(13日投稿で、10日付にバックデートしました)
【追記 同年5月3日】
下に述べた法律は、平成29年4月28日(金)の参議院本会議で賛成多数で可決し、成立しました。(参照、参議院ホームページ。)
【追記終】
「都市緑地法及び都市公園法改正案」(193閣法24号)を、政府は平成29年2月10日(金)の閣議で決定し、衆議院に提出しました。
●都市公園法改正条項で、民間企業の参入容易に
今回の法案では、都市公園法の改正条項で、民間企業の公園リニューアルや、カフェ、レストランの設置が可能になります。これには、都市開発資金の貸付に関する法律にもとづく貸付が受けられるようです。
公園整備のPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、民間の活用による公的資本整備)が、10年から30年に延長されます。
●都市緑地法改正条項で、市長による固定資産税軽減、予算補助が容易に
都市緑地法の改正条項では、民間の市民緑地整備で、固定資産税の軽減や予算補助を明記します。ここは市長と民間の関係になりますので、汚職が懸念されます。
●おととし成立の「公園内保育所特区」はわずか2年で全国恒久法に
おととしの集団的自衛権安保国会(第189回国会)の延長国会で成立した改正特区法(平成27年法律56号)の「公園内保育所特区」(都市公園内における保育所設置の管理者による占用の許可)を、特区から全国へ広げる内容。
(関連エントリー2015年4月特区法改正案、今国会に再提出「公証人特区」「地域限定保育士」「公園内の保育所」)
改正特区法からわずか2年で、全国に広げる恒久改正法案が出てきました。私自身、上にリンクを張った2015年4月の自分の記事で気づいたのですが、「地域限定保育士特区」はそのままのようです。全国どこでも、自治体が公園内に保育所を設置できるようになったのに、県と期間が限定された免許を持つ、一部の保育士さんは雇用継続に不透明感をもつかもしれません。
●公園への民間開放は、新自由主義のバイブル「フリードマンの資本主義と自由」の規制緩和リスト14のうちの1つ
政府の規制をなくし、民間に売り渡す、新自由主義経済の元祖である、ミルトン・フリードマン教授の「資本主義と自由」(邦訳は村井章子さん、日経BP社発行)は、政府がやる必要がない仕事のリストの一つとして「国立公園」を上げています。このリストでは、小泉構造改革で、「郵便事業の民間(ヤマト運輸など)への開放」「高速道路公団民営化」などが実現しています。ただ、「公営住宅」は逆に充実する方向です。アンチ新自由主義の方も、「資本主義と自由」だけは、手元に揃えておいた方がよいかもしれません。
このように公園への民間参入は新自由主義の権化であり、アメリカの財政難の際も最初に「シャットアウト」(閉鎖)されたのが公園です。明治維新後に、上野公園ができるまで、日本に「公園」はなかったわけですが、「外出するとお金を使わざるを得ない街づくり」がされた日本で、数少ないお金を使わない喫茶店。公園の在り方について、大所高所長期計画で考えることも必要でしょう。
このようにステークホルダーに有利な規制緩和が、アベノミクス第3の矢の成長戦略だったというのが実態。しかし、法律として天皇が公布し、官報に全文が載りましたから、民主主義にもとるとは言い切れない。
それともう一つ、特区法が2年で全国恒久法になること。この2点はアベノミクスの光と陰として、おさえておきましょう。
この記事の本文は以上です。
(C)2017 宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
http://miyazakinobuyuki.net
[お知らせはじめ]
宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。ご購読お願いします。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(各府省庁リンク)
日本法令索引(国立国会図書館)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
インターネット版官報
[お知らせおわり]