
久しぶりに映画を観た。
映画集合施設「シネマプレックス」にて。
450席に、10数人だった。
それも全員若いカップル。
この映画、
「ラブロマンスなのかね?」
見終わっての感想。
「純愛物だ!これ!」。
というわけで、アカデミー8部門オスカー受賞の看板に引かれたのみの私は、予想外の展開に驚いてしまった。
さて、この映画をどう頭の中で整理すればよいのか、なかなか難問と思う。
題名の「スラムドッグ$ミレオネア」は、スラムの孤児が世界的クイズ番組「ミレオネア」に
ひょんなことに挑戦し、偶然にも答えることが出来て、億万長者になった。
ついでに初恋の彼女と結ばれたという、シンデレラボーイ&ガール物語です。
こう書いてしまえば、身も蓋もない。
このシンプルストーリーを、どのように描き切れば、観客を釘付けにできるか。
圧倒的な映像と音響を駆使し、インド・ムンバイのスラムという極貧を舞台に「天と地」を見せた。
この「天と地」は、実はグローバル資本主義の一つの帰結だということを、
アメリカ人に嫌がられぬ程度に表現している。
孤児になった主人公が暮らすごみの山は、世界的ブランドのゴミ捨て場だし、
主人公が、お茶くみをするコールセンターは、英語国の下請けだ。
スラムは潰され、代わって林立する高層ビル群はグローバル資本の手による。
スラムを取り仕切っている地元マフィアの邸宅もその高層ビルから見れば、
少しましな邸宅程度にしか見えない。
映画人がコメントなしの映像で語れるのはこのくらいかもしれない。
という見かたができるという、すこぶる付きのエンタメですな。
隣に座っていた家人など、とても興奮していた。
ということで、納得のアカデミー受賞でしょう。
※写真はもちろん映画には関係ない新大阪駅です。
この映画でも駅は重要な記号となっている。
ステーションは天国(富)への扉というメタファー付き。