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欧州9カ国の国債格付け引き下げ

2012-01-15 20:28:19 | 日記
14日の日経に、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が、フランスなど9カ国の国債格付けを1~2段階引き下げたとの記事が載っていました。特にフランスとオーストリアは最上級格付けのAAAから転落です。昨年2月に日本国債、8月に米国債、そして今回、欧州各国の格付け引き下げとなりました。各国財政の抱える不安要素に対する評価ではありますが、これで主要先進国の中で財政状態が安定と評価されているのは、ドイツとイギリスくらいしかありません。先週のスペイン、イタリアでの国債募集が順調だっただけに、この格下げは、マーケットに大きなインパクトを与えそうです。募集が順調でも欧州内部の根本的な問題は根強く残っているということです。

もともと、経済基盤の異なるEU各国がひとつの通貨ユーロを共有する経済共同体。ギリシャやスペインなど南欧諸国は、財政状態が良くなかったのですが、EU参加によって、(他の優良加盟国のおかげで)国債利回りが安定、借金ができるようになったのです。身の丈を超える借金をしたため、そのツケが回ってきたと言えばそれまでかもしれません。もともとギリシャは過去にも国債のデフォルトを起こしたことがあります。EU加盟前であれば、自国に通貨発行権があったのでインフレに注意は必要ですが、自分たちで処理できました。今は通貨ユーロの発行権がないため、自分たちではどうすることもできないのです。

格付けが下げられると、一般的には、国債価格は下落します。また、銀行保有債券の条件として最低格付けが設定されている場合、その条件を下回る国の国債は放出しなければなりません。イタリアは今回の引き下げでBBB+まで引き下げられました。さらなる格下げは、「投機的水準」へより近づくことになります。すでに、投資信託など欧州債券に投資するものの中には、イタリア国債を売却したものも多数あります。

S&Pなど格付け会社は、財政状態が悪化している国の、ユーロ離脱を促しているのだろうか?

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