暮らし研究家『暮らし家』の古民家・田舎生活

豊かな暮らしってなんだろう。モノではない「何か」。残し、守り、伝えたいモノや事柄を岡山県西粟倉村から発信します。

2016年 おせち。

2016年01月05日 | てまひま
遡ること約5日前。
近年にない暖冬なので、おせちもできるだけ日持ちさせたくて、31日に予定を詰め込んでました。

午前中は花人参を作ったり、手綱こんにゃくを作ったり、くわい松笠を作ったり
いわゆる切り作業を主にして、足らずの材料を買いに。

ちょっとした食材を買うのにも行って帰ってで2時間かかったりするのが田舎。


帰って、さー、やるぞ!!
…と思った頃に来客三組…



いやいや、それ自体は嬉しいんです。
嬉しいからこそ私もおせちのことは置いといてお話してしまったわけですし。




気がつくと夕方。
まだ煮物も鶏肉巻きも、〆サバ寿司もできてないやーん。

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何とか仕上げて、それぞれをお重に詰められるように切り、後は詰めるだけ!
暖房をつけていない部屋へ移動し詰め詰め。
うちのぶん、お義母さんのぶん、頼まれているぶん、お年始の挨拶用のオードブル風…



と詰め終えて片づけが済んだら、なんと22時でした


何とも手際が悪すぎる…。
来年はここをどうにかしなくては。







一の重。



二の重。


三の重。




いつもの食事より手の込んだことをするので時間は掛かりますが
これはいわゆる私の「ライフワーク」。

『おせちを作る』という行為そのものが
自分を振り返り、見つめなおし、自分を成長させるかけがえの無い時間なのです。




そして歳神様への一年で最初のお供え物。
お重に詰める食材にはそれぞれの意味があり、食べ物に願いを込めて神様にお願いする…
それだけ先人の生活は厳しく過酷なものだったということがうかがい知れます。
それぞれの意味にについてはコチラ→http://matome.naver.jp/odai/2135394397317349601にゆずりますね。
知らないなーという方はぜひごらんになって、近しい方に教えて差し上げてください。





大人になってもこういう「食育」って大切だと思うのです。

12月30日。

2015年12月30日 | てまひま
クラシカの飲食部門「てまひま」の総決算の時がやってきました。

そう、おせち作り。



私たちを見守ってくださっている歳神様へのお供え物です。
だから、一年間で一番豪華で一番手を加え、心をこめて作らせて頂きます。




視覚で把握しないと覚えきれないので、毎年リストを作ります。

もう毎年のことなので、仕入れが変わればちょちょちょっと手直しするだけの焼き直し。



さて、最初は大事な出汁取りから。

繊細な色のものや味付けが多いので昆布と鰹節のお出汁で。


ほとんど昨年とおしながきは変わりませんが、ちょっと変わったことといえば
秋に剥いておいた栗

を冷凍しておいたので

栗の甘露煮を作ったことと


筋子が手に入ったので、いくらのしょうゆ漬けも手づくりしました。





れんこんを花形に切ったり


海老も食べやすいように触角を切ったり尻尾をそろえたり。

こういうヒトてまを加えることは大変だけどとても楽しいひと時です。




今日は日持ちするものや、あとで火を入れなおしできるものを中心に作りました。



田作り






かずのこ。小ぶりだけど北海道産が手に入りました。




これは黒豆煮るのに入れた錆びくぎ。
・・・肝心の黒豆撮るの忘れました。




牛肉の八幡巻きは下味をつけたごぼうを巻き巻き。
片栗粉をまぶして巻くことと、巻き終わりから焼き付けるとはがれてきません。






かんぴょうを結ぶのもちょっとずつ慣れてきた昆布巻き。
昨年は鮭を巻きましたが今年は豚肉巻き。
着物の帯締めのように結びます。統一すると見た目もとってもキレイ。


さ、これからコトコト煮るぞ~~と思っていたら…



あ、豚肉だから下茹でしなくちゃいけなかったことを思い出し…



よっぽどそのまま煮てもいいんじゃないか…という誘惑にかられましたが
その時歳神様の顔が脳裏に浮かび…

全部ほどいて豚肉をさっと茹で、また巻き直しました…。
鮭だとね、そのまま巻くんだけどね…。



あとはローストビーフ・伊達巻・ミートローフ・栗きんとん…などなど本日のノルマは果たせて終了。



明日、もうひと頑張りです★



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2016年 1月24日(日)
天徳寺にてみそ作りします。

残り6名参加可能です。
詳しくはフェイスブックイベントページ→https://www.facebook.com/events/885572831559940/

見えるものと、見えざるもの。

2015年11月16日 | てまひま
日本全国、新米の時期である。



以前、記事にもあげたことがあるが、うちの米は籾保管なので

「もみすり」という作業をして初めて玄米になる。これをさらに精米して白米となる。
玄米で保管、とも思ったのだが、それには冷蔵庫が必要であり
コストの問題と、その冷蔵庫を置く場所の問題を鑑み、籾保管することにしたのだ。



隣の鳥取県では籾保管の風習が残っているようで
コインもみすり機なるものがあるようなのだが、
そこでは一気に精米までしてしまうというものらしい。

精米した米を土に置くと腐ってしまうのだが、玄米を土に撒くと芽が出る。
それだけ玄米というのは『生命』を宿しているのだ。
そんな命の源である玄米ででも米を楽しみたい。
なので、小型ではあるが、籾摺り機を購入した。

余談だが、ここ西粟倉では個人で米用の冷蔵庫を持っていることはそう珍しくない。
それだけ家族の数がまだ多いということと、それだけ広い土地をお持ちの方が多いということだろう。






郷土博物館にありそうなこの唐箕で脱穀したので籾にはひげがついているものも多い。
果たしてうまく作動するだろうか…とスイッチオン。



おお、籾殻が!


心配そうに見つめる旦那。


二度ほどかけたほうが良いようだが、なかなかうまく籾摺りをしてくれた。










美味しい米を育ててくれた大地に御礼を。








さて、肝心の米の味だが。

今年は他の産地の他の品種の新米も少し分けていただいたりして、食べ比べることができた。
まず見た目は、やはり休耕田だったとはいえ、栽培期間中は無施肥だったこともあり、小粒である。
そして、刈り取り・乾燥・脱穀とすべて手作業だったため、機械で米の選別もしていない。
これも栽培期間中は無農薬のため、被害が少ないとはいえ、カメムシの害はあった。
カメムシは米の成長過程で、ミルク状の米のエキスをチューっと吸う。
その跡が米に黒班を残す。
しかし、これを食べても全く害はなく、農家の方に言わせれば『安全の証』のようなものだと教えてくれた。
確かに日本人はその繊細な性格からか、極端にキレイな農作物を好む。

見えない農薬と見える黒い米

自分や、自分の愛する家族が食べるお米は、二択ならばどちらがいいか?
ほとんどの方が、たとえ黒い点が混じったお米でも、農薬たっぷりのお米よりはよいと考えるだろう。
ただ、知らないから黒い点が混じっていると敬遠する。
かく言う私も今年初めて知った。
でも今後は「まぁ、農薬にさらされずにすくすく育ったのね!」とありがたくいただける。


そして味の面だが、天日干しをしたせいか、噛めば噛むほど米の味がする、といった感じがする。
食べていて「質実剛健」こんな言葉が頭に浮かんだ。
力強い命の味が感じられる…。

ただ、みなさまにどう伝えようかと頭を悩ませた結果…
横綱北の湖、というよりは



横綱千代の富士のようなお米であるとお伝えしておこう。



多少贔屓目なのは置いておいても
この千代の富士、たまらなく美味しい。

常識を身につけ、常識を疑え。

2015年11月14日 | てまひま
先日、「無添加ベーコンの会」に出席してきた。






私の母は、私が言うのもおかしいが料理上手で、マメな人だった。
幼い私の記憶の中の母は、もやしのひげを取ったり、生アサリの殻むきをしたり、さやえんどうの筋を取ったり…いつも食べごとに関することをしている。
瀬戸内海で育ったからか、昆布とイリコで出汁もしっかりひいていた。
そんな母だったが、うまみ調味料に関しては、文明の利器とばかりにそれはもうただ単に良かれと思って使っていた派だった。
戦後貧しく、厳しい時代を過ごしてきた母にとって我が子に「うまみ」を取らせたい、という単純な親心だったと思うし
それに関しては何の不満もない。
こんな食いしん坊に育てていただいて感謝している。



ただ…
自分でもうっすら気づいていたのだが、時々無性に食べたくなる、あの味。
「うまみ」=あの味とインプットされてしまっているかのような時が時々あった。


3歳までの食経験は、その人の一生の味覚を左右する
これは本当だな、と思った。

ちなみに赤ちゃんの味蕾は、お母さんのおなかにいる妊娠7週目くらいにでき始め、14週くらいには大人とほぼ同じ構造になり、
その後は生後3カ月くらいまで増え続ける。
味蕾細胞は生まれたばかりの赤ちゃんには約1万個。大人になると半減する。
それほど味に敏感なのだ。
生後3カ月でピークを迎える味蕾だが、5カ月くらいになると味蕾細胞の数はそのままで、味覚だけが鈍感になってくる。
この時期がちょうど人間の離乳食開始時期と重なるので、ミルク以外の食べ物を受け入れる体制が自然とできるというわけである。
人間の体はつくづく良くできている。



それはさておき、西粟倉に引っ越してから、新鮮な野菜を食べるようになり
自分で作れるものはできるだけ自分で、と挑戦するようになってから、あの「無性に」がほとんどなくなったきた。
そして、パッケージの裏に書かれてある【原材料】のところを意識してみるようになってきた。
添加物(といっても台所にはなさそうな工業的な名前のもの)が極力少ないものを探す時、意外に難しいのが

★ベーコン・ハム・サラミなどの肉加工品
★お漬物
★めんたいこ

この辺である。(※ネットで探せばそれぞれあるのだろうが、近所のスーパーで、と言う場合に限らせていただきたい)


そんなときにFBで見つけた「無添加ベーコンの会」。
しかも主催者のやもりなおみさんはできるだけ少ない材料とできるだけ少ない手順でという
私にとってはうってつけの方法を教えてくださった。


当然と言えば当然なのだが、今ある加工品のすべては人間の手で作られているのだから
家で作れないものはないのだろう。
ただ、こうやって人に教えていただいたり、他の人たちと共有できると覚えるのも早い。
それに自分で作ると言うことは「安心」とか「安全」とかそれにもまして食べ物に対する「愛情」という
プライスレスなものを手に入れることができる。
ついでに「私ってえらい!」と自画自賛自己肯定してあげられる。




早く燻製するチップを購入せねばならないのだが
塩漬けにした豚バラ肉と豚肩ロースは、いつかぐわしい香りの煙に身を包まれるのかと、冷蔵庫の中で満を持して待っている。

アキニカコマレテ、イル。

2015年11月10日 | てまひま
友人から柿が届いたので、干し柿作り。
経験則からいいますと

フルーツナイフなどでヘタのまわりをむいてから


皮むき器でむくとやりやすいかと思います。
その時はピャーッっとむくのではなく、「おいしくなってね~」とむくのがコツです





縄などの縒りをねじって戻してわっかを作り、そこにT字枝をくぐらせていきます。

その後は熱湯で消毒。




そして日当たり・風通しの良い場所に吊るせば出来上がり。









銀杏の黄色
柿のオレンジ
もみじの赤…。

季節に逆らうように色を燃やしながら秋が深まっています。















立冬 第五十五候 山茶始開 つばきはじめてひらく