「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

川﨑の事件、不安な気持ちは、担任や養護、学校カウンセラーの先生、そして私達小児科医にご相談下さい。/病児保育鋭意実施中。

川崎市で起きた事件でショックを受けた小学生のみなさんへ。不安な気持ちは、担任の先生、養護の先生、学校カウンセラーの先生、そして私達小児科医にご相談下さい。

2019-05-31 19:19:58 | お役立ち情報、子どものお悩み解消法
 川崎市登戸で起きた事件でショックを受けている小学生、中学生の子もたくさんおられると思います。

 また、学校の先生、警察署のかた、PTAのかた、地域の大人の皆様が、いつもに増して、登下校の見守りを強化下さり、感謝申し上げます。

 以下、小林正幸さんという教育臨床心理学をご専門とする東京学芸大学教授の先生が、子ども向けにメッセージを書かれました。

 ショックを受けている子ども達に寄り添った内容ですので、ご本人の許可を得て、こちらでもご紹介させていただきます。

 子ども達の不安な気持ちは、ぜひ、お父さん、お母さん、担任の先生、養護の先生、スクールカウンセラーの先生、そして、私達かかりつけの小児科医、だれか大人にぜひ、ご相談してください。

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 不幸な事件が起きました(*参照)。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々に心より御見舞いを申し上げます。
 ある小学生新聞の記者さんから、 今回の事件でコメントを求められました。それは、 「子どもたちが心に傷を負っていると思います。子どもたちはどのように受け止めたらいいのか、今後どのように過ごしたらいいのか」というものでした。
 そのときに記者さんにお話したことと、その後考えたことを書き加えて記録として残しますね。記事にすべてのコメントが載るとはかぎりませんので。
 
1.不快な感情(恐れ、心配、悲しみ、怒り)を感じるのは当たり前です

 このような事件が起きれば、恐く感じたり、不安になったり、悲しくなったり、腹立たしくなったりします。それは当たり前です。子どももそうですが、大人たちも同じように感じています。
 不快な感情もそうですが、快適な感情も、すべて感情は、信頼できる誰かに気持ちを伝えたくて生まれてくるものです。誰かにその気持ちを伝え、共有しなさいというのが、感情が持っている働きです。その働きを抑えないようにしましょう。生かしましょう。
 
 
2.不快に感じていることを信頼できる大人に伝えましょう

 ですから、不快な感情を無理に押し込めたり、抑え込んだり、一人で考え続けたりしないでください。信頼できる大人、話を聞いてもらえる大人に、その気持ち、とくに感情を伝えるようにしましょう。その相手は、親御さんかも知れません。先生かも知れません。学校によっては、不快な感情を受け止めることのできる専門家のスクールカウンセラーがいるかも知れません。辛い気持ちを訴えたときに、それを受け止めてくれるだれかがいますか?
 そのだれかに、次のように感じることを伝えましょう。
 「心配になっちゃった」「恐くなった」「悲しい」「嫌だ」「悔しい」「イライラする」「ムカつく」「腹立つ」などなど

3.感情を伝える信頼できるだれか、話を聞いてもらえるだれかとは?

 そのだれかは、これまでの体験で、辛かったときに一緒にいてくれて、自分のことを考えてくれて、気持ちが穏やかになるまでの時間を過ごし、気分が落ち着くのを手伝ってくれただれかです。穏やかに安心した時間を過ごしてたことのあるだれかです。自分のことを心配してくれただれかです。
 …でも、もしも、そのようなだれかが見当たらないのだとしたら、そのように自分に接してくれそうなだれかです。そのだれかは、少なくとも、自分ほどには、気持ちが揺れていなくて、穏やかで、不快に感じている自分を責めそうではなく、不快に感じることは悪い事ではないと思っていそうなだれかです。もちろん、子どもよりも大人がよいでしょう。子ども同士だと、一緒に気持ちが揺れてしまい、落ち着けなくなってしまうこともありますので。


4.気持ち、とくに不快な感情を受け止めてくれるだれかと出会えたら

 不快な感情は、日が経つにつれて変わることがあります。最初は平気でもだんだん平気でなくなることや、急に不快に感じることや、不快に感じる感情の種類が変わることもあります。最初は恐かったのに、次に悲しくなって、怒りが出てくるのように変わるときがあります。
 不快に感じていることをお話しして、少しでも気持ちが楽になったら、そのことは伝えましょうね。喜んでもらえると思います。でも、その後でも、感じ方が変わり、また、辛く感じることがあったら、また、その人にお話を聞いてもらいましょう。


5.不快な気持ちは、身体に表れるときもあります

 不快な感情は、身体に出てくるときがあります。とくに心配が高まると、次のようなことが起きます。・・・たとえば、次のようなことです。
・身体の調子が悪くなる・・・頭痛、腹痛、熱が出る
・眠りが浅くなる   ・・・寝つけない、悪い夢を見る、夜中に目覚めてしまう
・トイレの問題    ・・・便秘や下痢

 このようなときは、学校なら養護教諭の先生(保健室の先生)に相談しましょう。身体症状がひどいときは、お医者さんにかかりましょう。そこで、気がかりなことがあれば、気がかりなこともお話しましょう。
 もしも、今回のことで、急にそのような感じになったら、身体の専門の方に身体のことをみてもらいます。そのときには、辛く感じることをお話ししましょう。

6.不快な気持ちを話しても、受け止めてもらえていないと感じて嫌な気分になったら、別のだれかに相談しましょう。

 残念なことに、気持ちが楽にならなかったら、他の人に相談しましょう。あきらめないで
 別のだれかに相談しましょう。

【気持ちを穏やかにしてもらえる大人は、次のことを知っている人です。】
・感情を感じることは悪いことではないこと、不快な感情を感じないようにしてはいけないこと
・どっしりと構えていて、相談を受ける大人自身の気持ちが安定していること
・そのままその感情を表情豊かに受け止めて、言葉にしてくれることができること
・感情には必ず次のような願いがあると知っていて、その願いを実感をもって言葉で表現してもらえること
 不安や恐怖・・・よりよく生きたい・安全に暮らしたい
 悲しみ・・・・・自分の辛さを受け止めてほしい、一緒に残念がってほしいこと
 怒り・・・・・・他人や自分や現状を変えたい
・答えが出なくても、一緒にその願いを果たせるようにどうすればよいのかを考えてくれること

【小学生に関わる大人に向けて】
 
今回のことは、問題の完全な予防策が簡単には組み立てにくいことかも知れません。それだけに、関わる大人は、上のような願いを実現できると言い切るのは難しいと考えてしまいがちです。でも、子どもに向けて努力表明は必要です。
 子どもたちが願うのは、身近な大人が、自分は精一杯、その子どもに関わる大人として「あなたを守る」「そのために知恵を惜しまない」「そうならないための社会を作っていきたい、子どものあなたと一緒に」というような決意表明だと思います。「警察や消防や保護者や学校や教育委員会の人たちも一生懸命にそれを考えている」ということを伝えることだと思います。

※川崎市登戸の事件とは
 令和元年5月28日午前7時45分ごろ、川崎市多摩区登戸(のぼりと)新町の路上でスクールバスを待っていた小学生らに男が近づき、刃物で次々と刺した。小学生16人と近くにいた成人2人の計18人が襲われ、小学6年生の女児と別の小学生の保護者とみられる30代男性の計2人が死亡。40代女性1人、小学生女児2人の計3人が重傷を負った。110番で駆けつけた神奈川県警の警察官が、刺したとみられる男を確保。男は自分の首を刺しており、搬送先の病院で死亡が確認された。現場の状況から通り魔事件の可能性があり、県警は殺人の疑いで捜査している。
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