【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

連合会長もマニフェスト修正路線を支持 記者「責任感を感じる」

2010年08月23日 06時00分00秒 | 第175臨時国会(2010年7月)ねじれ

[画像]連合会長の古賀伸明さん(BSフジ)

 僕は政局は好きではありません。が、今週25日(水)午後1時の「代表選立候補者説明会」を分水嶺に、民主党内政局が慌ただしくなりそうです。代表選告示は9月1日(来週水曜日)ですが、何とか今週半ばには、「菅・仙谷・岡田政権」続投の流れをつくってしまいたい、というのが僕の考えです。

 6月4日の両院議員総会で、民主党は「脱小沢」すなわち、①政治とカネの問題がないクリーンな政治、②党と内閣の一元化、政調復活、という「民主党らしさ」路線へと舵を取りました。そして、7月11日の第22回参院選(反省の夏)で、比例第一党となり、44議席という首の皮一枚で、「国民から最後のチャンス」をもらいました。

 9月13日党員・サポーター郵便投票締め切り、14日(火)代表選出集会(臨時党大会)を経て、代表・総理は向こう2年間の任期を得て、2013年夏の衆院議員・参院議員の任期満了まで、フリーハンドを握ります。

 これが最後の政局だ、と思って、2009年8月30日の「政権交代の夏」のキツイ反動を乗り切らねばなりません。名指ししますが、山岡賢次さん、小平忠正さんが入閣したいようで、こういったベテランの入閣待望組への対応がカギになります。新進党時代は、当選回数と年齢、すわわちあるいは想定される引退までの残り年数に対応して、野党・新進党を去り、与党・自民党に復党・入党していきました。

 「国民の生活が第一。」という名の下に、党内非主流派となった小鳩連合が軽井沢の別荘でバーベキューに興じる「軽井沢事件」を引き起こしました。私は最終的な菅続投に楽観的な見通しをもっていますが、概算要求などに取り組む政務三役ら主流派にも不安が広がっており、仕事に影響が出ているような感じがしています。

 「前に進むために、考えを曲げる」--政権の重荷を背負って、初めて分かった財源問題とねじれ国会への対応から、菅直人内閣は「マニフェスト修正路線」をとっています。もちろん菅総理の消費税増税発言は、謝罪しても謝罪しても謝罪しきれません。これからのマニフェスト修正には、ある程度の党内合意と、支持者・有権者への十分な説明が必要です。しかしそれを反省したうえで、マニフェスト修正路線を突き進むのが、菅内閣と民主党主流派の考えです。

 これに対して、2009マニフェストを一字一句変えずに予算化すべきだ、という対立軸を掲げているのが、非主流派・小鳩連合による、いわば“マニフェスト原理主義”です。

 代表的な政策では、子ども手当を今年の1・3万円から、来年は例えば2万円とかにして、残りは現物(保育サービス)給付にしようというのが、「マニフェスト修正路線」で、何が何でも2万6000円出せ、と迫るのが「マニフェスト原理主義」です。

 この中道をいくように、会員数が5000人を超える「民社協会」は「党綱領の策定」を掲げており、民社協会が代表選のカギを握ろうとしているし、実際にカギを握るでしょう。

 前置きが長くなりました。

 連合会長の古賀伸明さんが20日付日経新聞1面のインタビューに答え、民主党はマニフェストを「見直してしかるべきだ」、09マニフェストは「一部の人がつくった印象もある」と述べ、マニフェスト修正路線を支持しました。

 古賀さんは代表選で特定の候補者を支援しないことにしていますが、事実上、菅続投を支持した発言と思われます。 

 
 [画像]2010年8月20日付日経新聞1面


 [画像]2010年8月20日付日経新聞1面

 古賀さんは、

 「与党と野党では情報量が違う。見直してしかるべきだ。『この政策はどうだ』と国民的な議論をしながら見直す。それが民主党らしさではないか。昨年の衆院選マニフェストは一部の人がつくった印象もある」

 「基本的な考え方が変わってはならない。たとえば社会全体で子育てを支えるという子ども手当の思想は変えるべきではない。ただ支給方法はいろいろある。今年の参院選マニフェストは、子ども手当の上乗せ分を現物で支給してもいいという考え方を示した。これは適切な変更だと思う」

 と語りました。

 連合は野党・民主党の応援団長の時代から、日本唯一のナショナルセンターとして、自民党政府と「政労会見」などで直接やりとりしてきました。「サラリーマンの確定申告選択制」を含む政策要望も直接、官邸に提出してきました。

 ですから、政権運営の厳しさは、民主党国会議員よりも連合の方がずっとよく知っているのです。

 古賀さんのインタビューにあたった日経記者は次のような感想を記しています。

 「連合会長に就任したのは昨年10月。支持政党である民主党の政権が誕生した直後だ。『昔は連合の提言が実現しなくても、政府・与党が悪いといえばよかったが、いまはそうはいかない』。言いっ放しではすまないという責任感を感じると話す。連合の提言が現実の政策に反映される機会は増えた。それだけに新成長戦略の前倒しを求める古賀氏の発言は重い。今回のインタビューで訴えた若年層の雇用対策などは、経済対策の柱になる可能性もある」

 政権を担う責任。

 マスコミでは、東京新聞が7月12日付1面トップで「政策が前進するなら考えを曲げろ」とする「高田論文」が発表されており、一つの指針となります。

 マニフェスト修正路線とマニフェスト原理主義。

 「国民の生活が第一。」とホントウに考えているのはどっちの陣営でしょうか?

 それが2010年9月の民主党代表(総理)選挙の選択肢です。



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