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第186通常国会にあたっての財政演説、経済演説、外交演説全文

2014年01月24日 23時59分28秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[このエントリーの初投稿日時は2014年1月26日午前8時で、1月24日にバックデート]

施政方針演説から続く


第186国会における麻生財務大臣の財政演説

http://www.mof.go.jp/public_relations/statement/fiscal_policy_speech/20140124.htm

平成26年1月24日

平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度予算の御審議に当たり、財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明申し上げます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)
発足から一年、第二次安倍内閣においては、デフレ不況からの早期脱却と経済再生を図るため、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を一体として強力に推進してまいりました。その政策の効果もあって、実質GDPが四・四半期連続でプラス成長になり、物価についても底堅く推移するなど日本経済は着実に上向いてきております。
まずは、このような景気回復に向けた動きやデフレ不況からの脱却への期待を、確実な成長軌道につなげていく必要があります。このため、「第三の矢」である「日本再興戦略」の実行を加速・強化してまいります。同時に、政府、経営者、労働者が、「経済の好循環実現に向けた政労使会議」における取りまとめに基づいて、それぞれの役割を果たしつつ、互いに連携して取組を進めてまいります。これにより、企業収益の拡大を賃金上昇、雇用・投資拡大につなげ、消費拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大を促すという経済の好循環を実現することが重要であります。
これらの取組により、保険料収入や税収の基盤でもある強い経済を取り戻し、あわせて、消費税率を引き上げることにより、社会保障の安定財源を確保しつつ、持続可能な社会保障制度を構築し、次世代に引き継いでいきます。
本年四月に実施する消費税率の引上げに際しては、反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り、持続的な経済成長につなげるための施策を講じます。具体的には、昨年十月一日に閣議決定した「経済政策パッケージ」に基づき、「好循環実現のための経済対策」及び平成二十五年度補正予算の概算を決定いたしました。平成二十六年度予算・税制改正とあわせ、消費税率引上げによる影響を緩和するための取組を、転嫁対策とともに着実に進めてまいります。
日本銀行が現在取り組んでいる金融緩和を円滑に進めるため、また、今後、民需主導の持続的な経済成長を実現する上でも、日本の財政に対する信認を維持することが重要です。一方、日本の財政状況は、デフレ不況や少子高齢化等の要因によって悪化が続いてきました。それに加え、リーマンショック後の経済危機への対応などにより、近年さらに悪化が進み、歴史的に見ても、諸外国との比較においても、極めて厳しい状況にあります。財政への信認を確保することで人々の将来への不安を払拭し、持続的な経済成長につなげていく必要があります。
こうした点を踏まえ、政府としては、国・地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年度までに赤字の対GDP比を二〇一〇年度の水準から半減、二〇二〇年度までに黒字化するという財政健全化目標を掲げております。今後、これらの目標を着実に達成していくために、引き続き税収を拡大させるとともに、各年度継続して歳出を効率化していく必要があります。こうした考え方の下、「中期財政計画」に沿って、今後とも、歳出・歳入両面において最大限の努力を行ってまいります。

(平成二十五年度補正予算の大要)
次に、「好循環実現のための経済対策」等を実施するために今国会に提出を致しました平成二十五年度補正予算の大要について申し述べます。

「好循環実現のための経済対策」につきましては、一般会計において、総額で五兆四千七百四十四億円の財政支出を行うこととしております。その内容としては、「競争力強化策」に係る経費に一兆三千九百八十億円、「女性・若者・高齢者・障害者向け施策」に係る経費に三千五億円、「防災・安全対策の加速」に係る経費に一兆千九百五十八億円、「低所得者・子育て世帯への影響緩和、駆け込み需要及び反動減の緩和」に係る経費に六千四百九十三億円、東日本大震災復興特別会計への繰入として一兆九千三百八億円を計上しております。そのほか、地方交付税交付金として一兆千六百八億円、国際分担金などのその他の経費として三千六百三十六億円を計上しております。
これらの歳出を賄うため、歳出面におきましては、既定経費を一兆五千三百三十四億円減額することとしており、歳入面におきましては、税収で二兆二千五百八十億円、税外収入で三千六百九十四億円の増収を見込むほか、前年度剰余金を二兆八千三百八十一億円計上しております。これらにより、国債の追加発行をせずに、経済対策等の財源を確保することとしております。
こうした結果、平成二十五年度一般会計予算の総額は、歳入歳出ともに当初予算から五兆四千六百五十四億円増加し、九十八兆七百七十億円となります。
また、特別会計予算等についても所要の補正を行うこととしております。
平成二十五年度財政投融資計画につきましては、「好循環実現のための経済対策」を踏まえ、総額千三百八億円を追加しております。

(平成二十六年度予算及び税制改正の大要)
続いて、平成二十六年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。

平成二十六年度予算は、デフレ不況からの脱却・経済再生と財政健全化をあわせて目指す予算であり、平成二十五年度補正予算と一体として、日本の競争力の強化につながる未来への投資や、生活の基盤を守る暮らしの安全・安心といった事項に予算を重点化しております。

また、社会保障・税一体改革を実現する最初の予算であり、消費税増収分を活用し、社会保障の充実と安定化を図ります。
基礎的財政収支対象経費は、七十二兆六千百二十一億円であり、これに国債費二十三兆二千七百二億円を合わせた一般会計総額は、九十五兆八千八百二十三億円となっております。

一方、歳入につきましては、租税等の収入は、五十兆十億円、その他収入は、四兆六千三百十三億円を見込んでおります。また、公債金は四十一兆二千五百億円となっており、前年度当初予算に対し、一兆六千十億円の減額を行っております。

この結果、国の一般会計における基礎的財政収支につきましては、「中期財政計画」における「平成二十六年度及び平成二十七年度の各年度四兆円程度改善」との目標を大きく上回る、五兆二千四百七億円の改善を実現しております。

次に、主要な経費について申し述べます。

社会保障関係費につきましては、消費税増収分を活用し、社会保障の充実を行います。具体的には、国分の消費税収の使途が高齢者三経費から社会保障四経費に拡大されることにあわせ、「待機児童解消加速化プラン」による保育の受け皿拡大や、難病の対象疾患の拡充など、若者・女性・現役世代も受益を実感できる内容を実施します。また、診療報酬改定に際しては、薬価について、薬価調査の結果を踏まえた上で市場実勢価格を反映し、新たな国民の負担の増加を避けつつ、地域医療向けの補助金の創設とあわせ、医療提供体制の改革を推進してまいります。

文教及び科学振興費につきましては、将来を担う人材を養成するためのグローバル人材育成や大学改革等を推進するとともに、奨学金等の就学支援、いじめ問題対応等の施策を充実することとしております。また、科学技術関係予算につきましては、総合科学技術会議が司令塔機能強化のため自ら予算の重点配分を行う仕組みを創設するとともに、日本版NIHの創設に向けて医療分野の研究開発関連予算を充実することとしております。

地方財政につきましては、地方の税収増を反映して地方交付税交付金等を縮減しつつ、地方の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の地方の一般財源の総額について、社会保障の充実分等を増額し、地方に最大限配慮しております。

防衛関係費につきましては、新たに策定された防衛大綱及び中期防衛力整備計画に沿って、周辺海空域における警戒監視能力の強化、島嶼部に対する危機対応能力の強化等を図る観点から、昨年度に引き続き充実を図ることとしております。

公共事業関係費につきましては、引き続き投資の重点化・効率化を図りつつ、国民の命と暮らしを守るインフラ老朽化対策や、南海トラフ地震等に備えた防災・減災対策等の課題に対応するため、真に必要な社会資本整備等に取り組むこととしております。

経済協力費につきましては、日本企業等の海外展開支援をはじめ、日本の持続的な成長にもつながる分野等への重点化を進めつつ、ODA全体の事業量の確保を図っております。

中小企業対策費につきましては、ものづくり技術の研究開発等への支援を充実させるほか、中小企業の資金繰り対策や消費税転嫁対策等にも万全を期することとしております。

エネルギー対策費につきましては、国内資源の開発及び海外資源の権益確保、省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの導入拡大に向けた支援に重点化しているほか、原子力規制・防災対策を推進し、原子力損害賠償支援機構へ資金交付等も行うこととしております。

農林水産関係予算につきましては、農林水産業の競争力強化を推進するため、経営所得安定対策を見直すとともに、農地中間管理機構を通じた担い手への農地集積・集約の加速化、六次産業化や輸出拡大の推進等を図ることとしております。

治安関係予算につきましては、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けて、警察活動基盤の充実や再犯防止対策の充実等を図ることとしております。

国家公務員の人件費につきましては、給与の特例減額が終了する一方で、現行計画の目標を大幅に上回る合理化等による定員純減や退職手当の引下げ等を的確に予算に反映しております。

なお、震災からの復興につきましては、平成二十五年度補正予算とあわせ、被災地の復旧・復興の加速に全力で取り組んでいくこととしております。このため、平成二十六年度東日本大震災復興特別会計において、歳出につきましては、東日本大震災復興経費二兆九千五百四十三億円、復興債費九百二十一億円、復興加速化・福島再生予備費六千億円を計上し、歳入につきましては、復興特別税七千三百八十一億円、一般会計からの受入金七千三十億円、その他収入六百六十億円、復興公債金二兆千三百九十三億円を見込んでおります。

平成二十六年度財政投融資計画につきましては、デフレ不況からの脱却・経済再生に向けて、長期リスクマネー等を呼び水として供給し、民間投資の活性化、経営改善に取り組む中小企業等の支援、日本企業の海外展開支援、インフラ輸出・資源確保等に的確に対応することとし、計画規模は十六兆千八百億円となっております。

借換債等を含む国債発行総額につきましては、百八十一兆五千三百八十八億円と、過去最大となりました。国債発行総額及び国債残高が多額に上る中、財政規律を維持して、市場の信認を確保するとともに、市場との緊密な対話に基づき、そのニーズ・動向等を踏まえた発行を行うなど、国債管理政策を適切に運営してまいります。

平成二十六年度税制改正におきましては、デフレ不況からの脱却・経済再生に向けた税制上の対応、税制抜本改革の着実な実施、震災からの復興支援のための税制上の対応等を行うこととしております。
具体的には、設備投資の促進、研究開発投資の促進、所得や消費の拡大に関し、次元の異なる税制上の対応を講じます。こうした観点から、生産性向上設備投資促進税制の創設、中小企業投資促進税制の拡充、研究開発税制の拡充、所得拡大促進税制の拡充、復興特別法人税の一年前倒し廃止、交際費課税の緩和を行います。このほか、給与所得控除の見直し、地方法人課税の偏在是正のための取組、車体課税の見直し等を行うこととしております。

(むすび)
以上、財政政策等の基本的な考え方と、平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度予算の大要について御説明申し上げました。
デフレ不況からの脱却と経済再生への道筋を確かなものとするために、これらの予算の一刻も早い成立が必要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

「失われた二十年」と呼ばれる長い停滞の中、デフレ不況の影響もあり、先の見えなかった日本にようやく明るい兆しが見えてまいりました。本年は、デフレ不況からの脱却を実現し、足元の景気回復を持続的な経済成長につなげ、財政健全化に向けて着実な一歩を踏み出す上で重要な一年です。少子高齢化やグローバル化等の構造変化に真に対応するための経済基盤を構築し、日本の底力を引き出すことで、デフレ不況からの脱却・経済再生と財政健全化の好循環を実現できるよう、私も全力で取り組んでまいります。

国民各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。

第186回国会における甘利内閣府特命担当大臣の経済演説

平成26年1月24日
https://www.jimin.jp/policy/parliament/0186/123510.html
一.はじめに

 経済財政政策を担当する内閣府特命担当大臣として、その所信を申し述べます。

二.経済財政運営の基本的考え方

 (景気の現状認識と今後の見通し)
 長引くデフレからの早期脱却と経済再生を図るため、安倍内閣では「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を一体として強力に推進してきました。その効果もあって、実質GDPが4四半期連続でプラス成長となり、有効求人倍率が約六年ぶりに一倍を回復するなど、日本経済は力強さを取り戻しつつあります。政権発足時と比べると、中小企業を含めて業況は幅広く改善し、全ての地域で景況が改善しています。物価動向は、もはやデフレ状況ではありません。デフレ脱却に向けて着実に前進しています。このようにアベノミクスの開始から一年経ち、日本経済は閉塞を脱し、明るさが広がっています。これを更に広げ、経済の好循環を実現するのが二年目の課題です。
 本日閣議決定した政府経済見通しでは、平成二十六年度の日本経済について、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減には留意が必要ですが、各施策の推進等により、年度を通してみれば、前年度に引き続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれ、経済の好循環が徐々に実現していくと考えられます。経済成長率は実質で一・四パーセント程度、名目で三・三パーセント程度と見込んでいます。

 (当面の経済財政運営)
 本年四月に実施する消費税率引上げに際しては、駆け込み需要とその反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の成長力底上げと好循環実現を図りつつ、持続的な経済成長につなげていくため、昨年十二月に閣議決定した「好循環実現のための経済対策」を含め、「経済政策パッケージ」を着実に実行していく必要があります。
 本経済対策は、競争力強化策や女性・若者・高齢者・障害者向け施策、復興、防災・安全対策の加速等を内容とし、その規模は国費五・五兆円程度、事業規模一八.六兆円程度となっています。本経済対策の効果が的確に発現し、消費税率引上げに伴う反動減に適切に対応できるよう、迅速に対策の具体化を図るとともに、各施策の進捗状況などを調査し、適切に公表してまいります。
 企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて、更なる企業収益の拡大に結び付くという経済の好循環を実現するため、所得拡大促進税制の拡充や、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止といった思い切った税制措置を決定するとともに、賃上げする中小企業・小規模事業者への補助金の優先配分等の施策を講じてまいります。政労使会議において、好循環実現に向けて経済界、労働界、そして政府が行うべき取組を「共通認識」として取りまとめたところであり、その環境整備に引き続き全力で取り組み、成果をしっかりと確認してまいります。
 日本銀行は、昨年四月、二%の物価安定目標を二年程度の期間を念頭にできるだけ早期に実現するため「量的・質的金融緩和」を導入し、現在これを推進しています。政府としては、日本銀行がこの目標をできるだけ早期に実現することを期待します。
 こうしたアベノミクスの効果が地域の隅々まで及ぶようにするため、オリンピック開催決定を契機にした地域活性化、地域産業の集積促進といった課題等に関係省庁が連携して重点的に取り組む必要があります。あわせて、地域の課題解決や活性化の重要な担い手であるNPOやソーシャルビジネス等の育成などを通じて、活力あふれる共助社会づくりを進めてまいります。

 (成長戦略)
 安倍政権の成長戦略は「進化する成長戦略」であり、策定がゴールではなく、スタートです。日本経済に現れた回復の動きを、持続的な経済成長につなげていくため、引き続き成長戦略を強力に推進してまいります。
 まずは、昨年策定した「日本再興戦略」の各施策の実行に全力を挙げます。先の臨時国会では、「成長戦略実行国会」として、「産業競争力強化法」、「国家戦略特区法」等の画期的な法律が成立しました。三月に国家戦略特区の具体的な地域を決定するなど、これらの法律をしっかり実行に移してまいります。また、「産業競争力の強化に関する実行計画」を閣議決定し、「日本再興戦略」の各施策の確実な実行に取り組んでまいります。
 また、年央の成長戦略改訂を目指し、先般、「成長戦略進化のための今後の検討方針」を産業競争力会議において取りまとめました。本方針を踏まえ、雇用・人材、農業、医療・介護といった分野の更なる構造改革に取り組み、日本に眠る潜在力を最大限引き出します。特に、日本が世界を変えるようなイノベーションを生み出す国となるよう、科学技術の司令塔機能を確立し、研究成果を産業につなげていくための取組を進めます。「女性の活躍」は、成長戦略の大きな柱です。我が国最大の潜在力である女性の力を最大限引き出すため、施策を総動員してまいります。
 さらに、民間投資の喚起による成長力強化を実現するため、PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプランの着実な推進とともに、民間資金等活用事業推進機構の適切な運営の確保及び密接な連携を図ってまいります。

 (TPPの推進)
 TPPは、アジア太平洋地域において、普遍的価値を共有する国々と、二十一世紀型の新たな経済統合ルールを構築する野心的な試みであり、この地域の成長の起爆剤になると同時に、人々の暮らしを豊かにするものです。
 昨年十二月にシンガポールで開催された閣僚会合では、妥結には至りませんでしたが、残された主要課題の大部分について、交渉妥結へ向け実質的な進展がありました。
 我が国としては、各国とともに、交渉の早期妥結へ向けて努力し、国益をしっかりと最終的な成果に反映すべく、引き続き全力を挙げて交渉に取り組んでまいります。

 (デフレ脱却・経済再生と財政健全化の好循環の実現に向けた取組)
 これらの施策とあわせて、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指し、経済再生と財政健全化の双方の実現に取り組んでまいります。
 来年度予算案については、経済成長に伴う税収の自然増や歳出の効率化により、公債発行額を前年度より減額し、国の一般会計の基礎的財政収支の赤字については、「中期財政計画」において掲げた目標を上回る改善額を実現しています。
 こうした歳出・歳入両面での取組の継続により、国・地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減し、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す、との財政健全化目標の実現を目指します。

 (我が国の中長期の発展に向けた取組)
 今後の半世紀、世界経済や人口など日本を取り巻く環境には大きな変化が予想されています。こうした中で、世界経済に占める日本経済の規模が縮小していくという見方もあります。しかしながら、こうした姿を政策努力や人々の意志によって大きく変える、すなわち、「未来を選択」することが求められています。
 アベノミクスによって生じた景気回復の動きを確実なものとし、我が国の中長期的発展につなげるためには、人口減少など今後の構造変化を見据えつつ、二〇二〇年頃までに重点的かつ分野横断的に取り組むべき課題を抽出し、その課題克服に向け包括的に取組を進めていくことが重要です。
 このため、「選択する未来」委員会を設置し、具体的な取組を二〇二〇年に向けて進めていくための議論を行ってまいります。
 今後、本委員会の議論を踏まえ、日本経済が抱える中長期的課題を明らかにしつつ、年央の「骨太方針」取りまとめに向け、経済財政諮問会議において、引き続きデフレ脱却・経済再生と財政健全化の好循環実現のための道筋について検討を進めてまいります。

 (社会保障・税一体改革の着実な推進)
 少子高齢化が進展する中で、社会保障の充実・安定化と財政健全化を同時に達成する観点から、社会保障・税一体改革に取り組む必要があります。昨年、社会保障制度改革国民会議の議論等を踏まえ、社会保障制度改革の全体像と進め方を示した法律が成立しました。この法律に基づき、今後、必要な法案を国会に提出するとともに、関係閣僚からなる改革推進本部や有識者からなる改革推進会議を設置し、改革を着実に推進してまいります。

三.むすび

 第二次安倍内閣が発足して一年が経ちました。この間、日本経済は力強さを取り戻しつつありますが、先般のダボス会議において示された「アベノミクス」への大きな期待に応えるためには、より一層、取組を強化する必要性を実感しました。
 昨年十二月、私は早期の舌がんで入院し、多くの皆様に御迷惑をおかけいたしました。幸い短期間で公務に復帰することができました。盲腸の手術すらしたことのない私にとって極めて辛い経験でありましたが、同時に多くの人に支えられていることを痛感いたしました。立ち止まって感謝をする機会が与えられたのだと思います。今後私がなすべきことは、更なる努力精進を通じて、今までに倍する貢献を国家国民のためになすことであると決意しました。
 今後とも、安倍総理のリーダーシップの下、「好循環実現国会」の審議を通じて迅速かつ着実に施策を実行し、女性や若者を始め、頑張る人たちの雇用を拡大し、経済成長の成果を国民一人一人が実感できるよう、全力を尽くしてまいります。
 国民の皆様と議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。


第186回国会における岸田外務大臣の外交演説

http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pp/page18_000183.html
 

平成26年1月24日
 第186回国会の開会に当たり,外交の基本方針について所信を申し述べます。

(総論)

 この一年間で,国際社会における我が国への期待は確実に高まっています。自由,民主主義,基本的人権のみならず,法の支配を重視し,アジア太平洋地域はもとより,中東,アフリカ,欧州,中南米に至るまで,世界全体の平和と繁栄の実現のため,ひたむきに努力するという我が国の姿勢に対して国際社会の支持が着実に広がっていることを,外務大臣として世界各国を訪問する中で,強く実感しました。
 一方,我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。本年も日米同盟の強化,近隣諸国との協力関係の重視,そして日本経済の再生に資する経済外交の強化といった三本柱を軸とした外交を引き続き強力に推進し,国益の増進に全力を尽くします。また,グローバルな課題への貢献を通じた世界全体の利益の増進のため,一層積極的に取り組みます。
 来年は戦後70周年を迎えます。我が国が戦後守り続けてきた自由,民主主義,人権,法の支配は,国民に深く浸透し,国家の根本を支える柱となっています。近隣諸国との間で歴史認識をめぐる議論がありますが,日本政府の歴史認識に変わりはありません。また,平和国家としての歩みは今後も堅持していきます。こうした基本的立場について各国に丁寧に説明していく考えです。
 国際的にも,来年は開発課題,気候変動,軍縮,防災等様々な分野で重要な節目の年となります。国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から,世界の平和,安定及び繁栄に外交力を最大限活用してこれまで以上に積極的に貢献してまいります。国家安全保障会議という司令塔の下で,国家安全保障戦略に基づき,積極的平和主義を推進し,アジア太平洋地域及び国際社会における日本外交の存在感を力強く示してまいります。

(日本外交の三本柱)

 この一年,地球儀を俯瞰する外交を展開する中で,ASEANを始めとするアジア太平洋諸国,ロシア,欧州,中南米,中東,アフリカ等との関係強化に努めてきました。アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で,日本外交の基軸たる日米同盟の重要性は一層高まっています。安倍政権発足以来,日米間の頻繁な要人往来を通じて具体的な成果を得ています。今後も日本外交の第一の柱として日米同盟をあらゆる分野で強化します。
 安全保障分野においては,昨年のいわゆる「2+2」の成果に沿って,「日米防衛協力のための指針」の見直しを始め,安全保障・防衛協力を確実に進め,抑止力を一層向上させます。また,在日米軍再編を現行の日米合意に従って進めながら,沖縄の負担軽減のため,「できることは全て行う」との方針で全力で取り組みます。特に普天間飛行場については,その危険性の除去が極めて重要な課題であるとの認識の下,一日も早い移設に向けて政府として取り組んでまいります。

 第二の柱は,近隣諸国との協力関係の重視です。
 中国とは国交正常化以来40年以上にわたり,隣国同士あらゆる分野で関係強化に努めてきました。中国の平和的な発展は我が国にとっての利益でありチャンスです。日中関係は最も重要な二国間関係の一つであり,両国は地域と国際社会の平和と安定のために責任を共有しています。日中両国そして地域の利益のためにも,「戦略的互恵関係」の原点に立ち戻り,関係改善を図ってまいります。一方,中国の軍事力強化に関する透明性の向上を求めるとともに,中国公船による尖閣諸島沖領海内への侵入や中国による「東シナ海防空識別区」の設定などの「力」を背景とした一方的な現状変更の試みについては,我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意の下,引き続き毅然かつ冷静に取り組みます。

 最も重要な隣国である韓国との関係強化は,地域の平和と繁栄の確保という両国の共通の利益にとって不可欠であり,安倍政権の優先事項です。引き続き様々なレベルで意思疎通を積み重ねるとともに,冷静に問題に対処し,相互に敬意を払い,大局的観点から,来年の国交正常化50周年にふさわしい,未来志向で重層的な協力関係を構築すべく,粘り強く取り組みます。日韓間の貿易・投資や第三国における日韓企業間の協力の推進など,経済関係も一層強化していきます。我が国固有の領土である竹島については,引き続き我が国の主張をしっかりと伝え,粘り強く対応します。

 日・ASEAN友好協力40周年を迎えた昨年,日ASEAN関係は大きく発展しました。安倍総理大臣はASEAN全加盟国を訪問し,私も全加盟国の外相と会談し,12月には東京で成功裡に特別首脳会議を開催しました。この成果の上に,本年の議長国であるミャンマーを始めとするASEAN各国との協力関係を更に強化します。さらに,インド及びオーストラリアなどと安全保障,経済等様々な分野で協力を深化させるとともに,モンゴル,太平洋島嶼国との関係も強化します。こうした近隣諸国との関係とあわせ,本年最初の訪問国となったスペイン,フランスを含む欧州や中南米との協力を推進し,これら地域との対話の枠組みも積極的に活用します。

 昨年4月安倍総理大臣は10年ぶりにロシアを公式訪問し,それ以降半年で4度の首脳会談を重ね,11月には史上初となる「2+2」を開催するなど,日露関係全体を底上げし,今後への弾みと方向性を示すことができました。ロシアとは,地域のパートナーとしての関係を発展させるべく,首脳レベルを始めとした政治対話を進め,安全保障,経済等あらゆる分野での協力の進展を図ります。最大の懸案である北方領土問題については,両国の立場に依然大きな隔たりがありますが,北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく,粘り強く交渉に取り組みます。

 北朝鮮の動向については,引き続き情報収集と分析に努め,対応に万全を期します。北朝鮮による核・ミサイル開発の継続は,地域と国際社会全体の平和と安全に対する重大な脅威です。関係国と連携しつつ,北朝鮮に対し,国連安保理決議及び六者会合共同声明に基づく具体的行動を引き続き強く求めます。我が国としては,「対話と圧力」の方針の下,日朝平壌宣言に基づき,拉致,核,ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて取り組みます。拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ないとの方針の下,国際社会とも協力しつつ,現政権下での完全解決に全力を尽くします。

 第三の柱は,日本経済の再生に資する経済外交の強化です。
 昨年末に私を本部長として立ち上げた日本企業支援推進本部の下で,トップセールスを含め日本企業の海外展開支援を一層強力に進めます。ODAを活用したインフラシステム輸出も推進します。海外における日本人と日本企業の安全対策の強化にも引き続き取り組みます。また,国益にかなった高いレベルの経済連携を戦略的かつスピード感をもって推進し,TPP交渉については引き続き早期妥結に向けて取り組みます。日本産品の海外への普及促進や風評被害対策にも注力します。
 さらに,エネルギー・鉱物資源・食料等の安定的な確保のため,「資源外交」を強化します。
 また,WTOやAPEC,G8・G20などを活用し,経済分野での国際的ルールの整備と実施に積極的に取り組みます。我が国のOECD加盟50周年となる本年,閣僚理事会の議長国として役割を果たします。

(グローバルな課題への一層の貢献)

 グローバルな課題についても,国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から,一層の貢献を果たします。

 まず,唯一の戦争被爆国として,核兵器不拡散条約を基礎とした国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化に貢献するとともに,現実的で実践的な取組を積み重ね,「核兵器のない世界」に向け国際社会の取組を主導します。この関連で,4月に広島で軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合を開催します。また,国際的な原子力安全の強化にも引き続き取り組みます。
 イランの核問題については,包括的解決のための最終的な合意の形成とその実施に向けて,国際社会と連携しつつ,イランとの伝統的友好関係に基づく働きかけを継続します。

 次に,「女性が輝く社会」の実現は,世界共通の課題です。昨年9月国連総会において表明した我が国の支援策は,国際社会から高く評価されています。女性の力を十分に引き出し,世界に活力をもたらすべく,国際社会との協力や途上国支援を強化します。また,女性・平和・安全保障に関する行動計画を市民社会の方々と共に策定しています。
 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)がまもなく我が国について発効することを踏まえ,条約の適切な実施に取り組みます。

 ODA60周年に当たる本年,積極的平和主義の立場から,ODAを一層戦略的に展開します。ミレニアム開発目標の達成や,人間の安全保障を指導理念とする効果的なポスト2015年開発アジェンダの構築を目指します。特に,国際保健外交戦略に基づき,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを推進します。我が国は,昨年のフィリピン台風被害に対し過去最大規模の自衛隊派遣等の支援を行ってきていますが,災害救援・防災分野の国際協力を推進し,来年3月に仙台市で開催する国連防災世界会議につなげてまいります。
 また,「攻めの地球温暖化外交戦略」の下,気候変動の新たな国際枠組みの構築に向け,途上国支援等を効果的に活用しつつ,国際的議論を主導します。
 国際的重要性を増すアフリカに対しては,安倍総理大臣のアフリカ訪問も踏まえ,昨年のTICADVで表明した支援策を着実に実施し,ウィン・ウィンのパートナーシップ構築を目指します。

 我が国は,「開かれ安定した海洋」の発展と公海における上空飛行の自由の確保に向け,主導的な役割を果たします。また,組織犯罪対策を含む国際テロ対策を強化するとともに,宇宙やサイバー空間における法の支配の確立に向け,国際的な規範作りを推進します。

 我が国は,南スーダンを含め国連平和維持活動(PKO)に更に貢献し,要員派遣や人材育成などを通じて,平和維持・平和構築を推進します。
 シリア情勢の改善に向け,先般出席したジュネーブ2を通じた取組や人道支援,化学兵器廃棄に向けた協力を通じて,可能な限りの貢献を行います。また,アフガニスタンについて,これまでに表明した支援を着実に実施します。
 中東和平プロセスについては,「平和と繁栄の回廊」構想などを通じ和平交渉を後押ししていきます。

 国連創設70周年となる来年を見据え,2015年安保理非常任理事国選挙に万全を期すとともに,安保理改革を早期に実現し,我が国も常任理事国として貢献していきたいと考えます。国連などの国際機関の日本人職員の増強にも取り組みます。

(対外発信及び総合的な外交力の強化)

 また,国際社会での我が国の存在感を一層高め,信頼される日本の姿が更に理解されるよう,我が国の立場や考え方を戦略的に対外発信するとともに,和食を含む文化の発信や若者を始めとする人的交流,日本語の普及の促進などを通じて,ソフトパワーの更なる充実を図ります。
 昨年の訪日外国人数は,政府目標の一千万人を上回り,過去最高を記録しました。ビザ緩和などの措置を通じて,観光立国推進に取り組みます。
 さらに,2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の成功に向け,スポーツを通じた国際貢献策を着実に実施する等,外務省としても最大限取り組んでまいります。 このように多岐にわたる外交課題に適切に対処するため,外交実施体制を含む我が国の総合的な外交力を引き続き強化していきます。 

(結語)

 戦後の我が国の平和国家としての歩みは,国際社会における高い評価と尊敬を勝ち得てきました。こうした歩みを堅持しつつ,今後は国際協調主義に基づく積極的平和主義の下,平和で繁栄した世界の実現に向け,我が国ならではの貢献を一切惜しみません。私は,そのことが我が国の立場に対する理解を一層深め,国際社会からの信頼を更に揺るぎないものにすると確信しています。今後も,我が国を守り,世界の平和と繁栄を実現するための外交を全力で推進してまいります。
 議員各位そして国民の皆様の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。


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