黒坂黒太郎コカリナブログ

黒坂黒太郎のコカリナコンサート活動、東日本大震災被災地支援活動など

コカリナアメリカ公演日誌  その3 アメリカからのお便り

2017-12-08 10:43:05 | 日記
 前半は「チャルダッシュ」「ひばり」などのソロ、上級者、中級者のアンサンブルによる「G線上のアリア」や「ウィリアムテル序曲」、そしてアンサンブルをバックに矢口周美の歌「ユー・レイズ・ミー・アップ」。1部の最後は「一本の樹」で締めくくると、ひときわ高い「ブラボー!」が響いたのでした。後半はこのカーネギー公演のために取り組んだフォスターの「ケンタッキーの我が家」を低音のコカリナと女声コーラスのハーモニーでスタートしました。でも、実はフォスターをするにあたり、大きな問題に直面しました。フォスターは「アメリカ音楽の父」と言われ、日本人にも親しまれている作曲家なのですが、なにせ、150年前、まだ奴隷制度が存続していた頃の人です。今のアメリカ人では死語になっている差別用語などが沢山出てくる歌もあるのです。「故郷の人々」(スワニー川)」などもそのひとつ。フォスター自身は奴隷制度反対の立場を取っていたのですが、歌詞の中にはどうしてもそのような言葉が出てきます。ある程度練習をしてきたところで、アメリカ側から「この曲はやめるべき」と意見が出ました。アメリカの黒人差別事情に無知だったことを恥じ、アンサンブルのメンバーに謝りながら曲の変更を行いました。でもフォスターのすべてが駄目なわけではなく、今のアメリカで盛んに歌われている曲もあります。それらを選んでフォスターの世界をコカリナと歌で表現しました。フォスターの後はこれまた大合奏で「浜辺の歌」、東北の被災地のことを思いながら演奏しました。そして日本人学校の子ども達による「世界中の友達に平和を」を日本語で歌う。続けて280名による「歓びの歌」。全員が「奇跡の一本松」の布から作られた衣装を纏い演奏する姿は壮観です。その後和太鼓奏者黒坂周吾の妙技に始まる「賽馬」。フィナーレは「奇跡の一本松コカリナ」でアメージンググレイス。曲終了と共に、立ち上がる観客。日本ではほとんどない、スタンディングオベーション。その鳴り止まぬ拍手の中「ふるさと」。何の歌か分からないアメリカ人も回りの日本人が客席で一緒に歌っている姿に感動。そして「ふるさと」を二番で切り上げ、再びアメージンググレイスを会場と一緒にアカペラで。これはアメリカ人も日本人も皆知っている。日本人学校の子ども達もよく英語で練習してきました。コカリナの響きと人間の声だけでカーネギーホールの大天井に鳴り渡る響き。まさにアメージンググレイス(なんという素晴らしい響き)です。
 アンコールが終わっても立ち去らない人々。私達はステージから手を振って応えました。
コンサート終了後、夜は、もう一方のホテル「ル・パーカー・メディリアン」(火事にならなかった方)の最上階で打ち上げパーティー。ニューヨークのプロモター、トニーさんや、エレーンさんも参加してくださり、サポターの皆さんも含め170名で様々な思いを語り合ったのでした。窓の外にはセントラルパークの森の木々がたたずんで「ご苦労さん」と話しかけているようでした。
 昨年の秋、お話をいただき、迷いながら、また色々困難な事にぶつかりながら進めてきたカーネギーコンサートですが、元キングレコードの宣伝担当の方がニューヨーク日本人学校とつながっていたり、国立競技場のコカリナに取り組む四谷第六小学校の元校長先生が、かつてニューヨーク日本人学校の先生をされていたり、と不思議な出会いが沢山あり、多くの日米の皆さんに支えられ、大成功のウチに幕を下ろす事ができました。協力してくださったみなさん、応援してくださった皆さんにに心より感謝も申し上げます。
 帰国後、プロモーター、トニーさんの元で働いてくださった日本人スタッフの方から以下のようなお便りをメールをいただきました。
11月12日のコンサートを拝見し、とても感動したのでひとこと気持ちを伝えられたら、と思いメールを書いております。
とても素敵なコンサートをどうもありがとうございました。
コカリナの音色を初めて聞いたのですが、黒坂様の繊細でまさに鳥の鳴き声のような美しいパフォーマンスに酔いしれてしまいました。少人数のミュージシャンと静かな音楽、コカリナの演奏で始まり、どんどん人数が増え、最後にはステージいっぱいの大迫力の合奏で締めくくるという、想像もしていなかった展開でとても感動しました。特にお子様達がステージに登場し、ボリュームのあるコカリナの演奏と歌声を聞き、元気が出ました。 
ニューヨーク生活が長くなり、コカリナの美しい音色は日本での思い出や雰囲気を思い出させてくれました。特に”ふるさと”の演奏時にはでは涙が出てしまいました。
どうかこれからもコカリナの美しい音色を世界中に運び伝え続けてください。
また次回のコンサートを楽しみにしております。


「歓びの歌」270名の大合奏



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