したものではなく、カリブ海諸島にドミニカ島という小さな英領の島があり、そこが出した切手である。チョウ切手はコレクターが多かったから、島の財政を少しでも豊かにするため発行した。カリブ海諸島の他の島もチョウ切手を出している。大分医科大学の英語のアメリカ人講師は、私がドミニカと言うと、君は間違っている、何もつけずドミニカと呼ぶのは小さな島国の方で、君の言うドミニカはドミニカ共和国と言わないとアメリカでは通じないと言い張った。彼は地理の時間にそう習ったらしい。