デジカメぶらりぶらり

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本屋

2012-11-13 07:51:19 | Weblog
東日本大震災では、多くの本屋さんも被災した。壊滅的な打撃を受け廃業した店もある。すぐ再建に立ち上がった店主らも疑念を抱えていた。

「こんな時にお客さんが来るのか。本は求められているのか」。彼らは、驚かされることになる。スーパーで行列をつくって食料品を買い求めた人たちが、棚にろくに本がない書店にも列を作った。

30分も歩いて来たお年寄りもいた。マンガを手に、久しぶりに笑った子どもたちの姿もあった。ノンフィクション作家、稲泉連さんの著書『復興の書店』は、被災地の書店を丹念に回り、店員らの思いを記録した労作だ。

稲泉さんは取材を続けるうち<書店にはある一つの町においてそこでしか担えない場としての役割、力がある>と実感したそうだ。ある店長は、震災特集の雑誌を買い求めるお客さんに「記録を抱きしめることは、同じ境遇にいる大勢の人たちのことを思うことでもある」と言われ、自分が扱う商品の重みを教わった。

店員と客が「ありがとう」と言い交わす光景が、そこにはあった。震災を経て「街の体温が上がった」と感じたという若い女性定員の言葉が、印象的だ。本を読むという行為の本質を、この上なくやさしく語っている。

「読書するときは一人。でも、それによって人と人とが繋がっていける」。9日まで読書週間だった。