キム兄弟の冬の日・1

2019-02-18 | キム兄弟のお話
※キム家三兄弟のお話。
ミンソク・中2、ジュンミョン・中1、ジョンデ・小6
※従弟のジョンイン・幼稚園の年長組
※隣家のセフン・幼稚園の年少組



従兄弟のジョンインと隣家のオ・セフンは同じの母親がインフルエンザにかかってしまったので放課後だれか幼稚園に二人を迎えに行って家に連れてきて、と朝食の時に母に申し付けられた。
従弟のジョンインは彼らの母親が姉妹なので、よく彼らの家に遊びに来ていたし、隣家のセフンは理由は知らないが母子家庭だったので彼の母の仕事が遅い時などはキム家でよく預かったりしていた。
なので二人をいっぺんに預かることもそんなに特別なことではなかった。

「ジュンミョンが行けよ。俺はサッカー部の練習で遅くなるしジョンデはまだ小学生だし」
と、ミンソクに言われジュンミョンは渋々承知した。
渋々、にはそれなりの理由があるのだ。
─そもそも小さな子どもは苦手なんだ、話が通じないし。この前もおんぶしろっていうからしてやったら髪を引っ張るし。おまけに迎えに行ってもまだ遊ぶってなかなか帰らないし。
「俺の言うことはよく聞くぜ」とミンソクに言われたことを思い出してますます足取りが重くなった。
幼稚園の門の前でため息をついてしばらく立っていたが、あまりの寒さに意を決して中に入る。
教室に行くと担任の先生が奥でブロック遊びをしている二人の名前を呼んでくれた。
─ここからが長いんだぜきっと。
と、覚悟していると、振り向いた二人は子馬のようにジュンミョンのところまで走って来る。
珍しいな、いつもはもっと遊びたいと駄々をこねるのに、と思っていると腕や鞄をかなりの勢いで引っ張るので前屈みになった。
すると二人は左右に別れ、小さな手でジュンミョンの耳を包み込む。
「お耳、まっか…」「寒かったの?」
かぜひかないで…と、泣きそうな顔で言うから。
思わず二人を抱き締めて「あったかい…」と呟いた。

帰り道、いつもならズボンのボケットに突っ込んでいる手で小さな手を繋ぎながら、たまにはこんな暖かな冬の日もいいかもな、と思った。



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