打ち放しコンクリート建築のリフォーム工事(キクスイSA/FG工法)+α

打ち放しコンクリート建築のエイジングケア&アンチエイジング工事!!

打ち放しコンクリート建築における表面保護処理方法の変遷について~

2020-09-25 15:06:43 | 打ち放しコンクリート建築の保護処理方法の変遷

 

打ち放コンクリート建築は、名称のとおり一回限りの仕上げを伴った建築である。やり直しがきかない工事で型枠に囲まれ内部の状況は見ることができず、目隠しで物づくりをしているのと同じである。型枠を外してはじめて出来・不出来が確認され、巣穴やコールドジョイントが発生していれば、その規模によっては解体して新規に打ち直しを要求されることすらあるといいます。また打ち放しの表面は非常にデリケートで、セメントや骨材も産出地域で変わるため、その都度打ちあがったコンクリートは色合いが異なる。しかも型枠に使用される離型剤によってもその仕上がり面は変化する。その他、点在する気泡やアバタは打ち放しコンクリートの耐久性にかかわってくるだけでなく、美観上許せる範囲にあるか否かの判断を要するものである。

<保護処理仕上げ材料の変遷及び工法>

1952年~  シリコン撥水剤(有機溶剤にシリコン樹脂を溶解したもの)数年またずして撥水効果が薄れる。早いもので1年(他に良い材料が無かったのでシリコンに頼っていた。)

1965年~  モータリゼーション、大気汚染が表面化(酸性雨など)、建物の汚染と劣化が次第にすすみ表面保護の関心が高まってくる。

1965年~     シリコン撥水剤に替わって耐久性と高い防水性を持ち合わせた造膜型防水剤として溶剤系アクリル樹脂クリヤーを塗布することによって打ち放しコンクリート表面が濡れ色の仕上りとなり、しかも打ち放しコンクリート表面の浸透性のバラツキからムラが発生し欠損箇所の補修モルタルはその傷口を改めて誇張するかのような仕上げとなってしまいました。溶剤系アクリル樹脂クリヤーに着色剤を添加しカラークリヤーとして若干でも濡れ色・ムラを隠蔽する方法を試みたが効果はあがらず、意匠性を損なうことのないシリコン撥水剤は耐久性・耐黄変性に劣り、耐久性のある溶剤系アクリル樹脂クリヤーは意匠性が劣るといった状況結果をまねくことになってしまいしました。

溶剤系アクリル樹脂クリヤーから水性アクリルエマルジョンクリヤーの登場(打ち放しコンクリートの素材イメージを損なうことのない防水剤に一歩近づいた物もありました。)水性アクリルエマルジョンクリヤーを打ち放しコンクリート仕上げの現場で施工後、降雨時に打ち放しコンクリート表面全域に点在しているピンホールの廻りは雨水の浸透を示す黒色の輪が歴然とし、ピンホールが集中して存在する部分は一つの塊となって水の浸透をものがたっていた。今までの濡れ色・ムラといった問題は解決されていたが、ピンホールへの雨水の浸透には無抵抗であった。造膜型の防水剤に共通した欠点であり、重ね塗りして解決しそうであるが無残な結果となってしまうのである。塗装感覚で考えれば、ピンホールをパテ埋めし防水剤で処理すれば良いのだが打ち放しコンクリートの場合、ピンホールも意匠性を支える大きな役目をになっています。ピンホールの上に重ね塗りして完全な塗膜をほどこしたとしても、ピンホール内部に存在する空気が日射による温度上昇によって膨張し、その圧力で塗膜が破れ、雨水が浸透していくことになります。この繰り返し作用とコンクリート毛細管への雨水浸透量が増え塗膜型防水剤の性能への信頼を損なう結果となってしまいました。

1985年~ 溶剤型超耐候性フッ素樹脂クリヤー登場したが、高価なために価格面での問題があり、超耐候性+価格面での魅力を全面に溶剤型アクリルシリコン樹脂クリヤーが登場するが、各樹脂溶剤系クリヤー仕上げと同様に濡れ色と塗ムラ(コンクリート生地の吸込みムラ)の発生によるクレームを招く結果となってしまいました。

打ち放しコンクリート仕上げはその素材の風合いを損なわない仕上げが基本である以上、各種の超耐候性クリヤーであっても、こと打ち放しコンクリート仕上げに関しては用途が限定される。

1991年~ シラン系オリゴマーを主成分した浸透性吸水防止剤(濡れ色が防止できるシランカップリング剤)を主成分とした撥水剤の登場で、含浸塗布した後、各種溶剤型の超耐候性クリヤーとの組み合わせた打ち放しコンクリートの長期保護システム仕上げが可能となりました。

1994年~環境対応型の完全水系工法(SA工法)の提供が可能となりました。水系シラン系吸水防止剤(撥水剤)と水系アクリルシリコン樹脂クリヤー・水系フッ素樹脂クリヤーの登場で複合工法による完全水系打ち放しコンクリート保護超耐候仕上げで、打ち放しコンクリートのもつ風合いを損なうことなく、打ち放しコンクリート構造物を酸性雨・中性化などの劣化原因から保護ができるようになり現在にいたります。

但し、一般建築塗装は全く異なるので、施工業者のアート技術・施工ノウハウで全く違ったイメージに仕上がってしまいます。 (施工前のテスト施工は必須科目になります。ご注意を!!)

 

                                                   

          

                                                                            

 

 

 

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