黄金色の日々(書庫)

海外ミドルエイジ俳優に萌えたり愛でたりするブログ

GQ Italia 2019年2月号 インタビュー

2019-04-09 19:29:15 | ヴィゴ




ヴィゴ・モーテンセン, 路上での出会い

詩人、書き手(多くの手紙)、監督であるヴィゴ・モーテンセンは、オスカーで三つの像を獲得した映画『グリーンブック』のツアーに参加している。

「僕は手紙やはがきを沢山書くんだ。受け取るのも大好きだ。郵便局が以前より効率的じゃないのはおかしなことで、ヨーロッパではアメリカと同じく出資者がこの分野に投資するのを望んでいない。でも僕はたびたび郵便受けの前にいて、市場に糧を与えているよ」
上着にグレーのポロシャツ、青のパンツ、手にはカメラ、ヴィゴ・モーテンセンはいつでも今まで聞いたことのない話で、あなたを驚かせる。
「若い頃、僕は社交的なタイプではなく、好きな人たちも信用してない人たちも避けるようにしていた。けれど異国で外に出られなかった状況で、自分を見つけ出し、付き合ったことのない人々と時を過ごした。このことが僕を変えた。彼らを理解し、彼らの言葉を把握し、僕とは異なる彼らの背景を知らなければならなかった。それで僕はさらに好奇心豊かになった。このことでは母が僕を励ましてくれたんだ」
アメリカ人のグレイス・ギャンベルは、ノルウェーのオスロでデンマーク人のヴィゴ・ピーター・モーテンセン・シニアと出会い、その後オランダで結婚した。彼らの長男は海上を飛行中に脚本を書き、郵便受けを一杯にし、7つの言語を話して、地質学者に就いた二人の弟がいる。銀行で働く代わりに。その理由を語れば、ヴェネズエラ、デンマークと住み、アルゼンチンではわずか7歳で山の中の孤立した寄宿学校に入れられていたからだ。
「このアングロサクソンの教育法は誰でも合うわけじゃない。僕は友達を作って生き延びた。でも他の子供たちは精神的に苦しんだんだ」

彼にとって、キャリアの出だしも容易ではなかった。ジョナサン・デミとウッディ・アレンは、彼が出演した唯一のシーンをカットし、オリバー・ストーンは『プラトーン』で、エリアス軍曹役に最終的にはウィレム・ディフォーを選んだ。それからショーン・ペンが、咥え煙草で上半身裸の一匹狼に彼を望んだ。1991年以降、もはや彼は止まることを知らない。最近はカナダのオンタリオで、彼の初めての映画を撮るために撮影カメラの後ろにいる。『Falling』は今秋に公開予定の、彼の家族の出来事を元に書かれた物語である。
現在は、ピーター・ファレリーの映画『グリーンブック』の、チューリッヒ映画祭でのヨーロッパプレビューで映画館にいる。3つのオスカー(作品賞、助演男優賞、脚本賞)を受賞した。黒人ジャズミュージシャンのドン・シャーリーから、アメリカ南部への旅に用心棒として雇われたイタリア系アメリカ人のトニー・リップ・ヴァレロンガ(『ザ・ソプラノズ』でカーマイン・ルパータッチが演じたボスの役で有名になった俳優)の実話である。
我々は60年代におもむくが、多くの点でこの人種差別的な地域はトランプのアメリカに似ている。にもかかわらず、二人の男の違いは二人の間に熱い友情を生むのだ。

『グリーンブック』は、二人の男の必要に迫られた共同生活がメインになっています。彼らは常に一緒の車内で、バックミラーを通して互いを見ているわけですね

映画は考えさせ、できれば笑わせて物語を語るが、すべてを話すわけじゃない。こういう歴史的瞬間において、自分で考え、今日自分たちが生きているこの瞬間に繋げるのは観客で、誰もそのやり方を語ったりはしない。アーティストや映画が自身を押し付けて、無自覚に「私は君のことをよく知っていますよ」と暗示するのは、僕は大嫌いだ。質の良さで人々を惹きつけ、深く考える自由を与えるほうが、はるかに興味深い。

あなたは『危険なメソッド』および『涙するまで、生きる』の際、あなたの中の恐れを爆発させて見せた時点で、より低質な映画になると明言してましたね

僕は演じた役のようなイタリア系アメリカ人ではない。たとえ多くのアメリカ人、いくらかのイタリア系アメリカ人よりも彼らの言葉を理解してるとしてもだ。でも最終的には、脚本のためにいくつかのフレーズの翻訳を手助けすることができた。

あなたは少々、仕事においてマニアックでは…

僕はピーターに、物語は美しいし、キャラクターについても我々が知ってる優れたイタリア系アメリカ人の俳優の何人か相応だと言ったんだ。要するに僕よりも上手く解釈したはずの俳優がいたんだ。

それで監督は?

デイヴィッド・クローネンバーグの『イースタン・プロミス』のロシアの犯罪者として、僕が彼に本物だと思わせたんだから、イタリア系アメリカ人のタクシー運転手の役も上手くやれると、彼は言ったんだ。ニュージャージー州にあるトニー・リップのレストランで、トニーの本物の家族から昼食を招待されたことが分岐点だった。長時間テーブルについていた間、僕は彼らを観察し、この時すごい仕事になると理解した。でも上手くやれたんだ。やっと模倣するものが見つかった。

太鼓腹にランニングシャツ、鶏モモをむさぼって車の窓から骨を投げ捨てる。あなたはセックスシンボルの役を解放されたいのですか?

そんなことを考えたこともないよ。僕の目的は、登場人物が魅力的だと信じさせることじゃない、本物だと感じさせることだよ…

初監督作『Falling』はどのようにして生まれましたか? 

監督するつもりは全くなかった。両親が病気になり、二年の間に次々と亡くなった。飛行機にいた時だ。母の葬式から帰る途中、彼女について思い出したことを書き始めたんだ。イメージと文章に注目しようとした。訓練するように話を書いていた時、実際には起こらなかったことまで現れてきたんだ。主人公は息子が一人いる80歳の父親で、さらに同性愛者になった。二人とも過ぎたことを覚えているが、事実が一致しない。父親は老人性痴呆症に苦しみ始め、沢山のフラッシュバックが起こるんだ。僕は本物の記憶を他の形に変えて、さらに書いた。この家族は僕の家族とはかけ離れているよ。

適用したところは?

私の母から始めて、私の父が母と僕たちに及ぼした影響を反映した。両親は僕が11歳の時に別居した。僕たち兄弟は母と共に残ったが、不在の中で父の存在感は強かったんだ。

映画内で、あなたの実のお父さんを示す何かがありますか?

僕の父はデンマークの農場で成長し、実業家だった。映画で語られる家族はずっとアメリカ的で、父親は農夫で二人の息子がいる。僕たちは三兄弟だ。強情で、尊大で、正当化するのも無駄なのを除いては、全体的には彼は全く別のキャラクターだ。

あなたはどんな息子でした?

細かな面で、指図から逃げ出す息子だった。僕には別のやり方が必要だった。馬たちにするようにね。もし馬たちが君に近づいて欲しいなら、君は両目で見る必要はないんだ。ただ彼らが興味をもうような何かをすれば、君のところに来る。馬鹿げてるようだが、上手くいくよ。

「子供の頃から、毎朝僕は沢山の心配事を抱えて起きた」というのは、あなたの言葉ですか?

本当のところ、心配ではない。でもイライラしてた。死は私が不公平だと感じることだ。

それにどうやって気づいたか覚えていますか?

アルゼンチンで飼っていた馬たちのように、死にゆく私の犬を見守ったときだ。動物が死ぬのを見るとき、君は人間にも同じことが起きると理解する。

この現実を排除したり、仕事に重心を置いたり、化学薬品を乱用することに非常に打ち込んでいる人たちがいます
 
僕は死を避けず、いつも考えている。フロイトは、『Si vis vitam para mortem』と言った。もし生きたいのであれば、死を覚悟しなければならない、つまりは死を無視するなということだ。僕もまだ死を愛していないが、できることは何もないのでそれを受け入れる方がいい。でないと事態は悪化する。

絵を描くこと、音楽をやること、執筆。これらもまた逃避ですか?

それらは逃避にもなり得るし、または現実を認識する助けにもなる。たとえ遅かれ早かれ死ぬのだとしても、僕は今の瞬間起きていることを再確立するんだ。時間は我々の興味を変え、他者とどう関わるかへの理解を示す。君が書く手紙からもわかるよ。

最近送ったものは?

ついこの間、ヴァージニアからとワシントンⅮ.Ⅽ.から。いくつか書いてまとめて送るんだ。封筒が旅をし、人の手から人の手へ渡り、世界にいる何人かの重要な人のもとに到着するのを想像するのは素晴らしい。僕にとってはインターネットよりも大きな奇跡だ。ちょうどスペイン語でこのことについての長い詩を書き終えたばかりなんだ。書けないものもある。

何が語られているのですか?

タイトルには二重の意味があって、書けないこと、書くべきではないことを示している。ラジオ番組を聞いていた時にインスピレーションがやってきた、300年前の手紙が発見されたロンドンのある場所について語っていて、手紙は戦争中に捕虜になった人々が、世界の様々な国からイギリスに向けて書いたもので、しかし渡すべき相手にたどり着かなかった。素晴らしいもので、痛ましい。『なぜ返事をくれないんだ?』という言葉で満ちている。

あなたの人生において、友人はどんな位置にありますか?

僕は一人でいることを学びながら、多くの時間を自分自身の問題に費やしてきた。今、友人たちはより重要だと思っている。時折誰かが病気になったり死んだりすると、今日共に過ごした時間への評価が以前よりもはっきりとするんだ。年を取るにつれ閉鎖的になる人がいるが、僕には反対のことが起きているんだ。



毎度の言い訳ですが、だいたいで受け取ってください。
監督作『Falling」の主役から自分の父親の話になり、その流れで息子の話になっているので、はじめはヘンリー君のことかと思って訳して、あとでヴィゴ自身がどんな息子だったかという意味だとわかりました…。ここらへんが語学力が低い身にはわかりにくい。馬の例えをするところで、そりゃヴィゴ自身だよな!とわかりました(笑)
ご自分のお父さんについて複雑な想いがあるのは、今も変わらないんですね。それでも介護しに行ってたんだよな。

「ザ・ソプラノズ」は見たことないんですが、トニー・リップというマフィアのボスが出てくるようです。実在のトニーとは別人で、名前を借りたらしい。

上のフォトが表紙のGQ誌を購入しましたが、ネットでも読めます。イタリアそういうところ、ゆるいです(笑)
GQ Italiaリンク

途中にあるフォト撮影の映像が、超弩級にカッコいいので、ぜひとも見てください。
トニー・リップのチャーミングさにやられた人も、同じ人とは思えぬはず(笑) そう、これがヴィゴ沼。
一番下には、フォト集へのリンクもあります。アルマーニ、グッチ、ルイ・ヴィトンのシャツやコート、レイバンのグラサンを着こなしたヴィゴが拝めます。映画ではマハーシャラのドグがスタイリッシュにキメてくれましたが、ヴィゴだってやればできるんですよ! たとえ普段は謎のノベルティの着古したTシャツだとしても(笑)

素敵お写真から一枚。


カッコ良すぎる…


改めて、ツィッターで記事を紹介して下さった方々、ありがとうございました<(_ _)>
それでは、これからもヴィゴをよろしくお願いいたします!(広報か)

2 コメント

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お久しぶりです (義父)
2019-04-09 21:49:58
山吹さん

コメントではお久しぶりです(グリーンブック祭りワッショイ!初日はご一緒できて超楽しかったです!)翻訳おつかれさまでした。「要するに僕よりも上手く解釈したはずの俳優がいたんだ。」かっ・・こいい・・。謙遜とかじゃなくて本当にそう思ってるんだなって、実際「上手く解釈したはずの俳優」も居たんだろうなと思って、なのでかなり思い切った(読んでるだけでびびりました・・)決断だったんだなあとため息がでて、、、「すべてを話すわけじゃない」「深く考える自由を与えるほうが」にはしびれてしまい。。「深く考える自由」だなんて・・私はじめて聞きました・・そんなこと言う人間みたことも聞いたこともないです・・自由に考えていいんだ・・いいんだあ・・ってワーーーッ!って(すみません)「登場人物が魅力的だと信じさせることじゃない、本物だと感じさせることだよ…」ワーーッッ 私は・・わたしは・・魅力的だと信じさせることだと思ってたので「本物だと感じさせることだよ」にワーーッッ 本物・・本物かあ・・そうだよなあ・・かっこいいなあ・・いちいち胸に刺さるのでお酒が進みました。

初監督作『Falling』「実際には起こらなかったことまで現れてきたんだ。」この一言にテンションがぐわーと上がりました。めちゃくちゃに観たいです!

ヴィゴさんのイタリア雑誌の写真も拝見しました!どちゃくそゃかっこよくて目が点(あの・・シャレにならないくらいかっこいいですね・・)一枚一枚映画のワンシーンのようで5枚目のアップの画像の表情がたまらなく渋かったです!一番上のジャケットを頭からかぶってるチャーミングな方と同一人物だとは・・ほんとすごい・・本当にすごい。
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ワ―ッ! かっこいいんだよ(笑) (山吹@ヴィゴオンリー)
2019-04-10 00:22:42
義父さん!(大声) コメントありがとう!! 医者とヴィゴにしか会ってなかった3月も過ぎ、達成感で一杯です! お互い痛え治療を萌えで乗り切ったね!(笑)
ヴィゴはいつも、自分で考え想像してほしいと言います。今回のインタ、結構答えをストレートに言わず象徴的なんだよね。ありきたりな説明を俳優が差し出すのではなく、自分で受け取ったものを大事にしてほしいんだと思う。おかげで訳はさらに困難でしたが(^^;

俳優の仕事は、魅せるのではなく物語をよく考えさせること。そのために実在するかのように演じる、それがヴィゴの演技の基本なんだね。おかげでいつも考えさせてもらってます(笑) 

フォトもビデオも素敵でしょ!! 渋みが増してさらに味が出てます。ヴィゴはいつでも「同一人物か?」と言わせる男よ(笑)
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