フォアグラ日記

大阪屋（洋食/浅草）
浅草の味な洋食屋を求めて同店へ。浅草寺裏ながら通りに面した立地であまり迷わずに到着するも、てっきり有名店であることから、それなりの待ち、最悪は行列を覚悟して出かけたものの、全く想像を裏切ってガラガラ。やや夕食には早い時間だったか？とは思いながらも、18時30分であれば、通常は充分に混雑しており、非常に嫌な予感はするものの、奥の席に案内されて着席してさっそくオーダー。シチューは必須ながらも、他もオーダーしようと、洋食屋での第二優先順位たるカニクリームコロッケを発見してオーダーを試みるが、「今日はできない」とのこと。それでは、とアドリブを効かせてもう一品違うのをオーダーしようとするが、それも「できない」とのことで、結局はシチューとサラダのみとする。店内ではBGMでベートーベンの四番がかかっており、そのセンスに脱帽するが、その後、バイオリンソナタ「クロイツェル」、同「春」と短時間の内に内容がめまぐるしく変化し、なんだこの音楽は....と思うに、これはベートーベンのベスト曲集(しかも全て1楽章のみ)という内容で、さらにその”底の浅さ”が見えたようで、これまた不安にも。やや待って出て来たシチューはやや酸味があるものの、なかなかよろしく、これまでの外面的諸評価を覆す内容。付け合わせの野菜がなかなか良く、途中の息継ぎにはピッタリ。この店は永井荷風「断腸亭日記」に記載があり、奇人、さらには当方の会社の大先輩(とはいっても親のコネで入行してその後すぐに辞めた...)の舌にもそれなりの評価を受けていたようだが、名前だけで生き残っている店も多いなか、とりあえずは合格レベルをまだキープしているか。