ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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出国税法案金曜夜9時半に可決、「森友改竄」財務省半壊の予兆、参予算委高プロも猛攻、衆、国際観光旅客税法案大詰め、国交委は「8法案お願い」と大臣所信

2018年03月02日 21時41分45秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]参議院第一委員会室、きょねん2017年5月、筆者・宮崎信行撮影。

 出国税改め国際観光旅客勢法案が衆議院財務金融委員会で午後9時前後に採決し、可決すべきものと決まりました。参議院予算委員会。朝日新聞が1面トップで、昨年2月、国会に改竄した文書を示した疑いを掲載。さっそく取り上げられ、大臣は否定はしませんでした。防衛大臣は、さんざん観測報道があったとはいえ、護衛艦いずもの空母化検討をついに認めました。衆議院は前日の空転から1日で正常化。荷崩れした、国際観光旅客税法案が採決へ。衆議院の内閣委員会、外務委員会、国土交通委員会で大臣所信があり、半分の委員会で所信が終わりました。

【参議院予算委員会 平成30年2018年3月2日(金)】

「平成30年度予算案」3日目。そのうち、基本的質疑2日目。テレビ入り全閣僚出席の総括質疑が、きょうで今国会最後かもしれません。今国会では、河野太郎外相、世耕弘成経済産業大臣が全閣僚出席を院外で批判しましたが、自分たちで補正予算案を出しておいて、当初予算案でもそういうことを言うなら、さっさと辞めろとしか言いようがありません。強い怒りを感じます。

 前日から続いて、自民党の宮本周司さん。参議院自民党の国対の指示があったのか分かりませんが、「気になる報道があった」と朝日報道から入りました。別エントリーにも書いた通り、麻生太郎財務相は「大阪地検特捜部の捜査にどのような影響があるか予見しがたく、コメントしづらい」と語りました。今国会では安倍晋三首相自ら朝日新聞の実名を挙げた攻撃が目立ちますが、麻生さんはきょうの報道の否定はしませんでした。宮本さんも釘をさしてから、次の質問に行きました。

 与党・公明党の魚住裕一郎さんも「裁量労働制は国民に疑念を持たせた」と開口一番、政府の姿勢に疑念を投げかけました。

 共産党の小池晃さん。基本的質疑は「片道方式」で質疑者の発言時間のみカウントされます。小池さんは午前11時37分ごろ登場し、午後2時53分ごろまで質疑しました。小池さんは午前中は、「働き方改革関連法案(未提出)」について、「家族の会のひっしの訴えと、野党6党の連携、国民の世論で法案を分離させた」と胸を張りました。

 小池さんは午後一番、朝日報道で、財務省の太田充理財局長が答弁。太田さんは、捜査中だから答弁できないとしました。ただし、調査は、捜査が終わってからするとしたところを、小池さんや、おそらく与党理事からも、「今すぐ調査を始めるべきだ」とただされました。10月からのNHKK朝ドラ主人公の息子である日清食品の安藤宏基社長が、毒ギョーザ事件のときにJTフーズがすぐに回収せず、「日清ならばまずすべて回収して、それから何があったかを調べる。DNAが違う」と雄弁に、JTフーズとの合併破談を記者会見した姿と重なりました。

 財務省崩壊の予兆といったところですが、改竄した文書を野党に示していたなら、それより前に、国会崩壊。野党の議員会館での部門会議が、「院外」かどうかは、議院警察権などでの解釈や整理は分かれるところですが、刑事事件の告発というわけにはいかないでしょうから、院の調査特別委員会が立ち上がってもいいくらいの話だと思います。

 維新の片山虎之助さんは、教育の無償化の改憲の協力を明言。

 又市征治さんは自ら先週「社民党の党首に就任しました」と自己紹介しました。

 立憲民主党は、福山哲郎幹事長が、本予算審議で初登場しました。同党の参・国対委員長には蓮舫さんが就いています。

   質疑終了後に、派遣委員の報告がありました。


●衆議院の常任委員会は半分で所信表明終わる。衆議院では、財務金融、総務に続き、内閣、外務、国土交通、環境の各委員会で大臣の所信表明がありました。府省別の12常任委員会のうち6常任委員会で所信が済みました。

【衆議院財務金融委員会 同日】

「国際観光旅客税法案」(196閣法2号)が可決すべきものと決まりました。

   まず、参考人質疑。一橋大学教授や、ホテルの労働組合役員、スターフライヤー室長の3人が出席。無所属の会の野田佳彦さんは「役所のとりまとめの委員会の委員に偏りがあった」と委員だった一橋大学教授にたずねました。野田さんは「海外ビジネス客も2割くらいいるのではないか」と名称にも疑問を提示。施行日にも難癖をつけ、元財務大臣の野田さんからも、財務省はぼろくそに言われ始めました。

 参考人質疑の後に、法案審査があるとの話もありましたが、参考人質疑が終わった、午後3時54分ごろから休憩。採決を含めた大詰めの攻防に。理事会で採決に合意し、予算審議帰りの大臣を迎えて法案審査。野田佳彦さんは、審議を急ぎ過ぎているとたしなめました。

 採決は夜9時半を過ぎました。立希無共の反対、自公維の賛成多数で可決すべきものと決まりました。


【衆議院国土交通委員会 同日】

 「今国会に8法案提出している」と石井啓一国土交通大臣の所信表明がありました。石井さんは「既存住宅の流通やリフォーム市場の活性化をはかる」など向こう1年間の省の仕事を紹介。「所有者不明土地の利用促進の法案を出す」「バリアフリーのまちづくりのための法案を出す」とし、協力を求めました。

【衆議院内閣委員会 同日】

 大臣の所信表明がありました。まず、菅義偉・官房長官、小此木八郎・国家公安委員長兼防災担当大臣の「義兄弟コンビ」が発言。続いて、野田聖子・男女共同参画、マイナンバー大臣。上川陽子・特定秘密保護法担当大臣。加藤勝信・働き方改革担当大臣は「所信に入る前に一言申し上げます」として予算委での裁量労働調査の「不具合があり、不信感を持たせることになりました。国会のみなさん、国民のみなさんにお詫びします」と語りました。次に、福井照・消費者庁、北方沖縄担当大臣。松山政司・一億総活躍担当大臣。茂木敏充・人づくり革命担当大臣。ちなみに「働き方改革」「一億総活躍」「人づくり革命」が各々の別の大臣だと気づきました。分断させて、本気でないのか。この後、梶山弘志・行革担当、公文書担当相で、「公文書管理ガイドラインにもとづき、各府省に働きかけ、公文書管理の質を高める」と、「公文書管理の質」という違和感のある価値観を示しました。梶山さんは、解散で廃案になった水道法改正案の条項を盛り込んだ、「PFI法改正案の審議をお願いしたい」と語りました。この後、鈴木俊一五輪相が「サイバーセキュリティ基本法の改正案を提出するので早期の成立をお願いします」としました。この後、石井啓一・IRカジノ施設担当相が「IR推進法にもとづくIR実施法案を提出する」としギャンブル依存症対策にもとりくむかまえを所信で明言しました。最後に、前任者の議員としての不適切ヤジにより、後任となった、田中良生・内閣府副大臣があいさつし、散会しました。

 次回は3月7日(水)午前9時から。散会。

【衆議院環境委員会 同日】

 8月の内閣改造から半年たっても、ほとんど国会答弁していない、中川雅治環境大臣が所信表明。「東京ステークホルダーの悪い人」の支援者が多いので偏見を持っていましたが、きょうの大臣所信演説は好感が持てました。

 中川さんは「将来にわたって質の高い生活をもたらす持続可能な地域づくりをめざす地域循環共生計画をすすめます」とし、「パリ協定のもと、世界は脱炭素社会に向かっています。気候変動の適応策に関する情報基盤の整備をはかる、気候変動適応法案を提出しました」と審議をお願いしました。中川さんは「原子力防災担当大臣としては、万が一の原子力事故に備えて、原子力災害対策に完ぺきや終わりはないとの心構えで備える」とし、「美しい環境を次の世代に譲り渡していくのは私たちの責任だ」としめくくりました。大臣自らが手を入れているのが手に取るように分かる、所信演説でした。

 とかしきなおみ環境副大臣が予算を説明。省の予算は一般会計で3200億円、復興特会で6500億円だとしました。この後、環境省は前からやっていたようですが、他府省を含めた「環境保全経費」を明示。全府省で1・7兆円で、大気保全に1770億円など性質別の総額を披露しました。

 新しく就いた、荒井勉・公害等調整委員会委員長が、平成29年の活動を報告。ちなみに、委員会として14件を扱ったそうですが、自治体経由では7万件が上がってきたそうで、あまり存在が知られていないようです。同委員会の予算総額は年5億円だというスピーチもあり、まあ、そのくらいならあっていいだろうというような感想を持ちました。

 次回は3月6日(火)。散会。

【衆議院外務委員会 同日】

 岡田克也さんも委員です。

 評判が急落している河野太郎外相は「対中東政策を抜本的に強化します」「自由で開かれたインド太平洋戦略を推進し、航行の自由と法の支配を普及させる」と勇ましい、積極的平和主義で総理と同調しました。副大臣の予算説明では、総額7000億円で、そのうち、ODAは4344億円だとされました。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 「黒田東彦日本銀行総裁再任案」を審議しました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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