ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

愁ひ来て

2018-05-25 06:26:55 | 資料

愁ひ来て
丘にのぼれば
名も知らぬ鳥啄めり赤き茨の実


今日は啄木である。

「啄めり」は「ついばめり」と読み、「茨」は「ばら」と読む。

何げない言葉の感覚がこころよい。それはこの作家の心が整っているからである。

憂愁がくれば、丘に登ってみたくなる。そこで名も知らぬ鳥が赤いばらのみをついばんでいる。

作者の心がにじんでくるように自分にしみてくる。

隣に行って、ともにその憂いを感じてみたいとさえ思う。


高空の鳥の憂ひは知らずとも君見る夢のしづけさは知る    揺之






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