現在の教育問題の核心は、子どもが学校を通過することによってまともな社会人としての条件をうまく身につけられないところにあります。学校環境と成人後の社会環境との間に断絶があり、両者が連続的に結びついていません。社会的自立の困難を象徴するひきこもり、ニート、フリーターなどの若者問題も、ここに遠因があります。そこで、早い時期から教育をもっと社会に対して開かれたものとすることが筆者の理念です。これを実現するためには、視点を狭い意味での教育にだけ限定していたのでは足りません。教育、法、労働の三つの角度から、総合的かつ連動的に子どもにはたらきかける必要があります。
以下、紙数の都合で詳しく解説できませんが、この線に沿って筆者の構想の骨子を述べます。なぜこのようにするのがよいのか、詳細は、拙著『正しい大人化計画』(ちくま新書)を参照してください。
Ⅰ.教育 ―― それぞれの子どもの能力・適性を早く見きわめ、それに合った複線的で多様な教育システムの確立を目指す。具体的には次のような案が考えられる。
(1)四・四・四制の採用――現在の小五から中学生とし、すべて教科担任制とする。中学四年間は、将来の職業選択のための模索期間の意味を兼ねる。
(2)義務教育機能の限定――小中学校の公教育カリキュラムを主要教科に限定し、授業は午前中のみとする。午後の空いた時間に多様な民間教育機関に参入してもらう。民間教育による科目は選択性とする。すべての国民に必要な共通学力を八年間で効率的に教え込む。
(3)全国一斉の義務教育修了資格試験を実施する。不合格者は留年。
(4)高校は、普通高校を削減するとともに、語学、IT、医療福祉その他、新時代に合った実業高校を充実させる。エリート養成のための進学高校も一定割合で確保する。入試は各専門高校別に行う。教育困難校の苦悩は、これによってかなり軽減されるはず。
Ⅱ.法 ―― 新時代に見合った人為的な「通過儀礼」を設け、社会的成長への自覚を促す。
(1)中学・高校で「倫理」を必修科目とし、身近な生活レベルでの法感覚を養成する。
(2)義務教育終了時、および高校終了時に、「倫理」の修了試験を実施する。合格者には、国民としての権利の保障、義務の履行を明記したパスポートを交付する。
Ⅲ.労働 ―― 中学校段階から少しずつ社会の現場での勤労体験を味わわせ、年長者との多様な接触機会を確保するとともに、働くことの意義を実感させる。学校への囲い込みによる「居場所」の単一性から生じる、いじめなどの弊害を軽減させることもできる。
(1)勤労に対しては必ず報酬を支払う。また、親子による自由選択制とする。
(2)この勤労体験は、将来の進路選択の際、本人が履歴として利用できるものとする。
(3)「未成年者労働基準法」を制定し、企業はこれを厳密に遵守する。
以上の構想が一気に実現できるとは筆者自身も思っていません。特にⅠの(4)、Ⅲなどに関しては、親の強力な意識改革が必要となるでしょう。また、縦割り行政の弊を改め、文部科学省、経済産業省、厚生労働省の三省が緊密な協力体制を作ることが求められます。さらに、本当に効果のある教育改革を考えるなら、けっしてコストを惜しんではならないと思います
【「教育再生」で検索していたら見つけた文章です。
おお!とても共感できる!と思い、ブログに載せました。
四・四・四制の採用のところは、ん?と思いました。
私は年数を決めるより、本人が時期や期間を選択すれば
いいと思っているので。
でも細かいことは置いといて、本質的におっしゃりたい
ことはとても同意できます。
近いうちに『正しい大人化計画』読みますので、その
感想を載せたいと思います。】
以下、紙数の都合で詳しく解説できませんが、この線に沿って筆者の構想の骨子を述べます。なぜこのようにするのがよいのか、詳細は、拙著『正しい大人化計画』(ちくま新書)を参照してください。
Ⅰ.教育 ―― それぞれの子どもの能力・適性を早く見きわめ、それに合った複線的で多様な教育システムの確立を目指す。具体的には次のような案が考えられる。
(1)四・四・四制の採用――現在の小五から中学生とし、すべて教科担任制とする。中学四年間は、将来の職業選択のための模索期間の意味を兼ねる。
(2)義務教育機能の限定――小中学校の公教育カリキュラムを主要教科に限定し、授業は午前中のみとする。午後の空いた時間に多様な民間教育機関に参入してもらう。民間教育による科目は選択性とする。すべての国民に必要な共通学力を八年間で効率的に教え込む。
(3)全国一斉の義務教育修了資格試験を実施する。不合格者は留年。
(4)高校は、普通高校を削減するとともに、語学、IT、医療福祉その他、新時代に合った実業高校を充実させる。エリート養成のための進学高校も一定割合で確保する。入試は各専門高校別に行う。教育困難校の苦悩は、これによってかなり軽減されるはず。
Ⅱ.法 ―― 新時代に見合った人為的な「通過儀礼」を設け、社会的成長への自覚を促す。
(1)中学・高校で「倫理」を必修科目とし、身近な生活レベルでの法感覚を養成する。
(2)義務教育終了時、および高校終了時に、「倫理」の修了試験を実施する。合格者には、国民としての権利の保障、義務の履行を明記したパスポートを交付する。
Ⅲ.労働 ―― 中学校段階から少しずつ社会の現場での勤労体験を味わわせ、年長者との多様な接触機会を確保するとともに、働くことの意義を実感させる。学校への囲い込みによる「居場所」の単一性から生じる、いじめなどの弊害を軽減させることもできる。
(1)勤労に対しては必ず報酬を支払う。また、親子による自由選択制とする。
(2)この勤労体験は、将来の進路選択の際、本人が履歴として利用できるものとする。
(3)「未成年者労働基準法」を制定し、企業はこれを厳密に遵守する。
以上の構想が一気に実現できるとは筆者自身も思っていません。特にⅠの(4)、Ⅲなどに関しては、親の強力な意識改革が必要となるでしょう。また、縦割り行政の弊を改め、文部科学省、経済産業省、厚生労働省の三省が緊密な協力体制を作ることが求められます。さらに、本当に効果のある教育改革を考えるなら、けっしてコストを惜しんではならないと思います
【「教育再生」で検索していたら見つけた文章です。
おお!とても共感できる!と思い、ブログに載せました。
四・四・四制の採用のところは、ん?と思いました。
私は年数を決めるより、本人が時期や期間を選択すれば
いいと思っているので。
でも細かいことは置いといて、本質的におっしゃりたい
ことはとても同意できます。
近いうちに『正しい大人化計画』読みますので、その
感想を載せたいと思います。】
それぞれに必要な知識や技術を身につけることのできる教育を望みます。
「正しい大人化計画」の感想、楽しみにしています。
いま読んでる最中なので、
近いうちに感想書かせていただきます。