恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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茶倉譲二 続編第五話~その1

2015-10-06 06:20:05 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
 

☆☆☆☆☆

茶倉譲二 続編第五話~その1

〈譲二〉

百花ちゃんとのデートで来た井の頭公園。

そこで、偶然俺の祖父の茶倉緑太郎に出会った。

松葉杖を付いているが、顔色は良く取り立てて身体のどこかが悪いという感じではない。


俺はじいさんに側のベンチに座るように促した。


譲二「じいさん、なんでここに…入院してたんじゃなかったの?」

緑太郎「確かに入院はしておるが…階段で転んで足を折っただけだぞ」

譲二「はぁ!?」

じいさんが倒れたというから、何か病気にでもかかったのかと思っていたが…。

じいさんはさっきも転んで百花ちゃんに助けられたという。


俺は改めて2人を紹介した。


緑太郎「譲二がうちに帰って来たくないと言った時に、大事なお嬢さんを預かっているから、帰れないんだと言っておったが…こんなに可愛らしい女の子だとは」

譲二「お、おい、じいさん!」

緑太郎「まったく、おまえには若すぎるだろう」


じいさんは茶目っ気たっぷりに言う。


緑太郎「わしの相手なんかどうじゃ?」

百花「え!?」

百花ちゃんの戸惑った顔を見て、じいさんは嬉しそうに笑った。


(やれやれ…。ったく…歳を考えてくれよ)


譲二「病院抜け出してきて何やってんだよ」


渋い顔で俺が言っても、じいさんは涼しい顔をしている。


緑太郎「リハビリを兼ねて散歩してたんだ。ちゃんと病院の許可は取ってある」

緑太郎「それに、もうすぐ滝沢が迎えに…」

滝沢「会長!」

緑太郎「ほらな」


俺は滝沢に文句を言った。


譲二「滝沢、じいさんを一人にするな」


ちゃんと監視してないとまた大怪我するぞ。

滝沢「譲二様? どうしてここに…」


緑太郎「偶然会ったんだ。転んだところをそちらのお嬢さんに助けてもらった」

滝沢「お怪我はありませんか?」

緑太郎「ああ。お嬢さんのおかげでな」

滝沢「佐々木様、ありがとうございました」

百花「いえ…怪我がひどくならなくてよかったです」

滝沢「会長、そろそろ病院へお戻りください」

緑太郎「そうか…久しぶりに譲二に会えたのにな」


あからさまにがっかりした様子のじいさんが不憫で、俺は声をかけた。


譲二「そのうち会いに行くから。それより、無理するなよ」

緑太郎「ああ…」


帰り際にじいさんは言った。

緑太郎「紅一が色々言っているようだが、お前が決めたことになら反対せん。お前の好きなようにしろ」

譲二「じいさん…」

緑太郎「百花さん、譲二をよろしく頼みます」

百花「は、はい」


滝沢に付き添われてじいさんは去って行った。

こんなところでじいさんに会うとは驚いたけど…。

そっか…じいさんが入院した原因は骨折だったんだ…。

すぐにでも見舞いに行きたかったけど、兄貴は『家に戻ってこないヤツにそんな権利はない』と、病院も容体も教えてくれなかった。


百花「足は大変だけど、元気そうでしたね」

譲二「うん…」


じいさんは滝沢に車に乗せられて、走り去った。


譲二「心配したほどではなかったけど…でも、実際に会ってみると」

譲二「俺が想像してたよりも元気なかったな」

百花「そうなんですか?」

譲二「じいさん、昔はもっと厳しかったんだ」


『男は大きな志を持て!』なんて言って、よく叱られたな…。

俺が子供の頃のじいさんは、いつも厳しい顔をして、滅多に笑い顔なんか見たことない。

譲二「みんなは、俺と兄貴に期待してるからだって言ってたけど」

譲二「いつからあんな風に笑うようになったんだか…」


俺が知っているじいさんのイメージとは程遠い、柔らかな笑顔を百花ちゃんには見せていた。

まるで、それはじいさんの老いを表しているようで、俺を不安に駆り立てた。


その2へつづく