ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

市川監督の思いで

2008年02月17日 | Weblog
  ☆ 映画火の鳥で
 先日数々の名作を残して、名監督の市川さんが亡くなったが、わたしは
市川監督にには忘れられない思い出がある。あれは多分昭和53,4年頃
かしれないが、ある夜東宝映画の助監督が、梅ヶ丘の駅前に在ったわたし
の「梅ヶ丘ヨーガ教室」を訪ねてきた。それは高峰三枝子さん主演、手塚
治虫原作のアニメ「火の鳥」の中で主演の「女王卑弥呼」役を演じる高峰
さんに、現在大ブームのヨーガを取り入れたいので、ぜひ指導して欲しい
と言う依頼だった。監督は市川さんだそうだが、その頃市川さんは大変気
難しい映画監督として知られていた。
 一瞬迷ったが、映画の撮影なんて見たこともないし、何だか面白そうだ。
それにわたしは高峰三枝子さんの大ファンだったので、お引き受けすること
にした。生まれて初めての撮影所は、大変エキサイティングだったし、直接
大スターの高峰三枝子さんにご指導したのは、とても楽しかった。
 多分わたしがダンス教師でもあったので、ヨーガそのものでなく、多少
ダンスの要素を取り入れたいと、わたしに白羽の矢が立ったのだと思った。
 高峰さんはとても気さくな方で、体がとても柔らかいのには驚いたが、一通り
ヨーガについてご説明したり、ポーズもいくつか説明し、卑弥呼役の高峰さん
が美しく見えるように、工夫したものを実際にわたしがやって、ご指導した。
 そして撮影当日のリハーサルには、高峰さんは、両足を真横に開き、上体を
後ろに反らせながら、素早く回転し、そのまま前に倒すポーズにしたいと、打ち
合わせとは違うので、わたしは当惑した。

 第一そんなポーズはないし、戸惑っているたら、市川監督がわたしに近づいてきて、「先生これは映画なので、できるだけアクションが大きい方が良いんです。それにその頃はヨーガなんてなかったし・・・・あまり気にせず指導してください」と、やさしくおっしゃった。わたしはもの凄く気むずかしい方だと思って
緊張していたのが、そう話かけて下さったので、肩の力が抜け大変楽になったのが、あの場の情景とともに、今でもありありと、まざまざと覚えている。
 反りながら体を回すところは、体の柔らかい高峰さんでもさすが難しく、わたし
のアシスタントに、高峰さんが使用したカツラと、同じものをつけて撮影した。
 アニメが映画化される話題性のためか、その日は報道人が大変多かったが、高峰さんの体の柔らかさには、みんな驚いたようだ。
 次の日には新聞や雑誌には、高峰さんのそのポーズが沢山掲載されていた。
わたしは高峰さんの美しさと、市川監督の思いがけない優しさをいまでも、今でも
ハッキリ覚えている。それにしても・・・・・・
 あの頃はわたしは若かったし、テレビの番組でも出演者に何度か、ヨーガ
を指導した。わたしの生徒さんだった女優の加藤治子さんも、NHKテレビ
ドラマ「蛇蝎のごとく」で、ヨーガのポーズをやったが、そのときにも何度か
通って、指導したのも懐かしい思い出だ。
 加藤治子さんはまだ現役で活躍されているが、昔を思い出しながら、いつまでも
お元気でいられるようにと思った。
                              能里子

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