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日本のETF市場はなぜ伸びないのか

2011-03-09 22:07:26 | 日記
先日の新聞に東証上場のETFが100本を超えたという記事が載っていました。しかし、市場での取引高は、まだまだ少なく、メジャーな投資商品まで育っていない感があります。

一方米国では、ETFが取引高の上位を占めることも日常茶飯事で、いまや投資対象としての存在感が増してきています。全世界のETF残高は約100兆円で、そのうち80兆円は米国で取引きされています。残りはほとんどヨーロッパで、日本は2兆5000億円程度です。

ETFは、投資信託の一種ですが、ETF証券として取引所に上場されているため、リアルタイムで取引きできます。また、通常のインデックスファンドと比べて、販売会社に支払う信託報酬がありませんので、低コストの商品です。商品が指数に連動しているため、構成が分かりやすいのも特徴の一つです。

では、日本で成長しない理由はどこにあるのでしょうか。ひとつは、認知度が低いこと、そして、利用方法が分かりづらい点にあると思います。取引所に上場されているとは言え、「ETFってなに?」という方多いと思います。個別株取引きや指数先物、オプション取引などのデリバティブは、イメージがつかみやすいのですが、ETFは投資信託という側面を持ちながら上場しているため解り辛いのかもしれません。インデックスファンドとの違いはどこに?

せっかく100本も設定されているのに、利用されないのは勿体無いですね。

まずは、運用会社や取引所がもっと投資家向けに商品説明を行う必要があると思います。機関投資家でさえ、利用を悩んでいるようです。

また、情報提供も拡充も必要です。4月11日から東証はインディカティブNAV(アイナブ、1口あたり推定純資産額)のサービスを開始します。ETFの投資信託としての基準価額は1日1回、場が引けた後に運用会社が発表しますが、場中には純資産関連のリアルタイム情報はありません。この情報提供により、市場での価格と本来の資産価格との差がわかりますので、割安・割高の判断(裁定判断)がリアルタイムで行えるようになります。当面は、日本株の指数に連動するETFのみですが、将来的にはすべてのETFで情報を開示してもらえれば、利用する投資家も増えるのではないかと思います。

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