元気な高齢者こそ使いたい電子機器

80歳を過ぎても、日々の生活を楽しく豊かにする電子機器を使いこなそう

国民投票を打ち出したキャメロン首相への、イターイしっぺ返し。

2016年06月24日 16時31分52秒 | 日記
 英国のEU離脱か否かの国民投票の結果は、僅差であるが離脱派の勝利の結果に終わった。

 今後の英国やEUの対応は、世界経済のにも大きな影響を与えることになるだろうが、現段階では適当な予測もできない。

 日本の円ドル為替レートは、一時100円を切ったが、午後3時頃は102.52円になっている。

 日経平均株価も、大幅に値下がりしたが、引け値は14,952円 前日比-1,286円 と予想されていたような値下がりの結果になっている。

 まあ来週以降には、離脱ショックも落ち着き、もう少し値上がりもするだろうが、株価は15,000円台で推移するように思える。

 もともとは、英国は離脱などできるはずがないと、国民投票を打ち出したキャメロン首相にイターイ結果が跳ね返ったことになる。 こういう結果になれば、キャメロン首相の辞職にもつながるだろう。





アベノミクスの失敗批判が、なぜか大手メディアが書かない日本の異様さ。

2016年06月23日 11時34分22秒 | 日記
 昨日の筆者の記述の中で、IMFがアベノミクスはペテンだと評したと書いたが、正確には英ファイナンシャル・タイムス(FT)の社説や一面の大きな記事の中で書かれていたことでした。

 ただIMFの報告者も、アベノミクスに対して、3年前の当初はそれなりの効果があったが、構造改革がされていない現状など、安倍政権の経済政策に厳しい注文が付けられている。

 まあどう見ても、海外からの日本を見る目は、アベノミクスに対して、非常に厳しい評価だ。

 筆者には国内の大手メディアは、なぜか委縮したように、政府への批判を意識して避けているように見えて仕方がない。

 今回の消費税再延期も、どうも経産省と財務省間で、意見の対立があったようで、安倍官邸は参院選挙対策もあり、財務省の主張する消費税の公約通り10%再延期実施を退けてしまった。

 財務省の諮問機関である、財政制度審議会の会長が、アベノミクスの失敗と痛烈な批判会見をしている。

 こういう会見が、なぜかRecord chinaというサイトでしか出ていないのが、筆者には日本の大手メディアの異様さを感じさせる。

 昨日の宿輪純一氏のコラムをぜひ読んで欲しい。アベノミクスはどう贔屓目に見ても、いくら継続しても、日本の将来に未来はない。 もっとまじめな経済政策に早急に舵を切り替えるべきだ。

(Record chinaより貼り付け)

財政審会長が異例の痛烈批判、「アベノミクスは失敗」=消費増税先送りに「大義はない」―デフレ脱却「困難」
配信日時:2016年6月20日

 2016年6月17日、財政制度審議会(財務相の諮問機関)の吉川洋会長が、「消費増税再延期と日本の財政」と題して会見、安倍晋三首相の経済政策・アベノミクスは失敗したと断じた上で、「消費増税先送りに大義はない」と批判した。政府の代表的な審議会のトップの痛烈批判は極めて異例。政権の発言要旨は次の通り。

 消費税引き上げは国民の安全・安心の基礎となる社会保障制度を持続可能なものにし、財政再建の一歩となるものだった。日本経済にとっての大きなリスクを取り除き、民需主導の持続的な経済成長を生み出すはずだったが、消費増税先送りに大義名分はない。

 アベノミクスは岩田規久男日銀副総裁や浜田宏一内閣府参与らリフレ(インフレ志向)派が推進した政策だが、私は失敗したと考える。第2次安倍政権発足以来3年半。黒田春彦日銀総裁は異次元金融緩和により、2年以内に消費者物価指数で2%のインフレにすると約束したが、総裁就任以来3年以上経っても、この目標は遠のくばかり。「17年度中に達成する」と目標時期を延期したが、これも困難で、このままではデフレ脱却は難しい。

 黒田総裁らはマネーの流通量を増やせばデフレが止まると主張したが、その異次元金融緩和が行き詰まった。「マイナス金利」を導入したが、効果はない。政労使会議で企業の賃上げを促したのはよかったが、結果が伴っていない。

 購買力平価(ビッグマック指数等通貨の購買力)でみると、適正円相場は1ドル=80円であり、ルー米財務長官の円安牽制発言は妥当と言える。アベノミクスでもたらされた円安・株高の流れは逆回転している。

 世帯所得のジニ係数(不平等度を表す指標)で見た所得格差は長期的に上昇傾向にある。所得分布全体が下に移動するという、全般的な貧困化傾向が見られる。国民の将来への不安が消費の停滞と景気低迷を招いている。(八牧浩行)

(貼り付け終わり)

アベノミクスは失敗していると認めない安倍首相は、自民党内で真剣に選手交代さすべきだ。

2016年06月22日 15時57分05秒 | 日記
 参院選が始まり、党首討論が記者クラブやネットで行われた。

 相も変わらず、安倍首相はアベノミクスの効能を得々としゃべる。 そのしゃべりは、よく見える数字の部分を強調して、まるで自動反復のテープレコーダーがしゃべりつつけるように、とうとうとしゃべる。 本人は本当に成功していると信じているのではないかと、不安を感じるくらいだ。

 野党の党首も、安倍の持ち出す数字に、真っ向から反対できるほどの経済通ではないため、他の未達の実績数字の項目を持ち出すが、話が所詮かみ合わない。

 アベノミクスは、IMFからもはっきりとペテンだと指摘されている。 野党が言うように、アベノミクス政策は破綻しているのだ。

 エコノミストの宿輪純一氏が、ダイヤモンド オンラインの【宿輪ゼミ・特別講義】において、厳しくアベノミクスのいい加減さを指摘している。

 日本の財政が改善されることなく、国債を発行し日銀が買い取り、財政ファイナンスをするという、禁じ手を行い続けることには、財政経済学者であれば、当然危険性を感じて指摘する問題点だ。

 筆者は75歳を過ぎているから、せいぜいあと10年程度の寿命かもしれない。しかし、30~50代の人たちの将来を考えると、日本の将来に不安がよぎるのだ。

 野党でも、日本の将来に希望を託せる人物が現れれば良いが、自民党内で、安倍晋三氏に代われる、真面目な経済の分かる人物に交代を検討するのが、責任与党の在り方ではないのか?

 憲法改正などは、まだその先の課題だ。
 

(ダイヤモンド オンラインより貼り付け)

アベノミクスには「マジメさ」が足りない
【宿輪ゼミ・特別講義】
宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
2016年6月22日

 日本の景気が良くならない主因は「将来不安」が強まっているからだ。いままでの先延ばしを基本とする経済政策に対し、国民の不安は強まっている。経済政策の本来の目的は、国民を「前向きな気持ち」にすることだと考えるが、これでは逆だ。アベノミクスには「マジメさ」が足りないのである。

1.限界を超えた「平成型政治的経済政策」

 当初アベノミクスでは、インフレを誘導する「インフレターゲット(デフレ脱却)」政策が導入された。国民は半信半疑だったが、その後、景気が良くならずにインフレになっても、国民にとって良いことはないのに気がついた。さらに「デフレ脱却」という言葉の意味は、本来は「物価の下落を止めること」だが、それを景気回復と同じ意味だと国民に刷り込んだきらいがある。そして現在では、政府は政策面でインフレという用語(目標)を使わなくなっている。

 先日5月のG7伊勢志摩サミットでも、日本だけが「財政出動」という表現で財政政策を提案した。以前からの財政政策である「公共投資」に制度への補助を加え「財政出動」に名前を変更したのである。「出動」という単語で印象を良くしたかったのかもしれない。財政政策は、元々はインフラを作り、それが経済を活性化させるという長期的な成長政策であった。しかし、日本はインフラがほぼ整備されている。これ以上のインフラ整備の必要性は低い。それを20年ほど続けて、効き目が一時的な短期的経済政策で、借金がさらに積み上がることを、国民もわかってきている。G7で日本以外の先進国が反対するのも当たり前のことだ。また「東京オリンピック」も、不祥事が続いたうえに予算は膨れ上がり、インフラを作る公共投資のような様相を呈している。政府・当局に対する不安は高まるばかりで、本当に五輪を望んでいる国民はどれほどいるのであろうか。

 また、これまでは、たとえば税金を上げないこと、つまり短期的に楽をして、長期的な将来を考えないことが、政治的に国民に評価された。しかし状況は変わりつつある。今回もG7後にこのような「政治的配慮」による「消費増税延期」が実行されたが、国民に歓迎ムードは高くない。景気が良くならない、すなわち、収入が伸びない、将来も明るくない状況下で、国民が消費を増やす可能性は低い。さらに財政赤字が大きくなることへの懸念が高まっている。つまり「平成型政治的経済政策」は効かなくなってきている。ここでいう平成型政治的経済政策とは、先延ばしと、様々な面で“量”を拡大する経済政策で、経済改革に重きを置かない政策のことだ。これでは、長期に渡る不況への対応ができず、構造改革もできないという、いわゆる「日本病」は治らない。

 筆者は、経済政策とは、平常時は「教育」的で、病気(非常時)になったら「医療」的なものであるべきと考えている。病気の時は、苦い薬も飲まなければならない。もっと悪くなれば手術もしなければならない。その覚悟をすることが大事なのである。痛み止めを飲み続けて、治療すべき悪い点を放置しさらに悪化させているのが現在の経済政策である。このようなやり方は、決して教育的とはいえない。そもそも「経済」とは、本来は「経国済民」(国を治め民を救う)ことのはずだが、現在は逆に将来を食いつぶしている状態ともいうことができる。

 普段の生活では日本人にとって当たり前のことが、“国の経済政策”となると、いい加減になる傾向がある。このいい加減さが、経済政策への信用をなくしてきた。例えば「借金は返す」こと、「身の程を知り、身の丈で暮らす」こと、「約束を守る」ことなどが、国の経済政策では、いい加減に流そうとする傾向がある。ここがまずアベノミクスに心惹かれない理由の一つではないか。

 現在の経済政策への国民感情は、(1)未来が良くなるか気がしない、(2)政府が信用できない、というものではないか。

(1)未来が良くなる気がしない理由は、まず、現状維持政策しかとっておらず、改革的な政策は回避する傾向があるからだ。その結果、“ジリ貧”の状況になって、未来が良くなる気がしない。
(2)政府を信用できない理由は、絶対やりますと言いながらやらない、ちゃんとやっているのかどうかもわからないからだ。最近の消費増税延期の理由も、本当は「国内の景気が悪い」からであったはずが、政治的に言えず、「海外景気がリーマンショック時並みに悪い」と言って冷笑を買った。

 経済は常に変化しており、制度をそれに合わせて「変革」していくことが必要不可欠だ。本来はそれこそが経済政策であり、絶え間なく変革を続けていく環境づくりや意識改革こそが大事なのである。経済(構造)改革を急激に進めると一時的に景気は悪化することになる。政治的には「票」が落ち、選挙では落選となる。日本は年配の方の投票率が高く、シルバー民主主義とも呼ばれるが、年配の方々が不利になるような改革は困難となる。

 しかし、ドイツのシュレーダー元首相は違った。構造改革を実施し、2~3年は経済が悪化するのはわかっていた。彼の最後の演説は有名だ。「これをやると、私は落選する、しかしドイツのためにやらなければならない」。結果、東ドイツ出身のメルケル氏が当選した。しかしその後、構造改革の成果が出てきて、経済が強化され、ドイツは「欧州の病人」から脱却し、現在の繁栄をもたらしている。彼こそ政治屋ではなくて、政治家なのだと思う。

2.悪化が止まらない金融・財政状況

 (量的)金融緩和は、しょせん輸血や痛み止めで、悪いところはそのまま放置する。海外からは「モルヒネ(麻薬)経済」とも揶揄されている。打てば一時は気持ちよくなるが、中毒になりもっと欲しくなる、そして努力する気持ちがなくなる。米国の金融政策では、正常なレベルまでの利上げを「正常化」と呼ぶ。そうすると日本は「異常化」なのだろうか。金融市場で日本円は「低リスク通貨」といわれているが、本当にそうなのだろうか。他通貨との比較の話であろうが、市場の思い込みではないかとも考えられる。

 財政でも、1年で55兆円の税収で95兆円の歳出。家計で言えば月給55万円で95万円使っている状態で、これをずっと続けている。理由はいろいろあろうが、この状況をおかしいと思えないことがおかしい。毎年約40兆円の財政赤字(国債発行)が減らない。さらに10年で3分の2の財政赤字を積み上げている。いうなれば、分不相応というか、身の程知らずで、教育的ではない。GDP対比の公的部門の借金比率が世界一であって、さらに借金を今まで同様に増加させるとは、いかがなものか。ギリシャと基本的構図は一緒である。

 日本銀行は量的金融緩和として、毎年80兆円の国債を購入する。一方、財務省は毎年40兆円の国債を発行している。国債を直接日本銀行が買う (引き受ける)ことは、財政ファイナンスとなり財政法第5条で禁止されているはずだ。それを途中に金融機関を通し、日本銀行が間接的に購入することでごまかしている。その購入量は年80兆円で莫大な金額となり、40兆円は既発債を購入している。国債市場はすでに枯渇し、希薄化しており、機能不全に陥っている。市場が希薄になっていると、金利が急激に変動する可能性があり、危険な状態である。

 そんなときに三菱東京UFJ銀行が、国債市場を支えるプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)資格を返上し、さらに市場が希薄になった。背景としてはマイナス金利の影響で国債金利が大幅に低下し、国債の利息に頼っていた金融機関の心が離れたこともあろう。日銀がすでに国債の3割を保有、さらに買い進め、2018年には5割を超す。当然、「出口」では国債を放出し、金利を大きく上げることになるだろう。保有国債が大量なだけに、上げ幅も大きくなる。米国中央銀行FRBの場合は、当初の計画通り、期日ごとに落としていく予定になっている。詳細を聞いてみると、2020年に量的緩和で出した資金量を、半分にするそうだ。一方、日本には出口戦略がない。

 量的金融緩和は、なかなか実態がわかりにくいが、以下の様に表と裏の構造となっている。

(1)「表」として日銀が国債を購入し、その対価として資金供給を行い量的金融緩和を行っている。市中への資金供給はインフレを起こすことにもなる。しかし、本当の目的はこの国民が望まないインフレ誘導ではなく、国債購入ではないか。現在は80兆円の買い入れであり、40兆円は毎年の新発債であるが、40兆円は既発債であり市場から買い上げなければならない。

(2)「裏」として公的金融が市場に大量に国債を売却し、日銀が購入し、余った資金で株式等のリスク資産を積極的かつ大量に購入している。その最たるものがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)だ。所管が厚生労働省のせいか、金融商品取引法的な説明は国民にはなかった。しかもGPIFの運用は半分を株式、半分を外国資産と、リスクを取った形になっている。先日は株価下落に伴い早くも損出を出し、年金資金という性質上、問題視されている。運用成績は通常は7月上旬発表であるが、今年は参議院選挙後の7月29日発表に変更となっている。

 実は、アベノミクスのマクロ経済政策の手法は結構シンプルだ。(質的な)構造改革をしない、株高と円安による量的景気回復モデルであると考える。

(1)「株高」であるが、量的金融緩和そのものによる資金の流入と、公的金融の買い上げによって、株価が一時的に上がった。それを受けて資産を保有する高齢者の方々の消費が伸びた。だがそれは、持てる者は恩恵を受けるが持たざる者は恩恵を受けられない、格差拡大モデルであった。先進国では金融緩和が格差拡大につながると言っていたのが、フランスのピケティ博士である。現在は株価が下落してしまっているために、逆に消費が減る。いわば逆資産効果が発現している。

(2)「円安」であるが、以前の輸出企業は海外に進出したために、現在は円安に動いたとしても、景気に与える影響は20年前の5分の1の効き目しかない。円安による輸出増加を狙うも拡大せず、貿易赤字が続く状態となっている。このように構造が変わったにもかかわらず、円安になると株高になるのは、過去のイメージの残存効果でしかないだろう。

 さらに、最近の株価の動きは国内経済と乖離し、海外経済次第となっている。これは上場企業のほとんどが海外に進出し、海外に軸足を移し始めているからである。株価が上昇しても国内は不景気で、こうした乖離は今までなかったことだ。量的緩和と公的機関による買い取りの構図は、中国・上海株式市場と本質的には変わらない。

3.もともと達成できない経済目標

 政府は2020年にかけて2つの経済目標を設定した。(1)景気目標としてのGDP(国内総生産)600兆円にすることと、(2)プライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化することだ。現段階でも、これらの達成が困難というか、無理なことはわかる。

(1)GDP600兆円は、7月10日に選挙が迫っているため、不人気なインフレ目標から景気目標にスライドさせた。この辺も微妙な感じがする。そして(2)プライマリーバランスも、消費増税が延期され、さらに財政赤字は拡大する。

 それ以前に、そもそもの前提が“経済成長率3%”である。この数字はまず無理だ。なにしろ、先進国の中でも好調な米国でも現在2.5%程度である。前提がそもそも無理なので達成もできない。そして安倍首相も黒田総裁も2018年で任期が満了する。この辺も国民が経済政策に信用が置けない理由の一つである。

4.崩壊の始まり

 無理な金融政策は崩壊する可能性がある。そのプロセスは既に始まっているのではないか。それは(1)金融政策をさらに進めたマイナス金利政策による金融市場の混乱、(2)格付け低下がもたらす金利の上昇、(3)日本企業も格付け低下となり、日本経済の体力を削いでいく。

 日銀は毎年80兆円の国債の買い取り(実質的な財政ファイナンス)を行っている。マイナス金利まで導入して、金融機関の経営は大幅に悪化し、日銀離れが進んでいる。銀行は今や構造的な不況業種で、活路は合併しかない状況である。現在、多くの銀行の預貸業務は逆ザヤであり、国債運用(20年物を主とする)で運用してきたが金利1%が0.3%となり、収益は7割も減少していることになる。

 財政の悪化は止まらず、国債格付けが下げられる(そうしなければ格付け会社が問題視される)。ギリシャショックも格付け会社が引き金を引いた。邦銀・日本企業は、さらにジャパンプレミアムも乗って、海外における資金調達が困難になり、日本企業・日本経済の体力を削ぐことになる。

 現在の日本の長期格付けはシングルAで、中国よりも低い。日本国債と企業の格付けには、以下のように連動のルールがある。

・同格付け 国債を大量に保有している銀行・保険などの金融機関
・2ノッチ 国の規制が強い電力などのインフラ企業
・4ノッチ 一般企業

 日本国債の格付けが下がれば、一般企業のトヨタ他、日本の超一流企業がAAAから落ちるのだ。このようにダイレクトな面でも、日本企業の経営に対する悪影響は避けられない。

5.“マジメな経済学”が重要

 1980年代のイギリスは「英国病」といわれ、経済的には黄昏れていたが、サッチャー政権で復活し、さらに最近はキャメロン政権で経済が強化されている。キャメロン首相は公約で増税を宣言。付加価値税引き上げ、法人税引き下げ、冗費削減、軽減税率品目の削減などを断行した。プライマリーバランスも、2009年GDP対比5%だったのが2019年にへ+0.5%となる。日本では到底無理だ。結果、選挙で大勝した。実は過去にはサッチャー首相も増税を公約して当選している。しかも今年も経済成長率2%という高さである。

 一番大事なことは、現在の経済政策とは逆で、前向きな姿勢を保ち、約束を守ることだ。つまり「マジメな経済学」をきちんと実行することが大事なのである。言い換えれば、国民が経済政策を信用できるレベルにすることだ。

 常に前向きに変化していれば、構造改革だ、と大上段に構えなくてもよい。規制緩和はそんなに大幅でなくても効くものだ。ポピュリズムに踊らされず、実現できもしない夢に騙されてはいけない。それには国民の「経済リテラシー」を上げることが大事である。

 ある世代まで、日本人の労働観・経済観のベースとなってきたのが「二宮尊徳」ではないか。1787年に生まれ、14歳の時に父親が、16歳で母親が死亡、親戚の家で辛い思いをし、24歳で家を再興。後には小田原藩の財政も立て直した。彼は「道徳なき経済は罪悪・経済なき道徳は寝言である」という言葉を残している。

 述べていることは、まずは「勤労・分度・推譲」である。勤労とは徳に報いるために働くこと。分度とは、収入の範囲内で支出を定めること、推譲とは勤労、分度をして貯まった物を将来のために残し、人に及すこと。

 そして「積小為大・五常講」だ。積小為大とは小をつんで大と為すこと。五常講とは、「仁」の心で分度を守り、お金を借りた方は「義」の心をもって正しく返済し、[礼」の心を持って恩に報いるため冥加金を差し出すなど心を配り、「智」の心をもって借りた金を運転し、「信」の心を持って約束を守る。彼は「仁義礼智信」の人倫五常の道を守ろうとした。筆者は、まさに今の日本の経済政策に必要な考え方ではないかと考える。

 さらに言うと、社会の「モラル(倫理観や道徳意識)」の悪化が著しい。日本の経済的強さである「おもてなし」は、ベースにモラルが必要不可欠だ。モラル悪化は「経済」に対してもマイナスとなる。ある程度の道徳教育の再興が必要不可欠だろう。たとえば、振り込め詐欺等、社会的なモラルの崩壊は著しい。また残念なのが、ライブドア事件をはじめ新興企業の事件が、起業をする人たちを斜に構えた視線で見る雰囲気を醸成したことだ。新興企業発展モデルが起こりにくくなっている。

 日本ではあまり報道されないが、オランダはなんと世界第2位の農業輸出国である。狭い国土のほとんどが埋立地、濃い塩分を含む土地にもかかわらず農業改革を断行した。改革をするときには「透明性」が最も大事で、それこそ日本の農業改革を始めとした経済政策の課題といえる。

 経済運営は「前向きで、信頼できる」ことが最も重要だ。最適な状態に向かっていく、気持ちを持ち努力しているプロセスこそが大事であると考える。

(貼り付け終わり)

英のEU離脱、残留の国民投票は、若者が握っていると伝える、伏見 香名子さんの秀逸コラム。

2016年06月21日 12時55分02秒 | 日記
 英国のEU離脱か残留かの国民投票が、いよいよこの23日に迫ってきた。

 残留支持の女性議員への殺害事件まで発生し、離脱派より残留派支持層が増えているとか言われているが、どちらにしても僅少差であり、投票結果を見ないことには何とも言えない。

 英国在住のフリージャーナリスト伏見 香名子氏のコラムが、自分の目で見た英国市民、特に結果に影響を与える、若者の投票行動を生き生きと伝えてくれている。

 伏見氏も一般的な見方では、「残留派は主に貿易や雇用など、EUから得られる経済的な恩恵を争点としているのに対し、離脱派は移民問題や主権を前面に打ち出している」と紹介している。

 しかし、伏見氏のコラムで光っているのは、そのあとに英国の若者に焦点を当て、離脱派、残留派の発言を鮮明に描いていることだ。

 結論は、投票結果を見ないとわからないとしているが、EUに加盟する事で当然のように得ていた権利のメリット、デメリットを伝えている。

 筆者がグダグダと紹介する必要もないので、下に貼り付けた伏見 香名子さんのコラムをお読みください。

(日経ビジネス オンラインより貼り付け)

EU離脱問題、英国の若者から見たリアル
残留か、離脱か。投票のカギを握る若者の素顔に迫る
伏見 香名子
2016年6月21日(火)

 英国のEU離脱を問う国民投票が、いよいよ今週23日に実施される。労働党の女性議員殺害事件で、両陣営の選挙活動が一時停止し、各地で繰り広げられた政治家たちの舌戦も、事件後の週末はさすがに控えめであった。事件までの世論調査では離脱派がじりじりと残留派との差を縮め、一部調査では多少のリードもしていたが、殺害事件後の世論がどう動くのかは、投票日までの動向を見守りたい。調査によっては、残留派巻き返しの様相も呈している。

 この離脱騒動では、離脱派の掲げる「誇大キャンペーン」の中で、英国がEUへ支払っている拠出金の額を大げさに伝えていることが知られるようになっている。また、残留派がEU離脱で被る打撃の経済的な数値を発表しても、数字ばかりを投げつけられる市民からは、一体何を信頼したら良いのか分からない、という混乱の声も聞こえる。そもそもなぜ英国がEUを離れたいのか、確固たる理由も見えにくい。残留派は主に貿易や雇用など、EUから得られる経済的な恩恵を争点としているのに対し、離脱派は移民問題や主権を前面に打ち出している。

 非常に分かりにくいこの選挙の「そもそも、なぜ」を、若い人の視点で紐解いてみようと思う。一部政治家たちの欺瞞については前稿(「英国の女性議員殺害が問う“憎悪扇動”の大罪」)で書いたので、ここでは触れない。

●投票のカギを握る若者

 英調査会社YouGovによれば、これまでのところ、一般的に低所得層や高年齢層ほど離脱に投票する傾向にあり、中間層以上や大卒者、若年層ほど残留を支持する傾向がある。また、地域によっても差は生じており、都市圏や、大学のある町では残留派が多いのに対し、地方では沿岸部など、圧倒的に離脱派の多い地域もある。

 投票のカギを握るのは、10〜20代の若年層とされている。英調査会社IpsosMORIによれば、去年の総選挙では18〜24歳の投票率が43%だったのに対し、65歳以上では78%だった。若者たちが投票するかどうかで、結果が大きく変わってくると見られている。

 英国のEU加盟(当時はEC)からは43年が経過しており、若年層はEUの枠組み内での英国しか知らず、取材を通して出会った人たちの中には、EUなしの生活など考えられないと訴える若者も少なくない。

 こうした若者たちは、実際、離脱問題をどう捉えているのか。

●残留派若者「EUの希望や多様性を失いたくない」

 6月初旬、若者たちで賑わうロンドンのカムデン・マーケット周辺の残留派キャンペーンに足を止めた20代の英語教師の女性は、この選挙戦が始まるまで意識したことのなかった「自分はヨーロッパ人なのだ」という気持ちが、最近になって強くなったと言う。EU域内での移動の自由の恩恵を、今後も継続して受けたいと語った。

 「絶対残留すべき。ドイツやフランスへただ(観光などで簡単に)行くことができるだけでも良い事だし、できるならあちらへ行って働く選択肢も保ち続けたい。この選挙戦が始まるまでは、私たちは英国人だ、としか考えていなかったけれど、今では自分も英国より大きな存在、EUの一部なのだと実感している。それに、EUは人権を大切にしている。個人情報保護など、英国はどこまでプライバシーを守ってくれるか分からないが、EUならちゃんと守ってくれると信じている」と話した。

 同じ場所で話を聞いた27歳の男性は、EUに残りたい理由を次のように語った。

 「僕は、ベルギー人と英国人のハーフで、生まれて間もない頃を除きずっと英国に暮らしている。だからミックスの文化で育ったけれど、一部は英国、一部は欧州、そして更にグローバルなアイデンティティーを持っていると思っている」

 「英国には今、沢山の異なる人たちが暮らしている。もう、英国人であるということは、白人でキリスト教徒だということではなく、様々な文化を尊ぶということなんだ。EUは未来の世界の縮図だと思うし、そうであってほしい」

 都市部に暮らす若者層の意見としては、概ね一般的な調査分析結果と同様の回答だ。彼らはEUの理念に託されている希望や、多様性を失いたくないという思いで残留に票を投じると言う。また、前述の女性は離脱が及ぼす経済的な打撃についても言及し、予測のつかない「離脱後」への不安も語っていた。

 しかし、同じロンドン市内の中心部で訪れた離脱派の活動で、今度は全く逆の意見が、同世代の若者から聞こえてきた。

●離脱派若者「最初は移民にワクワクしたが、現実は違った」

 市場で街頭活動をしていたのは、ビジネスマンや、超党派議員および支援者らで成る離脱派キャンペーン団体、リーブ(Leave=離脱)・EUのサザーク地区を担当するアレックス・ポッキンスさん(22歳)だ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で政治学を専攻し、去年卒業。現在は公共セクターで働いている。

 これまでに離脱派の市民に何人か話を聞く機会があったが、多かれ少なかれ、主流離脱派の政治家らによる誇大キャンペーンに煽られ、彼らの主張そっくりの受け答えをしていた。しかし、アレックスさんは自分の言葉で冷静に、なぜ英国が今EUを離脱すべきだと考えるのか、経験を基に話してくれた。

 大学進学以来ロンドンに暮らしているアレックスさんだが、出身はイングランド東部のピーターバラだ。ここは、EUがポーランドなど東欧諸国に拡大した2004年からのおよそ10年間で移民が急増し、英国内で最も急激な人口増加を経験した街の一つである。東欧からの移民は主に野菜や花の農家などで単純作業を行い、勤勉かつ低賃金で働くことを厭わないことから、雇用主からは重宝される一方、街では社会的な統合がうまく行かず、しばしば問題が指摘されてきた。

 アレックスさんにとっての最大の懸念事項は、やはり移民政策だ。彼自身の経験として、東欧からの移民に対して持っていた期待と、その後の失望を語った。

 「当初、地元では移民の人たちはどんな人たちなのか、とても好奇心も持っていたし、ワクワクもしていた。何かこれまでと違ったことが起こるのではないかと期待していた。でも、地元の小さな街に移民は次から次にやってきて、技能も持たず、英語も話さず、街に溶け込もうともせず、隔離されたコミュニティーに暮らしていた。犯罪歴の有無すらチェックできない。彼らの国より賃金の良い英国に来たがる気持ちは良く分かる。でも、制限なしに受け入れられるほど、大きな街ではないんだ。病院も、学校だって作らなければならない。ロンドンのように、すでに多くの外国人が暮らしている所とは違う」

●離脱派若者「移民問題を語ると一方的に差別だと言われる」

 こうした地元の深刻な懸念を、行政もメディアもこれまで全く気にも留めず、人々の不満は段々と蓄積して行ったとアレックスさんは語る。

 「ピーターバラでは異常な移民増加が起きた。不安に思う事は誤りではないのに、移民問題そのものを語ろうとすると『お前は外国人恐怖症だ』『不寛容だ』『移民じゃなくて経済が問題なのだ』と一蹴され、黙らされてきた。離脱に動いたことで、僕らの言い分にも一理あると思ってもらえるかもしれない。移民への不満を言う人々は無視され、頭が悪いのだという目で見られてきた。そうした気持ちが溜まっていったと思うし、EUそのものや、運営にも不満があると思う。自分の国の政策を自分たちだけで決められないのだから」

 アレックスさんの言う政策とは、例えば農業や漁業などに関するものだ。特に漁業に関しては、EUの共通漁業政策(CFP)のため英国が独自に漁獲量を設定することができないなど、不満は高い。最近、漁業関係者で成るEU離脱のためのグループまで設立された。アバディーン大学の講師らが行った調査では、実に9割の漁業関係者が離脱を希望しているという。

 ロンドンの大学でアレックスさんは、英語も堪能で、将来英国に貢献できる程の技能や知識を持つ優秀な人材に多く出会い、こうした人たちが、EU市民でないという理由だけで英国に留まれない事にも疑問を感じ始めた。現行法上、EU市民は英国で働く権利を自動的に得られるが、EU域外からの移民に対しては、増加する移民を削減する目的で、ビザの取得が近年厳しくなっている。

  「特にコモンウェルス(英連邦)出身で、英語も堪能、未来の銀行家や医師と成り得る技能を持っている人たちは金銭的にも自立しているのに、こうした人たちに国境は閉ざされている。一方で、スキルの低い人たちが誰でも入国でき、賃金の低下を招いてしまう。今の移民政策は非生産的だ」

 「生活が豊かで、安全な地域に暮らしていれば、カフェやバーで仕事を得るために競争しなければならないなんてことはないだろう。貧しい人たちは、こうした低賃金、低技能の仕事を得るために必死だ。だからマイナスイメージも増幅されると思う」

 「(EUに国境を閉ざすことに対して)差別的だとは思わない。英国は欧州諸国を優先しているが、一方で移民のコントロールをするために、世界の他の国々の人たちは拒否しなければならない。こうした人たちは、アフリカ、アジア、カリブ諸国などの人たちで、必ずしも白人ではない」

 インタビューの最後でアレックスさんは残留派について「できれば、国民投票の後にはみんな仲良くして欲しいと思う。同じ英国民なんだ。これからも一緒にやって行かなければ」と語った。

●投票の行方は依然として不透明

 離脱を巡っては若い世代同士であってもこうして意見が真っ向から対立し、投票の行方は未だ不透明だ。一部の政治家たちが繰り広げてきた過剰、そして過激な舌戦とは裏腹に、国の行く末を真剣に考える若者たちの姿に、どちらの結果になったとしても、彼らの手による分断的なキャンペーンを乗り越えた国づくりを期待したい。

 実は、アレックスさんに出会うまで、正直、筆者は離脱派の言い分は、世界がグローバル化する中で取り残されたと感じる、地方在住の白人たちの憂さ晴らしの側面もあるのだろうと推察していた。本当は移民の人たちときちんと向き合いたかった、というアレックスさんの言葉は重く響いた。だからと言って、国境を閉ざすことが問題の解決だとは思わないが、グローバル化による多様性がもてはやされる一方で、地元の人々の生活や思いがないがしろにされる事態は、コミュニティー全体の問題として打開して行かなければならない、とも感じている。

 筆者は300もの言語が話されると言われるロンドンに暮らして10年になる。ここでは、自分が外国人だと感じたことがほとんど無い。この10年、それが当たり前の生活だと思って暮らしていたものが、今回の取材を通じ「外国語なんてもう聞きたくない。自分の国にいるのに、外国に暮らしているみたいでもうたくさんだ」と言う言葉を初めて何度となく聞き、愕然とした。

 少なくともロンドンに関しては、それこそが国際都市の恩恵だと思ってきたからだ。しかし、ロンドンは長い時間をかけて移民が半分以上になった国際都市だが、ピーターバラの様な地方の小さな街には、数年で突然外国人が一気に押し寄せたのだ。地元の人たちが戸惑うのも無理はない。

 不満が噴出し、離脱を望む地方の人たちが、全て差別的であるわけでも決してない。取材を受けてくれた人たちは、皆一様に日本人である私たち取材班を歓迎し、自宅での撮影を引き受けてくれたり、あちこち取材に同行してくれたりして、経験談を話してくれた。アレックスさんが東欧の移民について話していたように、他に取材を受けてくれた、外国人慣れしていない人たちも「日本人ってどんな人たちだろう」と興味津々で会いに来てくれ、数日間の取材期間中、日本語を懸命に覚え、毎日片言の挨拶をしてくれた人たちもいる。

 大学院時代、ロンドンではない、主に白人労働者の多い街で1年暮らした経験から、ロンドンと地方との格差を知っていたつもりでも、多様性を負担に感じている英国の人たちがこんなにも多いことを、今回は思い知らされた。「英国は、一体誰のもの?」という問いが、この数カ月、幾度となくよぎりもした。

 6月23日、英国はどんな決断を下すのか。離脱が投げかけた「英国の形」の行く末を見守りたい。
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伏見 香名子

国際基督教大学在学中、米CNN東京支局でインターン実習。卒業後、国際映像通信社・英WTNの取材業務に従事。その後、米ABCニュース東京支局員、英国放送協会・BBC東京支局プロデューサーなどを経て、英シェフィールド大学・大学院新聞ジャーナリズム学科修了後の2006年からテレビ東京・ロンドン支局ディレクター兼レポーターとして、主に「ワールドビジネスサテライト」の企画を欧州地域などで担当。2013年からフリーに。

(貼り付け終わり)









18歳選挙権に、余り懸念を示す意見が言われていないが、本当に大丈夫なのか。

2016年06月20日 19時07分05秒 | 日記
 舛添降ろしのメディアの大合唱が、舛添氏の辞任声明とともに、次の新知事候補者選びへと重点が移っている。

 なんだか視聴率をとれる話題造りで、必要以上に舛添たたきが行われたかのように思えるくらいだ。

 次は参院選の18歳選挙権のようだ。テレビメディアは高校生や大学生の投票参加への取り組みを伝えるが、まあ学級委員会の選挙しかやっていないのだから、今の政治には殆んど無頓着であったのは当然だろう。

 しかも、海外の先進国に比べても、若い人たちへの政治への関心を持たすような教育もされていない。もっと深刻な問題は、日本ほど若い世代(とはいっても最近は40歳台にまで広がってきているが)引きこもりの人たちが激増している現実だ。 正確な数字はないが、5~10%に及ぶ引きこもりの人たちがいるというのだ。

 現在の一般社会に適応できなくなり、自分の世界に引きこもってしまう人たち、しかもなかなか引きこもりから脱出できないために、引きこもり人口が累積しているのだという。

 どうも憲法改正のための国民投票年齢を18歳に設定したいがために、18歳から大人だと現政権ははしたいのだろう。

 しかし、18歳から当然納税の義務も生じる、しかも今の日本の若者の18~22歳は、数十年まえの若い人たちと違って、大部分の若者は大学まで進学している。

 世の中では、18歳選挙権にあまり反対意見が出ていないが、もう少し18歳問題も掘り下げた検討が必要なのではないか。



(ビデオニュース マル激トーク・オン・ディマンドより貼り付け)

18歳選挙権で試される日本の成熟度
斎藤環氏(精神科医・筑波大学医学医療系教授)
.2016年6月18日


 精神科医の斎藤環氏は、選挙年齢の18歳への引き下げに反対している。大勢の引きこもりの若者を診てきた経験から、日本社会に若者の成熟や自立を支える準備ができていないと考えているからだ。

 6月19日に改正公職選挙法が施行され、選挙権を与えられる年齢が18歳に引き下げられる。7月10日に投票が見込まれている参議院議員選挙は、18歳選挙権が実施される初の国政選挙となり、自民党は、若者票を当て込んで比例区の候補者に元アイドルグループのメンバーを擁立する一方、民進党は給付型奨学金制度の創設を謳うなど、与野党とも若者に対するアピールに余念がない。今回の引き下げで、全有権者の約2%に相当する約240万人の若者が新たに選挙権を手にすることになる。

 世の大人たちは、選挙年齢の引き下げによって若者の政治への参加意識が高まり、責任感も増すのではないかと、おおむね肯定的のようだ。また、欧米諸国で18歳から投票権を与えていることも、今回の制度改正を支持する理由になっている。

 しかし、若者の自立や成熟を支援する制度を強化することなく、単に選挙年齢を下げれば自動的に若者の自立や政治参加が進むと考えるのは、「根拠がない」と斎藤氏は言う。
 選挙年齢を下げれば、次は成人年齢を18歳に引き下げようという議論になることは必至だ。それは現行制度の下では子供として保護の対象となっている18歳、19歳の若者を大人として扱い、年金や社会保障費や刑事罰で大人と同等の義務や責任を負わせることを意味する。

 そもそも今回の18歳への選挙年齢の引き下げは、憲法改正のための国民投票の対象年齢を18歳としたことに合わせるためだった。国民投票年齢を18歳とした背景には、憲法改正を目指す自民党が、若年層が憲法改正に前向きであることを意識したためであると考えられている。

 選挙年齢がそのような「不純な動機」で引き下げられる一方で、若者の引きこもりは深刻の度合いを増していると斎藤氏は言う。多くの若者が、携帯電話やSNSによって繋がる友人関係から外れまいと、必死にキャラを演じながら、過剰なプレッシャーに耐えている。そのプレッシャーに耐えられなかったり、そこから外れてしまった若者の多くが、不登校や引きこもりなどの手段によって自己防衛に走る。その数は正確にはわからないが、人口の5%~10%に及ぶとの推計もあると、斎藤氏は言う。

 このような引きこもりの問題も解決できない日本が、選挙年齢を引き下げて18歳の若者を成人として扱い、一人前の責任を求めるようになれば、今以上に多くの若者が社会から隔絶されてしまう恐れがある。今日本が優先的に考えなければならないことは、若者の責任を増やすことではなく、若者の自立を支援する体制を強化することではないかと斎藤氏は語る。

 選挙年齢の引き下げは妥当なのか。18歳に選挙権を与え、これを大人として扱うだけの体制が日本の社会にできているのか。成人年齢の引き下げ論議や、社会的弱者としての若者対策の現状などを参照しながら、ゲストの斎藤環氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

(貼り付け終わり)