ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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公文書国会は、陸自「イラク日報不存在」虚偽に波及、野党6党の抗議で衆・本会議3時間半遅れる【追記・訂正有り】

2018年04月05日 17時59分04秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 政権再交代後の、第3次安倍内閣は、防衛大臣のみ入れ替えて組閣。第4次安倍内閣は、その直前の改造と同じ顔触れですが、改造直前に防衛大臣が辞任していました。更迭職を薄めていますが、防衛大臣の事実上の引責辞任や、前の民主党内閣から相次いでいます。

 防衛省・自衛隊という組織は、新卒採用の入口も、定年退職直前の出口も4つ以上のルートがあるので、「文書不存在」の嘘をつきとおせない組織です。昨年の小山展弘・衆議院議員(当時)の2月の衆議院予算委員会一般質疑での追及から始まった、南スーダンPKO日報「破棄」問題は統幕のサーバーから復元されて出てくる結果となりました。ところが、それを報告した大臣室での密室の会話の手書きメモが、陸幕からフジテレビにリークされるという後味の悪い混乱の中、収束しました。で、この一連の流れの中で、陸自からイラク日報が発見されたのに、それを当時、大臣に報告せず、11か月間にわたって「不存在である」との嘘をついてきた、ということのようです。

 だいたい、けさあたりは新聞を読みながら、森友をめぐる財務省の公文書、裁量労働制の厚生労働省調査の改竄、防衛省陸自のイラク日報と、なかなか経緯が混とんとしてきた感じです。森友をめぐる、文科省の「総理のご意向文書」は終結しました。与党、野党、マスコミとも、こういう対立が高まっているときに、敵が誰かを把握しないといけません。例えば「稲田さん辞任しろ」という間違った敵対視をすると、あっという間に影響力を落とすことになりますから、注意が必要です。

【衆議院本会議 平成30年2018年4月5日(木)】

 上述の通り、陸上自衛隊「陸上総隊」新設の晴れ晴れしい日であった4月4日の午後6時台に、防衛大臣からイラク日報問題がマスコミに報告されました。

 野党6党は「与野党ではなく、立法府対行政・自衛隊の話だ」と国対委員長会談を要求。自民党はこれを飲まず、3時間半遅れで、開会されました。

 政権再交代後の5年間で、午後1時設定の本会議がずれ込むことはまれ。午後4時半に野党6党欠席のまま開き、上り法案2つを参議院に送りましたが、法案の審議入りは見送り、散会しました。

 「福島県原発避難地域選挙区特例法延長法案」(196衆法10号)は全会一致で可決し、参議院に送付されました。

 「相続未登記農地利用促進法案」(196閣法36号)は起立採決。出席した自民党、公明党、維新による、起立総員の全会一致で参に送られました。散会。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 陸自イラク日報を巡って議論がありました。

 予備自衛官の雇用主への休業補償を定めた「防衛省設置法及び自衛隊法改正案」(196閣法25号)は採決できず、質疑を次回以降もすることにして、散会しました。

【参議院農林水産委員会 同日】

 「生産緑地など都市農地貸借円滑化法案」(196閣法43号参先議)が全会一致で可決すべしと決まりました。

 質疑では、自民党の山田俊男さん(JA全中組織内)が「早く法律を通しましょう」と呼びかけると、斎藤健農相が「先生とは国土交通省の反対をはねのけて議員立法で頑張った」と応じました。附帯決議では、民進党会派の舟山康江さんが「生産緑地の指定を促進すべし」として採択されました。

【衆議院総務委員会 同日】

 一般質疑のみで散会しました。議員立法や閣法付託の予定は、流れました。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 本会議の質疑が終わった「森林経営管理法案」(196閣法38号)に「独立行政法人農林漁業信用基金法改正案」(196閣法39号)を加えた2本を一括して議題にして、趣旨説明がされました。散会。

【衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会】

 委員長ポストは野党第1党の立憲民主党にわりふられており、横光克彦さんが委員長をつとめています。

 福井照沖北相の所信。この後、外務省政務三役のあいさつもありました。「拉致」「沖北」と外相出席の特別委が多すぎます。減らすべし。

【衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会 同日】

 野党第2党の希望の党に委員長ポストが割り振られています。委員長は、国対畑の、笠浩史さん。松山政司・科技相の所信を聞きました。

【参議院経済産業委員会 同日】

 世耕弘成大臣の所信に対する一般質疑がありました。これでいわゆる「店開き」となりました。

 けさの日経新聞では、サンドボックスなど経済産業省関連の法案が遅れており「影響がある」との報道が初めてなされました。新年度に入り、経産省・経団連に「やき」が回ってきたようです。一方、手ぐすね引いて待ち構えた民進党の質問は、プレミアムフライデーなどネットで引いてきたような質問でした。大義は民進党にあります。

 経産マターでは、先の国会以降、商工中金の不正融資で、事務次官経験者が社長を辞めて民間から新社長が招かれました。維新の石井章さんは、商工中金新社長である参考人から「不正利用を猛省して新しいビジネスモデルにとりくむ」といった答弁を引き出しました。そして、最後に「大臣お疲れのところすみませんが、今の商工中金とのやりとりの感想をお願いします」と締めくくりました。

【参議院内閣委員会 同日】

 「古物営業法改正案」(196閣法42号参先議)を審査。採決の結果、全会一致で可決すべし、となりました。県警の利権である古物商許可について、やや規制緩和する法案です。

【参議院法務委員会 同日】

 「裁判所職員定員法改正案」(196閣法10号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院財政金融委員会 同日】

 「国際観光旅客税法案」(196閣法2号)の審議が続き、次回以降もすることにしました。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 一般質疑のみで散会しました。日切れ法案の審議入りは見送られたようです。

【追記・訂正 6日午後4時】日切れ法案「駐留軍法及び漁臨法5年延長法案」(196閣法14号)は全会一致で可決すべしと決まりました。【追記・訂正終わり】

【参議院国土交通委員会 同日】

 「建築基準法改正案」(196閣法44号参先議)が趣旨説明されました。耐火など細かい改正項目を網羅的にまとめた法案。

●参議院総務委員会はありませんでした。

 衆院側の定例日として衆・総務委が一日予定されていたこともあってか、開催されませんでした。

●参議院文教科学委員会はありませんでした。
●参議院環境委員会はありませんでした。


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