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1票

2011-04-12 07:05:47 | Weblog
集団避難で故郷を去る被災者の姿が連日報道された。「ふるさと」が、東日本大震災のキーワードのひとつになった。被災者が集団でバスに乗って故郷を去る光景があった。

「必ず戻ってくる」と老いた住民たちは言い、送り出す町長は、仮設住宅建設に取り組む決意を述べて「戻って来れるようにします」と涙ぐんだ。

明治期以来、各地の若者が「ふるさと」を後にして、都会へ向かった。東北はそうした「ふるさと離脱」を象徴する地方だった。若者は故郷を出て、ふるさとの力に気づき、新しい自分を見つけていった。

だが、いま東北で見る「ふるさと離脱」は高齢者が多く、むごいばかりの光景だ。高齢化の進む過疎地を襲った震災の残酷さのひとつは、十年後のふるさとの姿が、行政も住民も描き切れないことにもあろう。

原発周辺の住民は帰るあてもなく、ふるさとを後にした。住民の「帰るべきふるさと」まで奪った災害などかつてあったろうか。市長や町長、議員や区長。有権者に選ばれて就くポストの最大の任務は「ふるさと」を守ることに尽きる。

震災の春に投じる1票の重さを忘れないでもらいたい。