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井戸の茶碗

2011-12-04 06:42:11 | Weblog
桂歌丸さん落語の噺(はなし)の一つに「井戸の茶碗」がある。困窮した武士が仏像を売りに出すのが噺の発端。買った武士が仏像を磨いていると、台座の中から50両が出てきた。

仏像は買ったが、中の金まで買った覚えはない、と大金を元の持ち主に返そうとする。ところが、貧乏武士は「中から何が出ようと、売った以上は受け取れぬ」と拒む。

善意の人の意地比べが、次々と笑いを巻き起こす長い噺である。とんまな人物の失敗談だけでなく、落語にはこんな大人の童話もある。予期せぬ50両を譲り会う。浮世離れした噺であろう。

法外な大金がカジノに消えた不祥事や、巨額の損失をめぐり不明朗な金が流れた疑惑が報じられ、一流企業の看板が泥にまみれる現実がある。落語で心の洗濯をしたくなる。だが、世の中、捨てたものではない。

震災被災者のために、大金をトイレに置いた善意の出来事を思い出した。「井戸の茶碗」の心のぬくもりと、どこか通い合う。経営の神様はめっきり減ったようだが、トイレにまだ神様がいるようだ。