こばさん

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富士登山記(まとめ)

2007-07-31 21:41:42 | 富士登山記



思えば父も若いころは山男でした。
子供のときに、どこぞの山に登った写真をたくさん見せられました。
そういう血筋だったんでしょうね。

今回の富士登山は、初挑戦とは思えないほど
順調に進み、成功に終わりました。

・ご来光を見る
・山頂まで登る
・愛しのあの人に手紙を出す

これが今回登山前にやりたいと思っていたことですが、
すべて実現することができました。
そして最大のテーマだった、

生きて帰る

これも無事に成し遂げることができました。

成功の要因を上げるとすれば、
まず第一は、五合目で十分に体を慣らすことができたことでしょう。
それは意図的にやったというよりは
雨がやむのを待っていた結果としてそうなったわけですが
このときの雨には感謝したいところです。

そしてもう一つ、マイペースで歩けたこと。
登りのときは八合目以上がきつかったし、
下りは砂走りがボロボロでしたが、
後ろからせっつかれることもなく
ゆっくりのんびり気楽に歩くことができました。
初めての富士登山としては完璧だったと思います。

天気がいい日には東京からも富士山が見えますが
これから富士山を見るたびに
ああオレはあのてっぺんに立ったんだなあ
としみじみ思うんでしょう。
富士山に登った人の特権ですね。

一番初めにも書きましたが、もともとこの富士登山は、
人の日本一を願う前に、まずは自分が日本一になってみよう
というところから始まったのですが
富士山に登って以来、ホークスって負けなしなんですよ。
登山開始の7月18日以来、現在7連勝中(31日現在)。
何か因果関係があるのでしょうか?

富士登山に関してこんな言葉があります。

「一度も登らぬバカ、二度登るバカ」

富士山は、一度も登らないのは日本人として失格だけど
一度登ればそれで十分な山、ということでしょうか。
今の僕は、ちょうどバカではないという、
日本人の中でも珍しい部類に入るわけですが、
それもいつまでのことになるのでしょう。

8月12日から17日まで休みなのですが
特に何も予定はないんですよ。
ね。
このころに富士山に行くと、
砂走りでヘッドスライディングをしている僕に会えるかもしれません。
よ。

最後に、
登山前に数々の富士登山サイトを見て参考にしたのですが
感謝の意味をこめて、特に利用させていただいたサイト様をご紹介します。

あっぱれ!富士登山
後悔しない富士登山
はじめての富士山
6才の富士登山
富士山に登りました

そして、お世話になりました胸突江戸屋さん、
そしてそして、富士山に登るぞ!のきっかけをくれた○○さん、
ありがとうございました。

山閉じまであと31日!!

ちなみに、明日から仕事で10日ほど、長野の山奥に行ってきます。



現在の富士山⇒⇒⇒

現在のランク⇒⇒⇒

富士登山記(その7)

2007-07-29 23:59:38 | 富士登山記



予想外に体力を使い、予定より遅れてお鉢巡り終了。
ここで一つ気になってたのが、バスの時間でした。
五合目から13時発の御殿場行きに乗る予定でいました。
下山にかかる時間は、早ければ2時間半。
ちょっと余裕を見て3時間。
現在の時刻は9時10分。
そろそろ出発しないと、ギリギリの時間です。
でもかなり休みたい・・・。

そんなこんなで9時半になりました。
20分休んだだけでしたが、体力は結構回復。
ちなみに13時のバスの次は15時。
何もないところで2時間過ごすのは大変なので、
13時目指して出発です。


下山道は登山道と別にあるのですが、



ここでいいんだよなと半分疑問を感じながら進んで行きました。
前にも人がいるし大丈夫だと思っていましたが、
角を曲がるとその人の姿はもうなく・・・。
おまけに前からブルトーザーが!



おいおい、この道で本当に合ってるの?
ブルトーザーの幅は道幅と同じくらい。
ちょっとよけるなんてことができません。
なので崖の方にあがりました。
すれ違うときにブルの運ちゃんは
「どうも」って手を上げてくれました。
やっぱりここで良さそうです。
(ちなみに、山小屋への物資の運搬はブルトーザーでやります)


そしてようやく後ろからも人が来ました。
その方はあっさりと僕を抜き去り、



どんどん進んで行きます。
もう慣れている方なんでしょうね。
でも道の端を歩いています。
踏み外したら真っ逆さまに落ちちゃいますよ。
こんなところですから。



足を滑らせたら、どこまで転げ落ちるんでしょう?


道は砂地で結構滑りやすいです。
途中で足をくじいたらしいおじいさんにも会いました。
まだまだ気を抜くことができません。


20分ほどすると、山小屋が見えてきました。



一番手前が昨日泊まった胸突江戸屋です。
今日は天気がいいので、屋根の上で布団を干しています。

そこにたどり着く前のところに残雪が。



まだこんなに積もっています。
もう雪はやだ。


江戸屋に一度寄って、預けていた荷物を受け取ります。
ちょっと休ませてもらって、お礼を言って、出発。
・・・の前に、トイレ。
今日は宿泊者ではないので200円払いました。
(宿泊者は100円)
そして10時10分出発。


しばらくはとても天気のいい中を歩いていたのですが、
次第に霧が出てきました。



と、このときは思っていたのですが、
よくよく考えれば、そう、
ここは雲の中なんです。
雲の中を散歩。
ああ、それならもっと感慨深く歩けば良かったです。
砂糖をかけて食べたかった。


順調に歩いて、予定通りに七合目の大陽館に。
昨日は見られませんでしたが、ここでは犬が飼ってあります。



いぬ年生まれですが、犬は嫌いです。


さあ、この大陽館からいよいよ砂走りです。
初めてのスパッツをぎこちなくつけました。
そして、いざ対面。



ほぼ一直線にあります。
足を踏み入れてみると・・・ズボッ。
ここまでの下山道も砂地で足が埋まりやすかったのですが、
ここはそれ以上。
一歩目の足が埋まり込んでしまう前に、
次の一歩を踏み出さないといけません。

すると僕の後ろにいた人が、軽やかに走って行きました。
すごく上手。もう何度も挑戦しているんでしょう。
そこで僕も挑戦!よーい、ドン!!
・・・とスタートしましたが、前方に大きな石ころ(いや、小さな岩)を発見。
ブレーキをかけますがうまく止まれず、仰向けにバタッ!!
派手に転びました。
ここからが、悲劇の始まりでした。

いざ立ち上がろうとしますが、
足が勝手に埋まっていって、足場を固定できません。
そのまま前のめりになって、今度はうつ伏せに、ドテッ!!
下手くそなヘッドスライディングでした。
でも今思えば、このままヘッドスライディングで下っていけば
非常に楽だったのではないかと思います。

何とか立ち上がって、今度はほとんどの人がしているように
サッザッと足を砂に埋もらせながら、
ゆっくりゆっくり進んで行こうとしました。
ですがこれをやっていると、つま先に負担がかかります。
前にも書きましたが、ちょっと外反母趾気味でハンマートウ。
なのでしばらくすると痛くて痛くてたまらなくなりました。
そこで少し休もうとしますが、勝手に足が動いていきます。
そう、もはやここは蟻地獄。
もう抜け出すことができません。

仮に立ち止まれても、かなりの体重を足にかけなくてはなりません。
ですがさっきのお鉢巡りで下半身はボロボロ。
すぐにひざがガクガク震えてきます。
そしてまたスッテンコロリン。
全く前に進んで行けません。

先の曲がり角に大きな岩があります。
とにかくあそこまで行って座って休もうと思い、
まっすぐ踏み出すとつま先を痛めますから、
足の甲を斜めに、たとえて言えば
スキーの止まり方のような足の運びで(スキーをやったことがないので何と言うのか知りませんが)
一歩50cmくらい進んで行きました。

ようやく岩にたどり着いて、休憩。
そこまで40分かかりました。
うまく走れば5分くらいしかかからないのではないかと思います。
時刻は11時40分。
13時のバスに乗るためには、急いで下らないといけません。
でも行こうという気になれず、12時まで休んでいました。
この間に江戸屋で買っていたペットボトル500ml1本を一気に空けました。
もう肉体は悲鳴を上げています。

それからも一歩50cmのペースで下山。
もう足は棒のように。
歩きながら考えていたのは、
「河口湖にしておけば良かったなあ。あっちなら馬で帰れたのになあ」
それにしても長い砂道。
でも、止まない雨はない、そう信じて歩き続けました。

緑が見えてきました。



もう近いのかなと期待しながらも、全くゴールが見えず。
緑にも癒されません。
下りがつらいとは噂には聞いていましたが、これほどだとは。


そして、そしてそして、そして、

13時20分、ようやく着きました。砂払五合目。
まだゴールじゃないですよ。
ともかくもゆっくり体を休められる所に着きました。
大陽館出発から実に2時間20分。
標準で1時間ですから、何と倍以上かかりました。
下りは怖い。
ちなみに、あまりの疲労でこの辺りの写真は撮るのを忘れていました。


20分休憩。そして最後の行程。
ここからゴールまで標高で300m。長さ2km。
時間で30分です。
今の体力からすれば、40分なら御の字。
1時間ぐらいかかるつもりで出発しました。

入り口は樹林帯。



これなら楽に行けそうだと思いましたが、



また砂地が・・・。
1時間を覚悟しました。

でもまたすぐに樹林帯へ。それは最後まで続きました。
ただここの下りも、やっぱり大変でした。
とにかく軽やかには歩けません。
何人もの人に追い抜かれました。
でもここは自分との勝負。
自分のペースを守り続けます。

本当に苦しい時間でした。
登りが順調だっただけに下りも問題なく終わると考えていたのですが
山というのはそんなに甘い所ではありませんでした。
そして予定の30分を過ぎて砂払五合目から50分たったとき、
ようやく見えました!昨日お参りをした古御岳神社が!



ああ、やっと家に帰れる~~。
ゴールが見えてようやく元気に。
でも最後の階段がつらい。
それでもそれでも、ついに来ました。



行き止まりではありません。
ここが出口です。
14時30分、5時間かかって下山。
そして昨日雨宿りをした山小屋に戻ってきました。
もう冷たいものが食べたくて食べたくて、
ソフトクリームを2個。
ジュースを500ml飲みました。

そして15時発のバスで御殿場へ。
そこからまたバスで新宿へ。
一番きつかったのは、新宿のバス降り場から駅まで歩いていく道でした。
人が多くて歩きにくい。
人身事故で止まった電車を待たされて、
ようやく我が家に19時着。
長い長~~~い旅がようやく終わりました。

そしてアイスクリームを3個食べました。


まだまだつづく



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富士登山記(その6)

2007-07-28 11:02:29 | 富士登山記




いやあ、さすがに、標高3720mから見る景色は素晴らしいですね。
雲ばかりですが・・・。



でもこんな雲を見つけましたよ。



雲の上に盛り上がった雲ができています。
山小屋の方に訊いたら
「これは○○○雲と言います」と教えてもらったのですが、
忘れてしまいました・・・。


山小屋もにぎわっています。



ここでキーホルダーを買いました。
裏にその日の日付を刻印してもらえます。
帰ってから気づいたのですが、
買ったキーホルダーにはコンパスが付いていました。
これからも道を見失うなという教えでしょう。

それから絵はがきも買いました。
愛しのあの人に送るためです。
ベンチに腰掛けて今の気持ちを文章にしました。
このときに体に異変が!
山頂に着いたときは喜びはあっても涙を流すほどではなかったのですが、
手紙を書きながら涙があふれ出てきました。
今までの人生とか、いろいろ思い出していたらそんなことに・・・。


さて、ここまで読んで、あれ?と思われた方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
はい。今立っている頂上は標高3720mです。
あれ?あれ??
富士山の高さは3776mですよね。
そうなんです。実はここは、
登山口の最高点ではあっても、
日本一高いところではないんです。
日本一高いのは、あそこ!



ここからは火口を挟んで反対側になります。
ということで、真の日本一を目指して再び出発です!

富士山の山頂を一周することをお鉢巡りと言います。
強風のときはやめておいた方がいいのですが
(火口に落っこちてしまいますから)、
今日は微風。天気もいいし、もってこいの状況です。


出発してすぐ火口を見ることができます。



まだまだ雪が残ってますね。
もうちょっと前に行くことができるのですが
滑ると怖いのでここまでしか行く度胸がありません。


歩き続けると、いろんな形とか色をした石や岩に出会えて
なかなか面白かったです。
こんなのとか、



こんなのとか、



赤茶色だったかと思えば、



モノクロに変わったり。



見様によっては、アメリカの大統領の石碑みたいです。




4分の1くらい進んだところで火口を見てみると、



底までも見えます。


そうこうしているうちに、第一の目的地、山頂郵便局に着きました。



ここでさっき書いたはがきを、愛しのあの人に出します。
ところで、愛しのあの人って誰のことか気になります?
この人ですよ、この人


そしていよいよ、日本最高点にアタックです。
ですがそこに待ち構える最後のハードル、最後の試練。



馬の瀬です。角度45度くらいでしょうか。
かなりの急勾配です。
僕は時計回りにお鉢巡りをしているのですが、
この坂を登るのを避けるために反時計回りに回る人もいます。
僕からすると、ここを下る方が怖いんですけどね。

さあ目の前に来ました。



ここを登っている最中に強風に吹かれたら、
即、火口行きです。
そしてスタート。

砂地で結構歩きにくいです。
一歩一歩踏みしめて行きます。それでもズルッと。
上から人が来ました。よけるのも大変。
譲り合いの気持ちが大切です。
そして5分後ぐらいでしょうか(もっとかかったかも。いや、
もっとかかったはず)、無事登りきりました。



上から見る馬の背。
これで難所はクリア。
そのまま進んで、測候所に。



プロジェクトXでやってた所でしたっけ?

そしてついに、剣が峰へ。



ここが正真正銘、日本一高い3776m地点です。
ああ、今自分が日本で一番高い所に立っているなんて!
幾多の苦難を乗り越えて、
これでようやく日本一の男になりました。
感ひとしお。


ここまでがお鉢巡りの半分。
さあ元の場所に帰りましょう。
いったん下におりて、また進んでいきます。
この辺りはまだ雪が残っています。



万年雪ではないみたいなんですけどね。
左手にその雪を見ながら進んで行くと・・・

あれ?道がない。
通って行けそうな所がありません。
皆はどこを通って行ったんだろう?と思いながら探していると
何と!



雪の中に足跡があるじゃありませんか!
「ぎぃえええーー!!ここを通るのかよ!」
平坦な道ではありません。
火口に向かって斜めになっています。
もし足を滑らせたなら、そのまま火口へと滑り落ちていきます。
「いや!ダメ!死ぬ、死ぬ!!」
しかしここを歩くしかありません。
長さは約500mくらい。
命をかけたチャレンジです。

とにかく、足跡を踏み外さないように
慎重に慎重に足を置いていきました。
ちょっとへっぴり腰。
でも腰を落とさないと、しっかりと体重が乗りません。
そのうちひざに負担がかかってきました。
ガクガク震えてきます。
そのうち腰も。
でも息は抜けません。
また一歩、また一歩。
あ!足が、ズルッ!!
素早くストックで支えます。
すると今度は腕に力が入って・・・。

そんなことを繰り返して、ようやく雪のない所に着きました。
振り返ってみると、



こんな所でした。
生きて渡れて一安心。
今までの人生で、一番死に近い場面でした。


しかしこれで体の方がかなりのダメージを受けてしまいました。
もう軽快には歩くことができません。
ゆっくりと、そして休み休みにしか歩けません。
体力も使い果たして、写真を撮る気力もありません。
最後にはコースも外したらしく、
山小屋の前に出て来るはずが裏側に出てしまい、
皆の前に恥ずかしく参上しました。

7時20分出発で9時10分到着。
早ければ1時間で済むところを
1時間50分かかりました。
日本一への道は、厳しいものです。


ここでの疲労が下りのときも彼を苦しめることになった。
この体で彼は無事に帰ることができるのか?

つづく



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富士登山記(その5)

2007-07-27 00:00:00 | 富士登山記




時計を見ると4時20分。
もうこんな時間かと思い窓の外を見ると・・・
こ、これは!!!???

オレンジの線が一直線に走っています。
急いで飛び起き、外へ出ました。
あ!カメラを忘れてる!!
そして外へ。
すると、



ああ、神秘的!
神を近くに感じます。

山小屋の方々はもうすでに外へ出ていました。
「久しぶりのご来光ですよ」とのこと。
そんな日に自分がここにいるなんて、
マー君以上に何かを持っているとしか言いようがありません。
昨日雨の中を無理して登った甲斐がありました。


ふと山頂を見上げました。



昨日は全く見えなかった山頂が、今日ははっきりと見えます。
今あそこには、何百人もの人がご来光を心待ちにしているはずです。
夜間に登った甲斐があって良かったなあと、
自分のことのように喜びました。

そのときです!
「来たーーーー!!」
と周りから一斉に声が上がりました。
振り返ると、

4時37分


来ました、来ました!
もう言葉は要りません。時間を追ってご覧ください。


4時38分


4時39分


4時40分 ちょっと寄ってみました。


4時41分 また引いてみました。


4時43分


4時46分



たぶん登頂できたとしても、
ご来光が見られなかったら喜びは半分だったと思います。
ですからこのご来光は、本当に感動ものでした。
実に神々しいひと時でした。
改めて神に感謝した次第です。


さあご来光は終わりました。
しかしまだまだやらなければならない仕事があります。
小屋に戻って荷物の整理を始めました。
この江戸屋さんは、一時荷物を預かってくれます。
荷物を減らして頂上にアタックすることができます。
必要最低限の荷物だけをデイパックに入れ、
その他のものを預けました。
そして5時30分、出発です。
このときには太陽は、



もうこの位置にありました。

そして山頂。



予定通りに行けば、あと1時間で山頂です。


ぐっすり寝たとはとても言えませんが、
それでも体力は回復しています。
一歩一歩踏みしめながら前に進んで行きます。


昨日は暗くてよく見えませんでしたが、



この雲海というのは実に見事です。
雲を見下ろすという機会はそうそうありませんからね。
一瞬一瞬を目に焼き付けました。



この高さまでくると、まだ雪が残っているところに何度も出会えます。
須走口自体、残雪で開通が遅れましたしね。
まあこの雪が、後々僕を苦しめることになるんですけれど。


左手には下山道が見えます。



山頂でご来光を見た人たちが下りてきます。
でも思ったよりは少ない人数でした。

ここでまた下を見ると、



昨日通った樹林帯でしょうか?
今日は眺めが素晴らしいだろうなあと思いました。


さて出発して15分すると、



御来光館に到着。実に順調です。
ここが山頂までの最後の山小屋になります。
ほんのちょっとだけ立ち止まって、すぐに出発。
あと45分で山頂です。


この辺りに来ると、道も変貌してきます。



コロコロした石から、



ゴツゴツした岩へ。
一歩歩くのも大変な箇所もありました。
こんなところを夜間歩く人たちは表彰ものです。


ここは登山道でもあり下山道でもあります。
山頂から何人か下りて来ました。
ふと見ると、とてもおきれいな女性が二人(姉妹かな?)。
「おはようございます」と声をかけると、
「おはようございます」とにっこり返してくれました。
これで元気100倍。
男は単純なものです。

ここに来ると、やけに外国人の方にお会いします。
やっぱり富士山は世界でも有名なところですね。
フジヤマ、ゲイシャ。
でも、道の真ん中で休憩しているのは許せません。




上に鳥居が二つ見えます。
一つ目が九合目?
そして二つ目をくぐれば、山頂です。

でもここからがまたきつい。
軽やかには上がって行くことができません。
時間をかけながら登って行きます。
すると、登頂予定だった6時半になりました。
ですが、



まだ一つ目の鳥居を通過したところです。



山頂はまだ遠い。

しかしもう時間は関係ありません。
どれだけかかろうとも、まっすぐ登っていくだけです。

黙々と、淡々と、
それでいて着実に、
歩を進めて行きます。


そして、



二つ目の鳥居が目の前に。
狛犬を見つめ、鳥居をくぐり、
そして左に曲がると、


























2007年7月19日6時52分



























生誕から13656日目




































日本の頂点に立ちました!!!

「ついたーーーーーー!!」
たまのランニングばりに叫びました。
ああ、この達成感!
こんなに何かをやり遂げたと感じたことはありません。
自分が日本で一番高いところに立っているなんて。
しばらくその余韻に浸っていました。


しかしこの直後に悲劇が待っているとは夢にも思わなかった。
感動の裏で悪魔は一歩ずつ近づいていた。

つづく



現在の富士山⇒⇒⇒

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富士登山記(その4)

2007-07-26 19:26:59 | 富士登山記




「胸突き八丁」という言葉がありますよね。
物事を達成する直前の最も苦しいところのことを言いますが、
もともとは、富士登山で頂上までの8丁(約872m)の険しい道のことを言います。
まさしくこの胸突き八丁の苦しさを味わいました。

八合目の江戸屋を出てすぐは、下山道との共有道になっています。
さっそく、下りてくる人たちに出会いました。
外国人でした。その人はそのまま僕のところに来て、
「五合目へはどう行けばいいんだ?」と訊いてきました。英語でですよ。
ちょうどここは河口湖口と須走口の下山道の分岐点なので
迷いやすいところです。
それに対して僕は、登ってきたところであまり自信がなかったので、
江戸屋を指差して、
“You had better ask the hotel man of that hotel.”
と答えました。
“Oh, I see.”
“Good Luck.”
そして僕は右へと曲がりました。

このころからだんだんと寒気を感じるようになりました。
気がつけば、グローブをし忘れていました!
岩場を登るときにも防寒のためにも必要なものですが、
素手で登りきってました。
思えば中学卒業からは、真冬の寒さでも手袋なんてしたことがありません。
その習性がついてしまってますね。
今から出そうかと思いましたが、もうすぐ着くからいいや
とそのまま登り続けました。


標識に「下は絶景」なんて書いてあったんですけど、



何も見えません!!
確かに晴れた日は夜景がきれいらしいんですけどね。


江戸屋を過ぎてから5分くらいたったころからでしょうか。
体がだんだんと重く感じられるようになってきました。
思いっきり力を入れることができません。
歩幅も小さくなっていきます。
そのうち、一歩を10cmほどしか歩くことができなきくなりました。
明らかに今までの登りとは違います。
く、くるしい~~。

ああこれが胸突き八丁かと身をもって感じました。
そして目的地まで「あと30m」という看板が登場。



30mなんてほんのちょっとですよ。
ですが体が全く言うことをききません。
一歩歩いては立ち止まり、また一歩歩いては立ち止まる。
そんな調子です。
そしてまた雨が降ってきました。


ようやく目印である鳥居が見えてきました。



これをくぐればもうすぐです。
しかしほんのわずかずつしか進んで行けません。

鳥居のところまで着ました。
そして、ほら、もうすぐもうすぐ。



なのに最後に階段が!
一つの階段を上がるのに、4歩要します。
ゆっくりゆっくり。
そして、



17時半、ようやくたどり着きました!
本八合目、胸突江戸屋さん。
このときには、頂上まで行ってみようかというさっきの思いつきは否定していました。


江戸屋さんに着くと、
靴を脱いで、雨具を脱いで、部屋に連れて行ってもらいました。
部屋と言っても、ホテルのような部屋を想像してはいけません。
共同のベッドがあるだけです。こんな感じ。



寝床以外には何もありません。
そして僕の領域がここ。



一番左端。横に窓があります。
太い足が僕の足。

この広いベッドに幅30cmほどの枕が隙間なく敷き詰められています。
ここは300人収容できる山小屋なのですが、
つまり300人入ったときはこの30cmの領域しか与えられないわけで・・・
閉所恐怖症の僕としては、耐えられません。
でもこの日の宿泊者は50人くらい。
枕2つ分くらいのスペースをもらいました。

五合目からここまで、休憩を入れて5時間ちょっとかかりました。
山小屋の方と話をしたら、「早い方ですよ」と言われました。
登山前に富士山関係のHPを見ていると、
山小屋の従業員は横柄だと書かれているものが多かったのですが、
この胸突江戸屋さんに関しては全くそんなことありませんでした。
とても丁寧に応対してもらいましたよ。

それからトイレ。
とても臭いという評判でしたが、
臭いなんて全くありませんでした。
非常に快適に過ごすことができました。
今度行くときもお世話になりたいくらいです。

さて登山中のことですが、書いていた通り、
上は雨具を着ていたのですが
雨具の下は穿いていませんでした。ズボンだけ。
でも登山用のズボンは本当によくできています。
雨に濡れても素早く乾きます。
歩いているときは全く不快に感じません。

ですが山小屋に着いて座っていると
さすがにじとじと感じます。
そこで着替え用に持ってきたジャージに穿き替えました。
ただ一応言っておきますと、更衣室なんてないですよ。
その場で着替えるしかありません。
速攻で穿き替えました。

本当は下着も替えたかったのですが、
そこまでの度胸はありませんでした。。
でもブラジャーを干している女性がいましたよ。
外国人の方でしょうか。
その割には小さかったのですが・・・。
でも個人的には、小さい方が好みです。

さてさて、この場でしばらくじっとしていたのですが
ちょっと吐き気がしてきました。なんだか頭痛も。
あれ?高山病??
そう思ったので食べる酸素を。
でもあまり気分はよくありません。

そうしているうちに、夕食の時間が来ました。
夕食は山小屋定番のカレーライスです。
僕は結構早食いの方なのですが
いつもであれば5分もあれば食べきってしまうくらいの量です。
でもあまり食欲がないので、ゆっくりゆっくり、20分くらいかけて食べました。
ゆっくり食べたら体調の方も少し落ち着いてきました。

その後、外の空気を吸いたいなと思って外に出てみました。
すると・・・



あああ、なんと素晴らしい光景。
向こうに見える光がとてもきれいです。
そしてここで初めて気がついたのですが、
そう、もうここは雲の上なんです。
目の前に広がる雲海。
これは絶景です。
これを見られただけでも、ここまで来た甲斐がありました。
明日は絶対晴れる!、そう確信しました。

小屋の中に戻ると、時刻は19時。
山頂でご来光を見る人たちはもうすでに寝ています。
僕はここで見るのでもう少し起きていようと思い、
ココアを頼みました。400円。
それを飲みながら1時間ほどまったりと。
そして20時に床につきました。

ですが、

ここの江戸屋さんは、大きな布団1枚を
3人くらいで分け合って寝るのですが、
自分の右隣が、自分よりちょっと若いくらいの女性でした。
あら。女性と同じ布団に寝るのって、いつ以来でしょう?
・・・たぶん子供のころ母親と寝て以来ですね。

それに僕はいつも右向きに寝るのですが、
この日はちょっと無理でしたね。なのでなかなか寝付けず・・・。
おまけに時刻はまだ20時。
こんな時間じゃ小学生だって寝やしません。

そんな感じでただ横になってボーっとしていたのですが
そのうち時計を見てみると、22時。
いつもだったらまだ仕事をしています。
0時まで寝られなくても仕方ないやと、
周りの人たちのいびきを聞きながら思いました。

しばらくすると、山小屋の方が宿泊者を起こしに来ました。
「ただいま2時10分です。山頂でご来光をご覧になる方は3時半までには出発してください」
結局こんな時間まで寝られませんでした。
そして周りの人たちがガサゴソと行動し始めます。
僕の隣の女性も起きて準備しています。
余計に寝られなくなりました。

でもその人たちが出て行くと、少しゆったり。
隣も空きましたので、のびのび布団が使えます。
ちなみに布団は、ここ最近天気が良くなかったということで
ジメジメしていました。
でもさほど気になりません。
なぜなら、いつも寝ている布団もジメジメしているから。

そしてそれから、ちょっと寝られたようです。
でも20分くらいでしょうか。
時計を見ると4時20分。
もうこんな時間かと思い窓の外を見ると・・・
こ、これは!!!???


そのとき彼が見たものは何だったのか?
そして彼はいまだかつてない光景を目にするのであった。

つづく



現在の富士山⇒⇒⇒

現在のランク⇒⇒⇒

富士登山記(その3)

2007-07-25 01:31:50 | 富士登山記




実に順調に歩を進めて行きます。
これほど快調に行くとは思ってもみませんでした。
やはり日ごろの鍛錬の賜物でしょう。
ただ、これで天気が良かったら言うことないのですが。

なので実際はえっさほいさと威勢良く登っているのではなく
「あ~あ、何でこんな日に雨なんだよ~。
景色がわるいじゃねえか。ふざけんなよ~~」
と思いながら、ダラダラと歩いていたのです。
この「ダラダラ歩法」が、結果的には体に負担を与えず
順調に登って行けた要因ではないかと思っています。


七合目を出てからは、だんだんと木が少なくなってきましたが、



こんな植物を見つけました。
汚れた心が洗われます。

たくさんの鈴がかけられているところも見つけました。



何かのおまじないでしょうか?


相変わらず雨は降り続いていますが、不快には感じません。
特に帽子がホームラン級の活躍をしてくれました。
僕はメガネをかけているのですが、
普通にしていればレンズに雨が当たってしまいます。
ですが購入した帽子はつばが広いので雨を効果的に避けてくれました。
しかもゴアテックス。
靴や雨具はゴアテックス製品を買いませんでしたが
なぜか帽子には金をかけていました。
普通の帽子の倍はしましたが、それだけの価値がありました。
意外と買い物上手なのかもしれません。


そして見上げると、もう次の山小屋が見えています。



歩き始めてかれこれ3時間がたったころです。
自分にとってはあっという間で、疲れたという感覚もないのですが
ちょうど今日歩く時間の半分くらいを過ぎたところですので、
今度はお金を払ってでも山小屋で休憩しようと思っていました。
ということで前半戦のラストスパート。
足取り軽く登りきり、



大陽館に到着しました。
「太陽」ではありません。「大陽」です。
ここは食事が豪華らしいです。
そんな雰囲気のある山小屋でした。

さて、休憩したいのだけれど入口はどこかな、と探していると
ありました。でも、



げ!1000円になってます。
まあ高いところに来たから仕方ないかと納得しましたが、
それよりも目を疑う恐ろしい現実!

「受付午後3時まで」

このとき時刻は15時20分。
おおおーー!!何てこった!受付終わってるじゃん。
呆然とする僕。
何だか一気に力が抜けてしまいました。
ヘトヘトヘト。

仕方がないからとりあえず、ベンチへ。
それよりも、何かにもたれ掛かりたいと思い、
石垣のところに寄り掛かりました。
体が楽になる感じです。
でも雨に濡れない屋内の方が気持ちが良さそう。
がっくし。。

ここの山小屋では5人くらいの人と会いました。
上に行くに従ってだんだん人が増えていきます。

ここでは今までよりも長い20分間休憩を取りました。
もちろん雨に打たれながら。
それでも案外体は気にはならないものです。


そして出発。



相変わらず頂上は何も見えません。
ただひたすら道を見つめながら登っていくだけです。

ですが、



まだ雪の残っているところを見つけました。
まだまだ冬です。

植物もほぼなくなってきました。




そして30分で本七合目。見晴館に到着。



ここは休憩料が2000円でした。
もうどうにでもしてくれって感じです。

代わりにポカリスエットを買いました。450円。
今回家からは500mlのミネラルウォーター2本を持ってきたのですが、
それは飲料用というよりも手洗い用とか傷の手当て用に使うつもりでした。
(ちなみに、山小屋には洗面用とか歯磨き用で使える水道はありません)
なので登山・下山中の水分補給用は山小屋で購入しました。
結果的にそれだけで4本買いました。
ミネラルウォーターも口にしたのですが、
疲れた体にはそれよりもスポーツ飲料の方が合っていたと思います。

ここに温度計があったので見てみると、10℃でした。
寒さがひしひしと感じられてきます。

そして空を見上げると、雨雲がひしめく中に
ほんの一箇所だけ雲の切れ間が!



今までの労苦を癒してくれました。
明日は晴れる!と、訳もなく確信しました。

ここでは5分ほど休憩し、すぐさま行動。
八合目を目指します。



雨足も弱まってきた感じです。


遭難者の慰霊碑。



この方々の命のおかげで、我々が安全に登山をすることができるわけです。合掌。


40分後、八合目に到着。



江戸屋です。

この日泊まる山小屋は、ここの姉妹店で
50m上にある胸突江戸屋さんです。
ここからは登りで20分かかるということは覚えていたので、
もう一息だと思い、休憩を取らずにそのまま突き進んで行きました。
時刻は17時。このペースなら、
いっそのことこのまま頂上まで行ってしまおうか
ということまで考えていました。
いずれにしても、ゴールはもうすぐそこです。


しかしそのとき、富士山が牙を剥いた。
甘く見始めた素人登山者に猛然と襲いかかった。

つづく



現在の富士山⇒⇒⇒

現在のランク⇒⇒⇒

富士登山記(その2)

2007-07-24 01:23:26 | 富士登山記




100m歩いただけで早くも息切れ。
今自分がいるところは普通の場所ではないと認識するとともに、
「やっぱりやめとく?」と自問。
とはいうものの、答えはもちろん一つしかないので、
ウエストバッグから「食べる酸素」を取り出して2粒食べました。

登山中全般に渡って、「高山病かな?」と思うことがあったのですが、
その都度この食べる酸素を口に入れました。
効果はかなりあったと思います。
酸素スプレーはかさ張るので持って行かなかったのですが、
それをケチっただけの甲斐がありました。

スーッとしたところで、再度出発!!
階段を登って行くと、古御岳神社があります。



ここで登山の安全を祈願。
そこを右手に曲がって、樹林帯へと入って行きます。




と、ここで早くも次のトラブルが発生。



準備したストックは3段階の伸縮式なのですが、
そのうちの一つ目をのばしたとき、白い矢印のところ(STOPと書いてあります)で止めないといけないのですが、
それに気づかず伸ばしきってしまい、元に戻らなくなりました。
900円だからこんなものかも。
でも2段目を引っ込ませておけば、ちゃんと使えたので事なきを得ました。


樹林帯の中は、普段緑を見ないだけあって
非常に心を落ち着かせてくれます。
地面を見たらこんな虫も発見。



田舎に住んでたころを思い出します。
まさか熊は出ないでしょうね。


一番恐れていた、道に迷わないかということですが



こんなふうにいたる所に標識があります。
これにしたがって行けば、迷うことはまずありません。


標識だけでなくこんな巨大岩が目の前に。



自分の背以上あります。
転がってきたら、間違いなく死にます。


歩き始めて40分くらいたったところで、
前方にようやく僕以外の登山者を発見しました。



60歳くらいのおじいさん。この方も単独登山。
「お先です」と声をかけて通り過ぎました。


雨の方は一向に止む気配がありません。



このとき上半身は、半袖Tシャツに長袖シャツに雨具の上を着ていたのですが、
気温は高くないにも関わらず、歩くと汗がだくだくです。
雨具を紹介したときに透湿性のある雨具でないとダメと書きましたが
なるほどその通りです。
この服の中の湿気が逃げて行かないと、不快極まりません。
歩くのを止めたら汗で体温が奪われて凍死してしまうというメカニズムもよく分かりました。

でも五合目の山小屋で雨具が1000円で売られていたんですけど
あれって性能はどうなんでしょうかね。
山小屋で打っているくらいですから粗悪品ではないでしょうけど。


樹林帯を抜けるところでときどき頂上を見上げますが、



全く何も見えません。
なので富士山を登っているという実感がまだわきません。
もしかしたら、他の山を登っていたのかも。


標準的な脚力であれば、最初の山小屋までは1時間。
それを目安に歩いていましたが、1時間たってもそれらしいところに着きません。
ですが「ブルブルブル」という音が聞こえてきます。
発電機のような音。

すると、15分後に山小屋に到着。



長田山荘です。

中で休めるかなと思ったのですが、休憩料500円と書いてありました。
何だかもったいない感じがしたので、外のベンチで休みました。

実はここまでの1時間15分、水は一滴も飲んでいません。
のどが渇いたという感覚もなかったのですが
落ち着いたところで五合目で買ってきた300円のアクエリアスを口へ。
するとゴクゴクゴクと速やかにのどを通って行きます。
それだけ体の方は水分を欲していたのでしょう。
のどが渇いてなくても、意識的に水分を取る必要があると感じました。

この山小屋のベンチで、三重から夫婦で来ていた方とお会いしました。
やはり初めての登山だそうです。
これで出会ったのは3人。
この上には歩いている人はいるのでしょうか?


5分ほど休んで出発。次の山小屋まで1時間です。
だんだんと調子に乗ってきました。
ほとんど砂地のところで、スイスイ登っていけます。




そしてあっという間、50分で本六合目。



瀬戸館です。


ここも休憩500円でした。
全く疲れを感じなかったので、さっきと同じように
水分を取って5分ほど休んで、すぐに出発。
これなら快調に登れそうです。


しかし事はそう上手くは運ばなかった。
ここで休憩を取らなかったことが、直後に痛手を食うことになるとは思いもしなかった。
つづく


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富士登山記(その1)

2007-07-23 01:42:16 | 富士登山記



7月18日、5時40分起床。
昨日寝たのは2時半。
3時間ほどしか寝ていませんが、
目覚まし時計が鳴る前に目が覚めました。
だって今日は日本一の山に登るんだもん。

東京方面から須走口五合目に向かうには、
新宿から小田急線で御殿場まで電車で行き、そこからバスに乗るか、
最初からバスに乗って御殿場で乗り換えるか。
バスが苦手な僕は当然電車を選択。
7時15分新宿発のロマンスカーで敵地に乗り込みます。

家から新宿に行くためには、二度乗り換える必要があります。
そんなこともあってちょっと早めに家を出るつもりでしたが、
忘れ物はないかとチェックしていると、
「ぐわああ、トイレットペーパーを忘れてる!!」
急いでトイレに行って一つ取り、芯を外してビニール袋に入れて、ザックの中へ押し込みます。
そんなことがあって、電車一本乗り遅れてしまいました。

それでもまだ大丈夫。余裕は見てますから。
ところが次の電車に乗って3分後、電車が急停車。
「線路内に人が立ち入っているようです」と車内アナウンス。
それを聞いて、「ふざけんなよー」と心の中で言ったつもりでしたが
声が出ていたようで、一斉に周りの人たちの視線を浴びました。

そんなこんながありましたが、何とか無事に新宿着。
予定通りに御殿場に向かえることになりました。
御殿場までは1時間45分。
なので少しでも寝てようと思ったのですが、
実は4年前まで小田急線沿線に住んでいたので
久しぶりの景色が懐かしい。
久しぶりに見る多摩川を、パシャ。



そうこうしているうちに、電車はもう神奈川も越えてしまいました。
目的地に近づくにしたがって気になるのが、空模様。
天気予報は曇りだったので快晴は期待していませんでしたが、
道路がだんだんと濡れてきています。
でも今は降っていない様子。
「降るんじゃねえぞ」と今度は確実に心の中だけでつぶやきました。

御殿場に着くと、ほんのちょっとだけポツポツ降ってくるくらい。
登山には影響なさそうです。
須走口は人気がないルートだと聞いていましたが、
バスに乗ったらそれがすぐに理解できました。



乗っているのは僕を含めて3人だけ。
いくら平日だからといって、ここまでとは思いませんでした。
でもその分のんびり歩けそう。

そしてやっぱり気になるのが、天気。
出発のときはそれほどでもなかったのですが、
登っていくにつれて、窓に当たる雨つぶが多くなってきます。
バスのワイパーも往復回数が増えていき・・・

10時半、ついに着きました。富士山五合目。



ここですでに標高2000m。
僕にとってはすでに未知の体験です。

バスを降りると霧雨状態。雨宿りもかねて山小屋へ一直線。
出迎えてくれたのは山荘菊屋のおばあちゃん。
「よく来たねえ。体を慣らしてから行きなさい」
と、椎茸茶を出してくれました。
初めて飲みましたが、なかなかおいしい。
お土産用もありました。(買いませんでしたけど)

ここでお土産品などを見ながら30分ほど過ごしました。
しかし雨は全く止む気配がなく・・・
と、そこで隣の山小屋東富士山荘へ移動。
そして闘う前の腹ごしらえ。きのこうどんを食べました。



登山前にはうどんを食べておくといいそうですよ。
2時間後ぐらいにいいエネルギーになるそうです。
で、このうどんはかなりボリュームがありました。
お値段900円。
サービスになぜかコーヒー。合わないと思いますけど・・・。

さて食べ終わっても、雨は止みそうにありません。
晴れ男であることを自負していましたが、
人生最大の挑戦の日が雨なんて・・・。
そこでもう少し時間つぶし。
帰りに買って帰るお土産を決めました。

そうこうしているうちに時刻は12時。
そろそろ決断を下すときです。
雨は降っています。でも苦痛を感じるような雨ではありません。
細かい粒がさらさらと。

よし!行こう!!
このくらいの雨で中止していては、登山なんていつになってもできません。
そのうち止むだろうくらいの気持ちで出発の準備。
何と言っても、全く使う可能性のなかった雨具が
無駄にならなくて良かったです。

雨具の上だけを着て、帽子を被って、アクエリアスを買って、ザックを背負って、
12時15分、出発!!
山小屋の人たちが、
「いってらっしゃい」「気をつけて」と声をかけてくれました。

いよいよ挑戦のとき。
いやがうえにも気持ちが高ぶります。
そして100mほど歩くと、



行き止まりではありません。
ここが入り口です。
さあ、いよいよ始まります。

が、
ここで早くも体に異変が!!
100m歩いただけで、もうすでに息が上がってます。
心臓もバクバク。
え?これって、高山病??


早くも訪れたピンチ。
この男は本当に頂上に立てるのか?

つづく



現在の富士山⇒⇒⇒

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富士登山記(予告)

2007-07-22 00:00:00 | 富士登山記


皆さま、こんばんは。
予告していました通り、18日・19日に富士山に行って来ました。
帰って来て2日たちますが、まだ太ももが痛みます。
一度座ってしまうと立ち上がるのが大変です。。
おまけに左足の親指が青白く変色し、歩くと痛みます。
まだしばらくは続きそうです。

さて皆さんの注目は、「頂上まで登ることができたのか?」ということでしょうか。
本当は携帯から随時更新していくつもりでいて、
実際に何度か送ったのですが、
あっという間にバッテリーが残り一つ分。
遭難救助要請のためにちゃんと残しておかないといけませんから
それからは自重。
ということで、現時点では僕のみがその答えを知っていることになりますね。
結果的にこれが、皆さんにとってハラハラドキドキの体験記になるのではないかとひそかに嬉しがっています。

実況中継でもお伝えし、上の写真にもありますが
ご来光はきれいに見ることができました。
話によると久しぶりのご来光だったそうです。
その後も天気の良くない日が続いているようですので、
本当に運のいい男です。
日ごろの行いが良いからでしょう。

ですが、これは一体どこから見たものだと思います?
多くの人がご来光は山頂から見たがるものですが、
今回登った須走口では、六合目以上であればどこからでも見ることができます。
なので案外低い位置での写真かもしれませんよ。

どこまで登ったのかを示す材料として、こちらの写真をご覧ください。



この場に来たときには、本当に死ぬのを覚悟しました。
今まだ生きているのが奇跡です。

そんな経験も踏まえながら、この大冒険を振り返ってみます。
これから富士山に登るという方もいらっしゃるでしょうから、
少しでも参考になればと思います。
ではでは、ごゆるりとご鑑賞ください。



現在の富士山⇒⇒⇒

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富士登山・決戦前夜

2007-07-17 01:11:52 | 富士登山(準備編)
すべてはこの決戦のために。


(すべてを一人で背負う男、松中信彦)

もう二つ寝ると、富士山です。
富士登山を決意したのは、つい1ヶ月前のこと。
ほとんど勢いだけでここまで来ましたが
とうとうその勝負に挑むときとなりました。

「山は人生」だと言われます。だとすれば、
一人で計画し、一人で準備し、一人で実行するこの登山は、
まさしく自分自身の生き方そのものです。

そしてそれがもし本当だとすれば
今回の登山は失敗に終わるかもしれません。
一度目の挑戦で成功したことなど
これまでの人生で一度も経験したことがないのです。

しかしその失敗を糧にして
二度目か三度目か、あるいは何度目か分からない回数での挑戦において
必ず成功を収めてきたのも、また自分の人生でもあります。
成し遂げられなかったのはプロ野球の選手になることぐらいです。
(それもまだ完全にあきらめたわけではありませんが・・・)

仮に今回登頂できなくても、
ご来光を拝むことができなくても、
愛しのあの人に手紙を送ることができなくても、
富士山は逃げはしません。
再度挑戦できる日は必ず来ます。
今回の経験が必ず次に活かされるはずです。

・・・ってくらいの余裕を持って挑戦しましょう。
天気予報に雨が入ってきましたよ。
まあそうでなくても降る可能性が高いでしょうが、
でもこれで、せっかく買った雨具が無駄にならずに済みそうです。

おまけに山頂の最高気温が6℃。最低気温が-1℃!
真冬の東京でもここまで冷えるのはめったにないですよ。
防寒は厳重に。

登山スタートは13時に変更しました。
早く着く分には問題ないですからね。
でも前日は仕事が0時まで。
それでもって起床が5時。
寝られるのは長く取れたとしても4時間。
これは・・・どうでしょうね。
失敗したときの一番の反省点になりそうです。

さて、これで準備編は終了です。
果たして綿密な準備の甲斐はあったのでしょうか?
正解は実況中継編にて。
それでは皆さま、無事に生きて帰ることをお祈りください。



富士山頂の天気こちら
7月18日:曇りときどき雨,予想最高気温5℃,予想最低気温4℃
7月19日:曇りときどき晴れ,予想最高気温6℃,予想最低気温-1℃

現在の富士山⇒⇒⇒

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